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2009.09.18
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カテゴリ: カテゴリ未分類

<ネットブックPCって?>



普通にインターネットで調べ物をして、メールのやり取りをして、ちょっとしたワードやエクセルを使った資料作成なんてことなら全く問題ありません。それがだいたい大手家電量販店の店頭で、単体ならば4-5万円で売っています。モバイルの通信機器と組み合わせると、なんと100円になったり(通信機器の月額利用料金で割賦するだけなんですが…)、とにかく身近な存在になることをアピールしています。

<ネットブックPCの心臓部(MPU編)>

最近のノートPCの中には確かにハードなゲーマーも満足するようなスペックの物もありますし、テレビが観れたり、動画編集もお手のものみたいなハイエンドのマシンもたくさんあります。そうしたノートPCと最もネットブックPCが一線を画すのが、搭載されている心臓部、前回ご案内したMPUです。今のネットブックPCの主力MPUは何と言ってもインテルのAtomと呼ばれるシリーズで、ノート型のPCでAtom搭載のものを逆にネットブックPCと呼ぶといった感じで理解しても、あながち外れていないと言えます。

インテルのAtomは2008年3月の発表から今日に至るまでの経緯を見るだけでも、素晴らしいMPUだということがわかります。最初は「廉価版で機能を省いた玩具みたいなMPU」と酷評する人もいましたが、ASUS社が発売したEee PCというネットブックPCが普及するにつれ、その予想以上のパフォーマンスの高さから一気に人気を博して行きました。実際、出先で動画のエンコーディングなどするユーザーは少ないのですから。そして時代はクラウド・コンピューティングの時代なので、ネットに繋がっていれば、個々のPCの能力はそれほど高くなくてもよい時代に向かいつつあります。

<ネットブックPCではWindows Vistaは使えない>

と、能力を褒めちぎったインテルのAtom搭載のネットブックPCですが、実は思わぬ問題点があります。それはWindows Vistaが使えないということです。そもそもVista自体が重くて、最低限必要とするハードウェアのスペックが高いということが、販売が伸び悩んだ一番の理由なのですが、Atomが悪いというよりは、恐らくマイクロソフトも想定しなかったような低スペックのPCが消費者の心に響いたのだと思います。

なぜなら、それまでは「より高いスペック、より高性能、より高機能」という思想がウィンテルのビジネスモデルの原点だったからです。メモリーが最低でも1G必要だと言えば、それを揃えてくれ、MPUの速度も最低…、というように消費者が技術革新に合わせていくというイメージがどこかにありました。でも消費者が台湾メーカーASUS社のEee PCを目の前にして、気がついてしまった「必要なスペックだけがあれば良い」と。なのでネットブックPCの多くではWindows Vistaは使わず、未だにWindows XPを利用しています。

<グラフィック・チップの可能性>

しかし、ネットブックPCの中でも、それもインテルのAtomを搭載しているものでも、Windows Vistaが普通に走るものがあります。それはグラフィック・チップ・メーカーであるNVIDIAのチップセット( 前号をご参照 )を搭載したIONプラットフォームのネットブックPCです。たとえば、こちらもまた台湾のメーカーであるAcerなどから発売されていますが、これがGPGPUと呼ばれる新しい流れのひとつの結果です。

前回、MPUとチップセットのことについて書きましたが、このグラフィック・チップと呼ばれる半導体がまたかなりな可能性を秘めた面白い位置づけに現在あります。カナダのATIというグラフィック・チップの専業メーカーが、米国のAMDに買収されてしまった今ではグラフィック・チップの専業メーカーというと前述のNVIDIAだけになってしまったとも言えるのですが、技術的には大変面白い流れの中に居ます。

<グラフィック・チップって何?>

グラフィック・チップとはその名の通り、パソコンの中でグラフィックスの処理を専門に担当する半導体のことで、その機能をチップセットに取り込んだ統合型チップセットというものもありますが、3D処理やCADなど高度なグラフィックス処理を必要とする場合、例えば最新のパソコン・ゲームなどをする場合には必ず必要になります。

何をしている半導体かと言えば、MPUが演算処理をした結果をモニターに描画するための「絵を描いている」半導体です。テレビの映像は一秒間に30枚程度の映像を映し変えて滑らかに見えるようにしていると言われていますが、高性能なグラフィック・チップ場合、毎秒100枚を超えることもあります。実はこれがかなり尖がった能力が必要とされる分野のようです。MPUがいろんなことに対応可能な優秀なゼネラリストだとすると、グラフィック・チップはその分野だけは誰にも負けない天才スペシャリスト、といった趣かも知れません。

<グラフィック・チップの応用>

これをもっと幅広い分野で使おうというのが「GPGPU」という考え方です。「General Purpose computing on GPU」の頭文字を取った専門用語ですが、要はグラフィック・チップの演算資源を画像処理以外の目的に応用する技術ということです。もうこのあたりから先の説明は専門家にお任せするしかないのですが、ファンドマネジャーの知識レベルで咀嚼すると「MPUもGPUも両方とも天才ながらIQはGPUの方がもともと上、だけどMPUの方が社交的でいろんなことに応用が利く」ので、GPUに社交性を持たせようという流れのことです。そもそもIQは高いので、その気にさせれば相当なことができます。

そのひとつの答えがMPUはAtom搭載のネットブックPCで、Windows Vistaを動かすというIONプラットフォームなどの考えです。MPUひとりにいろんなことさせて、GPUは黙々と描画だけしているのではなく、MPUの仕事も手伝おうという感じです。

更にGPUにいろんなことをさせようという流れは拡がりつつあります。 GPUを繋いでスーパーコンピューターとして使うというのはもう始まっており、日本の某国立大学の研究施設もNVIDIAのそれを使っていると聞いていますし、二世代ぐらい前のパソコンの高機能化再生にグラフィック・カード(グラフィック・チップを搭載した増設ボード)を入れ替えるということも一部に提唱され始めています。特化型の機能を有する分、回路に無駄がないため低消費電力だということも、こうした流れを時節柄後押ししているのかも知れません。

<テクノロジーの可能性>

マイクロソフトはWindows Vistaの後継OSであるWindows 7がネットブックPCで使えるように改良を施したようです。そこにはクラウド・コンピューティングの流れが押し寄せている同社の危機感が垣間見えます。同様に、MPUのロードマップの作り方も、今後はこうしたグラフィック・チップの技術動向を加味せざるを得なくなってきました。

これこそが日進月歩するテクノロジーの可能性だと思います。覇者が覇者でなくなる、そんなことが日常で起こる世界がテクノロジーの世界。マクロ経済が不透明な時でも、そんなテクノロジーの可能性を追うことが投資家としては最も面白い投資手法だとかねがね考えています。

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CEO兼最高運用責任者 大島和隆
(楽天マネーニュース[株・投資]第59号 2009年9月18日発行より) ==========================================================






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最終更新日  2009.10.09 16:55:58


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