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2012/05/02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
3.11がもたらした
     言葉の重みを考える




瓦礫の中から言葉を


この人の本を読むと「なんて言葉に鋭敏で、時代を敏感に察知する人なんだろう」

といつも思います。

昨年、大震災が降りかかった石巻出身の筆者にとって、かつては離れることが当然と考えて

いた故郷とは、これまでは格別に意識する対象ではなかったようです。

しかし、跡形もなく破壊された映像を見たとき、まさに自分を形成してきたもの、

内面、記憶、そうしたものが根こそぎもっていかれたと茫然自失し、日々痛みの大きさを

思い知らされます。





ACジャパンのCMで呪文のように繰り返された「あいさつの魔法」「こだまでしょうか」。

違和感を感じたのは筆者だけではなく、サブリミナルな意識統制があったと見る向きは

少なくありません。

けれども、一方で詩集を買い求めた人やYouTubeで再生した人も多くいて、戦時中に国民が

自主的に抑制し、内部統制が起こったのによく似ていると指摘しています。




失われたものの大きさに比して、あまりに軽い言葉が跋扈している。

のっぺりとした、とってつけたような「やさしさ」だけが蔓延していて、表現の貧弱さに

ぞっとすると筆者はいいます。



あまりの空しさに襲われると、人は表現すべき言葉を見出せないのではないでしょうか。

でもせめて、生きていくからには、言うべき言葉は見あたらなくとも、感じ取ろうとする

意識は保っていなければなりません。




私たちが失ったものは何だったのか、また失われていないものは何なのか。

これ以上のことが起こるかもしれないという畏れとともに。





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Last updated  2012/05/02 02:35:06 PM
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