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2006.05.04
タイタス・アンドロニカス(2)
(4)
テーマ:
【演劇】何か見に行きますか? 行きましたか?(3487)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
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会場で買ってきた翻訳本やパンフを読んでいると、舞台が蘇えってくる。
今回、娘が、見たい、と言うので、わ、行こ行こ ~ ! と取ったものの、
復讐の連鎖による究極の残酷劇だと知ってショック。
怖いのはめっぽう苦手で、ホラー、サスペンス、オカルト、殺人ニュース、全部ダメ。
オイディプス ( 蜷川ギリシャ悲劇 ) も1度目はまともに見られなかった。
いやだなあ ... と思いつつも、日にちが近づくにつれ、
オイディプス観劇の興奮を思い出して、ちょっとワクワクしてきた。
なにせ、オイ・メンバーの
麻美れい、吉田鋼太郎、壌晴彦 各氏が出ていらっしゃいますし。
事前に原作を読んで予習しておこう、と思っていたのは結局読まずじまい。
前日、公式ページで、粗筋と登場人物の相関図だけは頭に叩き込み出かけたが、
細部はともかく、私でも大丈夫ちゃんと理解できた。
***
タイタス・アンドロニカス
演出監督 蜷川幸雄
翻訳 松岡和子
出演 吉田鋼太郎 タイタス・アンドロニカス ( ローマ帝国武将 )
麻美れい タモーラ ( ゴート族女王 → ローマ帝国皇后 )
小栗旬 エアロン ( ムーア人、タモーラの愛人 )
真中瞳 ラヴィニア ( タイタスの娘 )
鶴見辰吾 サターナイナス ( ローマ帝国皇帝 ) ほか
***
以下ネタバレあり。
1時間前からのプロムナードコンサートをかる~く聴き流し、
ロビーに衣装展示中との情報を得ていたので、会場時間と共に即会場へ。
入場するなり、狭いロビーに、
ハンガーに掛けられた白の綿入りの衣装、 戦国時代の甲冑ふうの衣装、
黒人の赤ん坊、 生首などの生々しい小道具の数々が無造作に展示してある。
ドキドキしながら細部まで見つめてしまう。
朱い絹糸の使われ方に心奪われながら。
パンフを買ったりしていると、会場から、
「 オッ、オッ、オッ、オッ ~~~ 」 という発声が聞こえてくる。
覗いてみると、舞台上には、ロビーと同じく、衣装がハンガーに掛けられ、
役者さんたちがペットボトル片手に発声練習したり、
ジャージ姿でストレッチしたり、談笑したり。
ハンガーから衣装を取り着替える方、
衣装を手直しする裏方さんなども。
吉田鋼太郎さんや壌さんもいらっしゃる。
麻美れいさんや小栗くんの姿は見えず。
客席通路を役者さん方が通り抜けていく。
ロビーの衣装もどうやらただの展示物ではなく、劇中で使うものらしい。
20分前~、10分前~、とアナウンスが掛かる。
スタッフが大勢出てきて小物など整理し始め、慌しくなってくる。
はい、じゃ、始めよっか ~ ! とマイク。 暗転。
全て蜷川流の演出。
これから行かれる予定の方は、開演ぎりぎりに入ってはもったいない。
会場時間 = 開演時間 のつもりがいいようです。
***
劇場内は、渋谷のbunkamuraシアター・コクーンと良く似た造り。
舞台は 真っ白なキャンバス。
舞台にそびえるローマ建国の象徴的な大きな像 “ カピトリーノの雌狼 ” も白。
皇帝、武将らの綿入れの衣装も全て白。
様々な白を微妙な材質感と色味の差で見せる。
場面場面により、それは白い蓮の森にもなり、光と影にうつろう陰影に揺れる。
そこに登場する、小栗旬・扮するエアロンの赤が効いている。
タイタスの娘ラヴィニアを陵辱する、タモーラの息子たちの衣装の 緑と青。
吹き出る血を表わす真紅の絹糸。
これだけが舞台上での主な有彩色。
役者の動きによって、色彩がキャンバスに描かれた抽象画のように変化する。
絹糸で表わされる血は凄惨ではあるものの、生々しさはなく、不思議に美しい。
エアロンは細胞そのものが悪でできているような悪の権化。
劇中唯一の黒人の役であるこの舞台のために、
肌を真っ黒に焼き、髪を金髪にし、腹筋縦割れをめざしたという小栗旬くん、
体当たりの熱演。
なにかに取り付かれているかのような、
のた打ち回るような熱さをほとばしらせて。
吉田鋼太郎さん、3時間出ずっぱりの主役タイタン。
娘ラヴィニアがどんな姿になろうとも、しかと抱きしめてやまない愛情の深さ。
自分の腕投げ打ってでも息子を取り戻そうとする捨て身の愛情。
武将としての威厳も充分保ちながら、それは、近所の熱血漢のおやじさんでもあるかのような、
なんともあったかな人間臭さで胸に迫る。 お人柄ね ^^
吉田鋼太郎さん、壌晴彦さんはじめ、生粋の演劇人の方々は
どんなピアニッシモでも、台詞がきちんと聞き取れるのはさすが。
オイディプスのテイレシアスでも魅せられた壌さんの低音。
お寺の梵鐘がごぉ――んと響き渡るかのように、舞台に荘厳さが加わる。
真中瞳のラヴィーニアはあまりに可哀想すぎる役で、見ていて心底辛くなる。
ボロボロになりながらも必死で生きているラヴィーニアがいたいけ。
麻美れいさん、圧倒的な気高さ。
麻美れい演ずるタモーラだけが、劇中7、8回もの衣装変えがあり、
その都度、髪形までも変え、その際立った美しさで観客を釘付けにする。
背骨までもが完璧に美しい ...。
息子を殺される母親の、気が狂わんばかりの哀しみ。
復讐に燃え、こころ鬼になってゆく姿。
タイタスに媚を売り騙そうとする猫なで声。
様々なタモーラ。
そして、オイディプスでも魂を抜かれたカーテンコールの麻美れい。
その一瞬を見るためだけにでも観劇した価値があると思わせる。
宝塚未体験の私ですが、スターというのはこういうことをいうのでしょうね。
一夜かぎりの大輪の白花・月下美人のように、
はらはらと崩れ落ちるようなそのお辞儀は、一度見たら二度と忘れられず、
ただただ、ひれ伏したくなる。
スターを何十年もやってこられた方ですから、一般人と比べるほうがおかしいけれど、
あのお年にしてあの微塵の崩れもない美しさって 。。。
尊敬以外のなにものでもありません。
ホンキデ、ツメノアカ センジタイデス ^^
ツメノアカ センンジタイ、 と言えば、大将・蜷川幸雄さん、凄いですよね ~
70過ぎてこの暴走ぶりって。
大竹しのぶ いわく、 「 疾走するジジイ 」 !!!
枯れ味、なんていう容易い逃げ口上は決して使わず、進化し続けてる。 凄すぎる !
タイタン劇の心象風景とか、 ぽつりぽつり ツヅク 。。。
***
彩の国さいたま芸術劇場 2006・4・21~5・7
富山市芸術文化ホール 2006・5・13~14
大阪シアター・ドラマシティ 2006・5・19~21
新潟市民芸術文化会館劇場 2006・6・3~4
英国公演 ロイヤル・シェイクスピア・シアター 2006・6・16~24
シアター・ロイヤル・プリマス 2006・6・29~7・1
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Last updated 2006.05.05 09:55:47
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