<パソコン自作のメリットとデメリット>
パソコンがまだ高かった頃(平均的に数十万円しました)、自作するメリットは「自作の方が安い」ということだったと思いますが、多くのものがデフレの世の中にあっては、新規に一台パソコンを組み立てようと思うと現在はそこにあまり価格メリットはありません。
また以前ほど部品の相性問題でトラブルことがなくなったとはいえ、メーカーで総て責任もって組み立てられたパソコンに比べると、正直何かあった時の対応は基本的には自分の責任(パーツごとに保証はもちろんありますが、原因のパーツを特定するのは自分です)です。そうしたデメリットも含めると、「好きもの(最近で言うならオタク)」以外にはあまり勧められないのがパソコンの自作なのかも知れません。
でもまだ使える部品も含めて丸ごと買い換えないとならないメーカー製とは違い、一度思い切って組み立ててしまうと、自作パソコンは必要な部分だけを取り換えることが可能です。また拡張性という面では購入時は当然ながら、使っている間においても格段に違ってくるのも事実です。まず少なくともケースは毎回買い換えの対象にはなりませんし、HDDを含むドライブ類も毎回の対象ではないかも知れません。
私の場合、システムを入れる「C:ドライブ」に使うHDDは、HDD自体の技術革新が速いため、毎回時流に乗ったものに取り換えてきましたが、データ類を入れているだけのHDDはそのまま使い回していますし、DVDなどの光ドライブはもう5年以上使っています。
だから毎年性能が上がる最新のMPUやグラフィック・カードは使いたいけれど、その度に全部丸ごと買い換えたくはないという人には大変リーズナブルなものになるというのが最大のメリットかも知れません。必要最低限のパーツだけ取り換えれば良いのですから。まあそんな理屈付けも機械いじりが好きなものの言い訳の一つなのかも知れませんが、今回はそんな自作パソコン好きの“ぼやき”から、テクノロジー好きの運用者のマインドを感じてください。
<でも周辺部品が壊れてきた…>
車にも同じことが言えますが、持主にとっては「これがこの子(だいたいすでに擬人化しているわけですが…)の癖なんだよなぁ」と故障と認めていない故障があります。長く愛用しているとどうしてもそうなると思いますが、私のメインの自宅PCの場合、1年程前からDVDトレイが指先でちょっと押してあげないと閉まらなくなっていました。でも自分しか使わないものですから、全然気にしていなかったのですが、ただやはり故障には違いありません。
モニターは17インチの液晶をDUALで使っているのですが、この片側のスイッチが最近どうも接触不良で時々スイッチが入りにくくなります。ただしばらく弄っていると大抵はOKなので、これも大して気にしていなかったのですが、これだってやはり故障です。だいたい私の場合、毎年のインテルのチップセットやMPUの世代交代に合わせて主要パーツは組み替えてしまうのですが、さすがに約4世代に仕えた周辺部品が壊れてきてしまいました。そろそろオール・リフォームのタイミングかなと。
<気になる「Sandy Bridge」>
ところで何で私が頻繁にパソコンを組み換えたり、自作したりするのかというと、それはインテルのMPUやチップセットの基本仕様が変わるからです。パソコンとして完成品で利用されている限りはあまり気にならないことではあるのですが、いわゆるその世代交代をキャッチアップしていくことがハイテク企業の最先端が何を考えているのかをリアルに実感する方法だと思っています。
iPhoneやiPadを使っていない人のスマートフォンに対するコメントがどこかピンボケに感じられるように、インテルの動き、すなわちパソコン業界の動きも自分で実感してみないと正しい投資アイデアには結びつかないと考えるからです。単なる経済評論家ならば"それらしく"語れば良いのでしょうが、そこから投資判断を行う身となるとやはり第三者的な立場ではいられません。
その意味ではこの9月のIDF(Intel Developer Forum)で発表されたインテルの次世代マイクロ・アーキテクチャーである「Sandy Bridge」には強く興味を持っています。現在のそれは「Nehalem」と呼ばれ、主力のCore iシリーズに使われていますが、Core i7が4分間かかる動画のエンコーディングをわずか2秒でこなすというデモを見せられては当然と言えば当然です。
この件の詳細はまた別途書きたいと思いますが、問題はその登場が来年だということです。すなわち、それまでMPU(現在はCore i7-860)やマザーボード(ASUS製でチップセットはP55を使用)などの主要部品は取り換えても直ぐに陳腐化してしまいということです。
<まずはグラフィックスから対応する>
次の「Sandy Bridge」では現在のCore i5やCore i3のようにGPU機能をMPUが取り込んだことが注目点です。それもCore i5やCore i3のそれのように、今までのGPU混載型のチップセットを代替するようなレベルのものではなく、専用のグラフィック・カード自体と競合するようなレベルと聞いています。故に、それまでに現時点のグラフィック・カードの動向だけは体感しておかないと比較ができません。現在はある程度以上の機能のグラフィック・チップはNVIDIAとAMD(旧ATI)の2社独占市場ですが、ここにガチンコ勝負を挑むインテルの腹積もりとその実力は気になり、何がどう変わるのでしょうか?
<HDMI接続にこだわるため、モニターも換える>
どうせグラフィック・カードを新調するのでモニターも交換することにしました。最近は液晶パネルの価格低下がかなり進んでいることもあり、ちょっと前では考えられないような値段でスペックの高いものが買えます。そこで、いまさらHDMIかと言われるかも知れませんが、最近のパソコンモニターの主流であるHDMI接続対応の23インチのワイド画面タイプを物色しました。パソコンがAV機器化している現在、17インチを2台並べることよりもワイド画面一台の方が世の中の流れにあっているかなと。念のため補足しますが、HDMI(エイチ-ディー-エム-アイ)とはHigh-Definition Multimedia Interfaceの略で、マルチメディアインターフェースの1つであり、当然グラフィック・カードがこれに対応していないとなりません。
そして更にどうせPCのケースを開けて中をいじるのだからということで、光ディスク・ドライブとHDDも同時に交換することにしました。DVDドライブは単純に壊れているからなのですが、HDDは最近DVDの映画を取り込んで、iPhoneやiPadで観られるようにエンコーディングして貯め込むことにはまっているため、増大一途のストレージ需要に対応するため2TBのもの追加することにしました。
<電源が足りない>
さて、予定のパーツを土曜日にアキバの電気街で仕入れ、日曜日に毎週のメルマガ原稿を書き終えた後、午後からパーツ交換を始めました。そして新しいパーツを所定の位置に据え付けて…、トラブルです。それもかなり致命的です。グラフィック・カードとDVDドライブは交換ですが、HDDは増設、通常ならば電源ケーブルは予備の引き回しで足りるはずだったのですが、これが不足してしまったのです。
グラフィック・カードが予備電源を必要とするタイプだったのと、DVDドライブがSATA接続に変わったことで3つの電源ソケットが追加で必要なのですが、パソコン内で余っているソケットの数と種類が、新たに必要となった数と種類に合わないのです。
意味不明な説明かも知れませんが、パソコン内部のパーツが持っている電源ソケットは案外種類が豊富で、それが機器の進化と共に更に変わって行っているため、電源ユニット自体もこれまた取り換えないと時代の流れについていけなくなってしまっていました。手持ちの部品などを使って、何とかやりくりしてみましたが、結局新HDDは電源を得られず当面は動かさないということでケースの蓋を閉じました。しかし、問題は更にありました。
<HDMI接続で映像が出ない>
期待のHDMI接続のモニターに映像が出ません。そこから私の悪戦苦闘が始まりです。一旦ケーブルを全部はずして配線をやり直そうが、更にパーツを全部取り付け直ししようが、モニターに浮かぶのは「No Signal」の冷たい文字だけ。つまりグラフィック・カードから映像信号が届いていません。試しにHDMIケーブルを諦めて、通常のDVIケーブルにして繋いでみるとなんときちんと映像が出ます。つまりグラフィック・カード自体が仕事をしていない訳でも、他のパーツに異常があるのでもないということまでは確認できました。ただそれ以上はもうお手上げです。
新設の2TBのHDDもまだ使えないことだし…、ということで今回は一旦諦めて対応策を落ち着いて練ることにしました。ちょっと可能性に心当たりはあるのですが、今はとりあえず対応しようがないので、当面DVI接続で我慢です。これが自作パソコンの日常なのですが、懲りもせずに続けるあたり、やっぱり私はオタクなのかも知れません(汗)
楽天投信投資顧問株式会社
CEO兼最高運用責任者 大島和隆
(楽天マネーニュース[株・投資]第84号 2010年10月8日発行より) ==========================================================