mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2008年02月19日
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【漆黒の世界と赤石物語】


『外伝』

・第二章 1
なんだか頭が痛くなってきた。
横でひょうひょうと即席宗教研究家と化した里場との話を早々に切り上げ
俺はやはり面白くもない担任のホームルームの話を聞くことにした。

下校の時間、ひと時の平和が学生という身分である俺に訪れる……はずだった。

「やぁ一人で下校ですか」


こんな下らない忠告をするのは決まっている。

「里場、まさかデューク東郷がM16で俺を狙ってるなんてことはないだろ」
「ははは、流石にそれは無いでしょう。それじゃ殺した形跡が残りますから」
「相手は彼方の存在そのものを消す手法を使いますよ。未空さんの様にね」

なるほど、里場の言う通りかもしれないな。流石のゴルゴ13でも存在ごと消すのは難しい。
そして、その難しいことを難なくやった奴がいることを俺は知っている。
普通に部活帰りの少女の存在を親やクラスメートの記憶ごと消し去った。
今では彼女のことを覚えているのはこの世で俺ただ一人になっちまった?!

「おい、里場。今なんて言った」
「え?存在ごと消されますよと忠告しましたが」
「その後だよ。未空のことお前口に出しただろ。お前未空のこと覚えているのか」


なんて回りくどい奴だ。しかし、これで未空の存在を証明出来る奴が俺以外にもいることが解った。
ひょっとしたら未空を見つけてやることが出来るかもしれない。
でもまてよ、里場の奴俺と同じクラスじゃないか。なんで同じクラスの未空を知らない?

「里場、お前何者だ。どうして未空と会ったこと無いのに知ってんだよ」
「うーん、そうですね、転校生って設定ってのはどうです」

「俺が知りたいのは何故他の奴が忘れちまっている未空をお前が知ってるのか、何処で彼女の存在を知ったかだ」
「残念ですが、今はあまり多くは語れないのですよ」
「僕にも色々事情がありましてね。但しこれだけは言っておきます。私は味方ですよ。今の所はね」

不自然な程軽い笑みを浮かべながら用事があると言って去っていく里場の後姿を睨みつつ
俺は再び家路へと足を向けた。
バタン!
まぁ考え事しながら歩いていた俺も悪い、一体全体何がどうなってこうなったのかはっきり言って想像つかない。
ただ言えるのは、今俺の視界はピンクに染まりつまり、そのなんと言うかその……
ただひたすら柔らかい感触となんとも言いがたい俺をダメにしそうな素敵な芳香に包まれていた。
全然説明になっていないな、つまり里場と別れた俺は不意に後ろからの強烈な衝撃に倒され
地面に顔を直撃するはずが、こ、この柔らかい緩衝材に……
つ、つまりだ、今俺は倒れた状態で女性の上に被さっていてだな

「ご、ごめんなさーい。わ、私おっちょこちょいで」
「あ、あのー、だ、だいじょうぶですか?」

なんとか俺を人間的にダメにしそうな感触から立ち直り、ぶつかって来た女の子を見た。
しかし、なんと表現すべきだろう。コスプレというやつなのかこれが?
つまりだ、俺の目の前に立っている女の子、年は高校生と言えば高校生にも見えるが表情は幼い。
しかし、体型は幼児体型とは程遠い。小さな体に不釣合いなほど……そのなんだ
む、胸がおおきいのだ。
格好は中世のお姫様が着るようなド派手なドレス。ピンクハウス系とか言う感じのやつだ。
ピンクハウス系がどんなやつなのか詳しく知らないが、こうヒラヒラしてとても動きやすいとは言いがたい家でコタツに入って蜜柑を食べるにはとても不釣合いな格好だなうん。

「俺は大丈夫ですが、そっちこそ大丈夫ですか」
「は、はい。あのー、唐突ですが実は彼方にお話があるんです」

幼女のようなあどけない表情の中に吸い込まれそうになる大きな瞳をうるうるさせながら、
どこかオドオドした口調で話しかけてくる。
間違いないな、聖夜に舞い降りた天使が俺に愛の告白をする……
なんて事はありえないと幼い頃に見たルーベンスの絵を見た少年と犬の物語で知っている。
聖夜に舞い降りる天使は幻覚だと俺の中の誰かが叫んでいる。
でもちょっとだけ期待しながら、彼女の話を聞こうではないか。
また意味不明な手紙をもらうなんてことは無いと信じて。
でも聞かなきゃ良かったと後悔するのはそれから直ぐの事であったのだが、
この時の俺にどうして予測出来たろうか、この小動物のような愛らしい彼女のお話である。
例え焼きそばパン争奪戦中の購買前にいたって最優先で聞いちゃうに決まっている。

<あとがき>
うーん、微妙な感じのまま進む「外伝」です。
戦闘シーンも無いし、これは客観的に面白いお話になっているのだろうか?
やや不安ではありますが、もう少しお付き合いください。





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最終更新日  2008年02月19日 12時23分57秒
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