気温が低くなってきたので畑の無花果が熟さなくなってきました。無花果の実には寿命があるようで、一定期間内に熟さないと干からびて樹から落ちてしまいます。かといって今後気温が上がって熟す見込みはありません。そんな厳しい環境の中色付く無花果は、甘さはのっておらず実も固いですが香りはそこそこあるので、コンポートにして有効活用しています。採ってきた無花果を4~6つに割ってひたひたの水と砂糖たっぷり、あとクエン酸を少し加えて5分ほど煮るだけ。果物全般に言える事ですが、甘さが足りないのは砂糖があるのでどうとでもなります。重要なのは他で補えない香りだと考えてます。その点この無花果は香りだけはあるので有効活用可能というわけ。
とはいえ、無花果生育マニュアルによるとこういう実が出てしまう事自体失敗みたいです。無花果は春先から枝を伸ばし、その年に出来た枝の葉の付け根にそれぞれ実をつけます。実は下から熟していくので、予め寒くなる時期を予想して熟す見込みがない実のついた枝部分は早期にカットし、樹が余計なエネルギーを使わないようにするのが正解だそうです。が、出来るかそんなのーって感じ。熟すかもしれない実を早期に切り捨てるのは想像以上に心理的なハードルが高いのです。いっその事予想自体を放棄して、下から〇個以上の分はカットという風に数字でザックリ割り切ってしまう方法もあって、そっちの方がまだ現実味があるかも。
それはともかく、自分で無花果を作ってみて気がついた事がありまして、それは世の中に流通している商品としての果物は普通じゃないって事です。売っている無花果なんてもう上澄みも上澄み。あの商品無花果が出来る陰にはその数倍の商品にならない無花果があります。中には今回のうちのの様に甘さがのっていなくて話にならないものから、ちょっとだけ傷がついたり変形しただけで味は問題ないものまで様々。でも、そういう問題なく食べられる分を省いたコスト、ピカピカの一流品を作るための人件費コストは当然ですが商品価格に乗ってくるわけで、個人的には傷ありの品が普通に流通して価格もそこそこの世界の方が暮らしやすいと思いますけどね。