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April 29, 2006
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カテゴリ: 美術
いや。本当にノリがあいませんでした。

うーん。

私は、現代美術は分からない、と言いながら、好き嫌いの基準ははっきりしています。
つまり、観て私が心地良いか、あるいは何かに気付かせてくれるか。

今回の展覧会は、観て心地良くない上に、作家の心情吐露の域を出ない作品が相対的に多く、ちっとも作品とコミュニケート出来-したいと思いませんでした。

展示の方法もあるのでしょうけど。

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例えば、入ってすぐの ライザ・ルー さんの作品。


ワークショップの形で、一般の人も参加し、3年余りかけて作られた、という解説には納得しましたが、「と。

広告の写真に載っていたように、この作品を現実の庭と対峙させて置く時、作品は現代文明に対する批評になり得ます。

あるいは、ワークショップの参加者にとっては、特別な作品であることでしょう。

しかし、完成した作品を、美術館の閉鎖空間の中で見せたところで、「 すごく良く出来た工芸作品ですねぇ。 」以上のものではありません。

まだしも、ばらばらにして、草刈機だけ、蜂だけ、バーベキューセットだけ、ケースに入れて展示してくれた方が(それこそ本物と併置して)、その技術なり、批評性を伝えることが出来るでしょう。

3年かけて、この大きさで作る意味がいまいち私の中で焦点を結ばないのです。
いっそ、完成させない作品にして、ここでもワークショップを開くとかすれば面白いのに。

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今回、ポスターにも使われた、 ロン・ミュエク

女性がベッドに横たわり、顔と手を出しています。

その巨大さは、瞠目に値しますし、細部-毛穴から染み、浮き出た血管に至るまで、本物かと思わせるほどのリアリズムに満ち満ちていて、その技術は凄い、なのですが、「作品」として見た時に、 「だから何?」 と。

「リアル」で「大きい」の意味が分からない。

紺洲堂主人さん のページにある「 石原知事の発言

だって、あれは「母」の顔ではないですよ。
あんな物憂い顔で、子供と視線を合わそうともしない年老いた「母」?

それとも、そこまで含めて表現しようとしたの?

だったら余計、他の表現方法があるんじゃない?
あるいは別の形で説明する必要があるんじゃない?

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2Fにあるのは、 松井えり菜 さんという、日本人作家さんの作品で、22歳とお若くて活躍されていることは、応援するのですが、残念ながら彼女の作品も「だから何?」と。

画面いっぱいに、エビチリを頬張っている作家さんの顔がアップで描かれています。
平たく言えばそれだけの作品。

「食べている自分」をデフォルメして醜悪に描いて見せているあたりはセンスが感じられます。

が、「 あなたが“エビチリが好きだ”と言うのは分かったが、それをこういう作品の形で表現することの意味が、私には伝わらない 」と。

例えば、どこかで『エビと日本人』への言及でもあるのであれば、まだしもですけど、そんな思想性すらも、この作品からは感じられない。

あくまで、主役は作者自身。

で、自分を醜く見せるというのなら、会田誠さんの「男の酒」くらいまで行き着かざるを得ないかしら、と私は思うのですが、でも、たぶん、この作者は現在そこまで想定していない。

やっぱり、「 あなたが“エビチリが好きだ”と言うのは分かったが、それをこういう作品の形で表現することの意味が、私には伝わらない 」と言うしかないのです。

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そして、何より最悪だったのは、3階の1室目の作品。

トニー・アウスラー さんの作品なのですが、これが、たくさんの巨大な球体に、人の「目」が映写されているという代物。

直径1メートルくらいの、まばたきする「 目玉 」がゴロゴロしていると思っていただければ…。

本当は、周りの映像も含めて、何かしらメッセージ性の高い作品だったのかも知れませんが、ファーストインパクトの気持ち悪さだけで、ろくに作品を見ることもままなりませんでした。

別にそれは、作品の好き嫌いで、作品自体を悪く言うつもりはないのですが、何が最悪って、この「目玉」がいくつも並ぶ部屋を通り抜けないと次の部屋に行けない展示になっていたこと。

館員の方が親切に(皮肉ではないですよ)「順路はこちら」と案内して下さったのに従ったのですが…、3階だけ逆で回って、これを避ければ良かったな。

うー。夢に見そう。

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もちろん、素敵な作品も、いくつかありました。

リチャード・アーシュワーガー さんの、でっかい「...?」は、私の好きなタイプの作品ですし、 サラ・ジー さんの2Fまで伸びる、自由なインスタレーション作品なんかは、ワタリウムさんで観てみたい。

森山大道 さんの作品の迫力はすごくて、その偉大さが良く分かりました。

飛行機も潜水艦もありましたし。
(両方とも乗れないのは歯がゆかったですけど。)

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現代美術について、いつもは素敵に感じた作品の紹介をしてきましたけど、今回はあまりにチューニングがあいませんでした。

本当、冗談でも、誰か誘ったりしなくて良かった。

ま、mixiの美術系コミュでは、みなさん褒めていらっしゃいますので、ウマがあえば、楽しいのでしょう。
感じ方は人それぞれですから。

=====
『カルティエ現代美術財団コレクション展』

東京都現代美術館 (木場・清澄白河)

[会期]2006.04/22(土)~07/02(日)

作者:-

★☆☆☆☆





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Last updated  May 2, 2006 11:14:59 PM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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