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January 21, 2007
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テーマ: 京都。(6132)
カテゴリ: 京都・奈良

自転車で巡礼の旅はまだまだ続きます。この日は暴風のために、列車の運休が相次いだ日で、こんな中を自転車に乗るのはホントにきついです。特に逆風が吹くと、急勾配の下り坂でさえ、どんどんスピードが落ちていくという悲劇がおこります。20歳後半になると、昔のように活発ではなく、やっぱ電車で来るべきだったと何度も悔やみました。

さて、本題にいきましょう。今までいくつかのお寺を紹介してきましたが、この一帯は非常に優れた仏像を見ることができます。それらのお寺に共通点があります。それは、木津川沿いにお寺が建立されていると言うことです。つまり、自動車なんて存在しない当時、木津川は交通の要になっていて、船による物資の運搬が盛んに行われていました。そのため、お寺を建築する木材の運搬が容易であったために、木津川沿いにお寺が点々としているものと考えられています。また、台風などの集中豪雨により度々大氾濫を起こしていました。そのため、水上の交通安全、集中豪雨による被害を抑えようと、それらを祈願する目的で木津川沿いにお寺が建立されたとも考えられます。

その木津川の支流として『普賢寺川』が流れています。その川沿いに自転車を走らせていると、同志社大学の大きなキャンパスが見えてきます。こんな田舎に通う学生は、退屈していることだろうなぁと思ってしまいますが、まっ、勉強するには最高の環境ですね(笑)。その同志社大学の隣に『大御堂 観音寺』と呼ばれる小さなお寺があります。
本堂.jpg

京都で『観音寺』と言えば『 今熊野観音寺 』を連想されることでしょうが、これからご紹介する観音寺では大変素晴らしい観音様を拝見することができます。現在残されている 国宝の十一面観音像 はわずか8体だけです。そのうちの1つがここ『大御堂 観音寺』に安置されています。

仏像を拝観したいと申し出ると、『本堂の前でお待ちください。』と言われました。しばらく待っていると、法衣に着替えたご住職さんがお見えになりました。僕1人で訪問しているのにもかかわらず、ちゃんと正装をしてお出迎えしていただいて、そのおもてなしに大変恐縮してしまいました。ご住職さんのご案内により本堂へ上げていただくと、外観からは想像もできないほど広い空間に、その真ん中には扉が閉ざされた大きな 厨子 がありました。ご住職さんがお香を焚き、ろうそくに火を灯されると、昨日のブログでも紹介したように、ご住職さんのお念仏が始まりました。そして、念仏の最後に『この参拝者の、家内安全、心願成就…』という意の呪文が唱えられました。またまたご祈祷をしてもらいました♪

そして、ご住職さんが厨子の扉を開けて下さると、そこには非常に美しい国宝十一面観音像が金箔の施された厨子の中に収められていてました。漆が厚く盛られているために、金箔から発せられる黄金の光が観音様に反射して、その光景といい、彫刻の素晴らしさといい、今までに見てきた観音像のなかで最も素晴らしい作品であると感じました。学術的には観音様に性別はないと言われていますが、明らかに女性をモデルにして作られた作品だと思います。そう考えると、この仏像の作者が、好きになった女性の姿を思い浮かべながら、日夜彫刻を刻んでいたと想像すると、何かロマンが感じられますね(笑)。

その美しい仏様の前で、心を奪われたかのように眺めていると、後ろからご住職さんが観音寺の歴史や仏像をご丁寧にご説明をしてくださいました。その中で気になったのが、このお寺は奈良の『東大寺のお水取り』と密接な関係があるんです。そう言えば、本堂の前に 根っこから抜き取られた竹 が置いてありました(写真の左奥側が竹の根です。)。
竹.jpg

実は、お水取りを最初に初められたのが、このお寺の第1代住職、実忠僧正です。この近辺でとれた竹をこのお寺に運び、観音寺から東大寺二月堂までの道中の安全を祈願します。その後、この竹に『 山城松明講 』の文字を入れて、二月堂へ向けて出発します。

ここのご住職さん、とても気さくな方で、僕の質問にも丁寧に答えてくださいます。是非、このお寺にご訪問されて、美しい観音様をご覧になってみてはいかがですか。

☆住所 京都府京田辺市普賢寺(同志社大の隣)
☆電話 0774-62-0668 ( 要予約






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Last updated  January 21, 2007 11:13:32 AM
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