2009年11月22日
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カテゴリ: Contents-Tracks
自分の小遣いで、初めて映画を観たのは、高校生になってからだった。
宇宙人と人類との戦いを描いたSF映画、”インディペンデンス・デイ (1996)"。

http://ja.wikipedia.org/wiki/インデペンデンス・デイ

そのときの感動からか、いわゆる「SF地球滅亡系」にどうも弱いようだ。
それ以降、似たような映画が公開される度に、映画館に足を運ぶこととなる。

「ボルケーノ (1997)」
「ディープ・インパクト (1998)」
「アルマゲドン (1998)」
「ザ・コア (2003)」

「宇宙戦争 (2005-再)」
「サウンド・オブ・サンダー (2006)」
「トゥモローワールド (2006)」
「アイアムレジェンド (2007)」
「地球が静止する日 (2008-再)」
「パンドラム (2009)」

火山、隕石、気象変動、宇宙人、ウィルス、進化...と、毎度 "敵" は異なるものの、
共通して言えることは、「人類、なんとか生き残ったよね!」と両手を広げて喜べることだった。
しかし、今回 "2012"を観て、そう簡単に喜べなかったこと気がついた。
原因は何だったのか。

1. あまりにも陳腐なストーリーライン


そんな中、科学者(大概が主人公)が地球のどこかで何らかの異常を発見する。
主人公は迫り来る災害の中を、必死に駆けずり回り、
(その途中で数えきれない人間が死ぬが、そこまでフォーカスされないままに)
天文学的な確率で、幸運にもその周囲の人間だけが生き残ることになる。
滅亡に直面した家族や恋人同士は、改めてその絆を認識し、


何故にここまで教科書に忠実なのか。
マニュアルでもあるかのような、アルマゲドン的台本。
この手の映画に最早「意外な結末」は求められていないのかもしれない。

2. テキトーな社会設定

異変を察知し、第一報を報告する各国首脳のテレビ会議画面は8つ。
発言するのが欧州各国のみであることを考慮すると、
G8+EUなのかな?と思ってみたりもするが、
EU大統領やら、G20やらが議論されているこの時代に、
地球危機を話し合う場としては、あまりにも古びた光景に思えてならない。

最後に逃げ込むことになる潜水艦も、キリンさんや象さんを匿っている割には
全世界の人類をフォローしているとは思えない。
(そもそもキリンさんは、あんな風にヘリコプターで運んで平気なのか?)
そのくせ最後に「人類は皆平等だ」的メッセージを発してしまうあたりが、また痛々しい。

3. CGの功罪

大きくひび割れる地面、襲いかかる大津波、絶え間なく落ちてくる火山岩!
CGの表現力はここまで来たかと関心する。
しかしその表現があまりにも壮大すぎて、その中を逃げ惑う人間にリアリティがなさすぎる。
逃げ続ける主人公の表情は、死と直面し続ける人間のそれとはとても思えない。
しかし一方で、この想像を絶する災害を、神様のような手さばきで主人公たちはくぐり抜けてしまう。
その現実離れしたCGと人間のミスマッチに、途中で笑いさえ出てしまった。

4. プロダクト・プレイスメント

気になり出すと止まらない。
何度も登場するSONY VAIO、雪上に7:3のベストアングルで止まるベントレー。
果たしておいくらなのでしょうか。
それらが、あの火山爆発CGに使われていることは確かだけれども。

5. 幸せって何ですか?

人類滅亡の危機に瀕して、改めて家族や恋人との深い絆に気付く...
というには、あまりにも大きすぎる代償。
CGの功罪で全く主人公に感情移入できていない中で、するりと潜水艦に逃げ込めても
「危機にズルして生き残った人たち」ぐらいにしか思えない。

どうせなら、あのでかい飛行機をヒマラヤの山腹に不時着させたパイロットに拍手を送りたいが、
彼さえも呆気なく谷底に墜落させてしまう容赦ない感覚。
その独善的な価値観が、観ている方の気持ちを複雑にさせる。



こんなに映画を酷評したのは初めてだが、
そういう点では、意味のある一本になったと思う。

こんなことを書いておきながら、また時が来たら映画館に行ってしまうのだろう。
「地球最大の危機!果たして人類は生き残れるのか!?」

どなたか、結局人類が生き残れないパターンの映画も作ってください。





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最終更新日  2009年11月23日 19時16分11秒
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Re:映画/2012(11/22)  
通りすがり さん
あまりにも気になったので、同じことを考えてる方はいないのか検索して、やってきました。映画を見ている間中、「もしかしてこのダイニングのミニテレビもSONY製なんじゃ?」「やっぱそうかよ!」みたいな感じで広告人としては痛かったです(笑)。見終わったあとのストーリーの感想もまったくもって同意です。CGだけは物凄かったなぁと。15分も余裕で救われました!とかじゃダメなのか、残り1秒とかいう王道は人間の心理を研究した結果、これじゃなきゃダメという方向で決まったのか・・。この手の映画は、分かっちゃいるのになんで興奮しちゃうんだろうと思うと、意外とそんなものなのかも知れません。 (2009年11月30日 00時08分36秒)

Re:映画/2012(11/22)  
通りすがり さん
あまりにも気になったので、同じことを考えてる方はいないのか検索して、やってきました。映画を見ている間中、「もしかしてこのダイニングのミニテレビもSONY製なんじゃ?」「やっぱそうかよ!」みたいな感じで広告人としては痛かったです(笑)。見終わったあとのストーリーの感想もまったくもって同意です。CGだけは物凄かったなぁと。15分も余裕で救われました!とかじゃダメなのか、残り1秒とかいう王道は人間の心理を研究した結果、これじゃなきゃダメという方向で決まったのか・・。この手の映画は、分かっちゃいるのになんで興奮しちゃうんだろうと思うと、意外とそんなものなのかも知れません。 (2009年11月30日 00時09分58秒)

Re[1]:映画/2012(11/22)  
moto0208  さん
通りすがりさん
>あまりにも気になったので、同じことを考えてる方はいないのか検索して、やってきました。映画を見ている間中、「もしかしてこのダイニングのミニテレビもSONY製なんじゃ?」「やっぱそうかよ!」みたいな感じで広告人としては痛かったです(笑)。見終わったあとのストーリーの感想もまったくもって同意です。CGだけは物凄かったなぁと。15分も余裕で救われました!とかじゃダメなのか、残り1秒とかいう王道は人間の心理を研究した結果、これじゃなきゃダメという方向で決まったのか・・。この手の映画は、分かっちゃいるのになんで興奮しちゃうんだろうと思うと、意外とそんなものなのかも知れません。
-----
全く同意です。
一言で言うと完全なるリアリティ欠如ですね。
なぜCGリアリティを追求する余裕があるなら
ストーリーラインのリアリティの追求をしないのでしょうかね。
15分前の余裕の救出...見てみたいです(笑) (2009年12月13日 10時17分48秒)

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