南風一の世界

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2025/12/02

付加価値という魔物

テーマ： ☆詩を書きましょう☆(8777)

カテゴリ：詩

　　付加価値という魔物　　　　南風一

一体何物か？

前年所得より５％アップが目標という
内部留保に回すお金を少し従業員に配分すれば事足りる大企業ならいざ知らず
生活費相当の利益を捻出するのが精一杯でとても福利厚生費に回すお金などない
家族経営の個人事業主や中小零細企業などにとっては
日々事業維持費程度の収益を稼ぎ出すのが精一杯で
とても大企業とは収益構造が違うのだから
賃金水準など鼻から上げられるはずがない

とても個人事業主や中小零細企業が大企業に太刀打ちできるものではない

では世の中はすべて大企業が供給する製品やサービスで事足りるのかと言えば
高齢者福祉サービス一つにしても大企業が提供していないものがある
要するに大企業は付加価値が高い製品やサービスを
大量に効率よく消費者へ供給することで成り立っている事業形態なので
手間暇かかる（結果としてコストが高くつくばかりで利益が出ない）福祉サービス
のようなサービス業には手を出さない

ことほど左様に
効率よく品質のよい車を作るような自動車産業や
マンションを何度か転売するうちに価格が吊り上がるような不動産販売業が
儲かる

原油価格が高騰すれば、原料調達コストが賄えるように電気料金上乗せを認めてくれる
電力ガス業者も勝ち組だ

かくして近頃の物価上昇に追いつけ追い越せと
”賃上げ”を叫ぶことができるのは
大企業に勤めるか人か公務員くらいのものだろう

付加価値なるものがそうそう簡単に上がらないので
”賃上げ”なる言葉が踊る新聞を見ても
儚い夢物語のようなもので
”賃上げ”って、どこの国のことだろう？と
摩訶不思議に感じるに違いない

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