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世界から猫が消えたなら 著者 : 川村元気
原作を読んで映画も観ました。
脳腫瘍で余命わずかな主人公の「ボク」は、世界から何かを一つづつ消すごとに1日分の命が得られるという自分そっくりな悪魔の取引に応じる。
電話、映画、時計・・・ 消えていく物と一緒に、決して取引できないもっと大切なものに「ボク」は気付いていく。
たとえ「ボク」がこの世から消えてしまっても、世界は何も変わらないように思えても、「ボク」が死ぬことに号泣してくれる親友や、心のどこかで「ボク」を待っていてくれた元彼女の存在や家族の思い出・・・ 時を超えて届けられた母親からの手紙・・ いつも「ボク」に寄り添ってくれている猫のキャベツ・・
かけがえのないものがこの世から消えていく。
(本文より )
「人生は近くで見ると悲劇だけれど、遠くから見れば喜劇だ」 その男は僕に言う。 シルクハットに大きめのタキシード姿で、スティックを振り回しながら。
続けて男は言う。
「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ。」
タキシードの男はそのチョビ髭を触りながら近付いてくる。
「意味を考えていたって始まらないよ。意味なんてどうでもいいじゃないか。生きていくことは美しくてすばらしい。くらげにだって生きている意味がある」
生きていくことが意味不明になっているいまの僕。
チャップリンは僕の目の前に立ち、シルクハットを自分の顔にかぶせる。 (映画 「ライムライト」より)
映画 「世界から猫が消えたなら」

監督 : 永井 聡
出演 : 佐藤 健 宮崎あおい 濱田 岳 原田美枝子 奥田瑛二
アルゼンチン、ブエノスアイレスの賑やかで色彩あふれる街並みや大迫力で落ちるイグアスの滝、エネルギッシュな「生」と突然の人の「死」が隣り合わせに強烈に表現されている。
対比する静かなモノトーンの主人公の部屋。 坂のある港町の父親の暮らす古い時計店。どこまでも続くふんわりとした時間。
原作とは違うけれど、最初の飼い猫が死んで悲しみから立ち直れない妻に、同じ種類でそっくりの捨て猫をキャベツの段ボール箱に用意した感情表現の不器用な父親の演出が良かった。
職人気質で、息子が生まれる時も妻が危篤状態の時も、ひたすら妻の時計を修理している無口な父親の心情が伝わり泣けてきた。
配役も良かったし音楽も良かった。
猫も可愛かった。

世界から僕が消えたなら・・・・・・。
叶えられなかった夢や思い、生きている間にできなかったこと
やり残したこと、後悔がきっとたくさん残るだろう。
だけど、僕がいた世界と
いなくなった世界はきっと違うはずだと信じたい。
本当に小さな小さな違いかもしれない。
でも、それこそが僕がいきてきた証。
もがいて、悩んで、生きてきた証・・・・・・。
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