旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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フイルム.ノワールとヌーベルバーグ



戦後のフランス映画はフイルム.ノワールの全盛期である.
フイルムノワールーーー一言で 暗黒映画ーーの事である。

1950年代はまさにフランス製の犯罪映画の絶頂期。
アメリカのギャング映画のようなアクションものとは違って、
より心理的で地味な仕上がり。

ヨーロッパの古い街並みと、ギャングというアンバランスな
組み合わせが独特の暗い洒落たムードを放っている。

主人公はある過去を持つ殺し屋であったり、
戦争から帰ったばかりの虚無的なおとこであったり
アメリカ映画にはないーーー
ーーそう、ニヒリズムーーが漂っているのであります。

フランス映画第一時期黄金時代の
アンリ.ジョリュジュ.クルーゾーやジュリアン.デヴイヴィエ、
の作品の中にもこのフイルム.ノワールといわれるジャンルの
ものがあり
ジャック.ベッケルやイヴ.シャンピ、そしてジャン.ピエール.
メルヴイルといった監督の手に渡っていった。

殺意の瞬間、現金に手を出すな。殺人鬼に罠をかけろ、
1960年代に入ると
穴、いぬ、サムライ、リスボン特急、仁義へと発展していく。

このフイルム.ノワールも1950年代後半で頂点に達し、
ジャン.ギャバンや後半のアラン.ドロン。
ジャンポール.ベルモンドといった俳優が犯罪映画という
場所を得て、
生き生きと新境地を開いていった。
リノ.バンチェラ.ロベール.オッセン、
ポール.ムーリスなど独特のムードをもった俳優たちが
フイルム.ノワールから巣立ったのである。
1960年後半.地下室ノメロデイーやさらば友よー
ル.ジタンなどなど傑作が生まれた。

そしてこの頃から、一方で
ヌーベル.バーグーーー新しい波ーーが
出てきた。

この特徴はといえば
それまで監督というのは大体、撮影所の現場で監督について
助監督なりをしながら学んでいたものだが
この人たちは苦労をして監督になった人たちではない。

最近は誰もが映画の監督を安易にやれるようになっている。
多分そんな感覚と同じであったと思うが、
この人たちはそのころの映画評論誌などで評論を書いていた
20代の若い映画青年たちで、その彼らが映画を作ってしまった。

ゴダールは”勝手にしやがれ”、
トルフォーは”大人は判ってくれない”
シャブローは”いとこ同志”
で世に出た。

彼らの描くそのころの現代青年像は、世界的な注目を集めて
しまった.

評論を書くペンがカメラに変わっただけだーーという
素人っぽいものであったが、
それがなぜ定着したかといえば彼らの古典尊重主義が根底に
あったからであろう。

アメリカのハワード.ホークスや、ヒッチコックが
あれまでになったのも
彼らヌーベルバーグ派の力によるところも大きい。

その後も宝石、石ころ、玉石入り混じった若手監督が
流行として世に出た人たちは消えていき、
ゴダールは政治志向を強め、トリュホーはアメリカ資本も
上手く使って制作を続け、シャブローはサスペンスものへと
変わっていきつつも残った.

日本の松竹ヌーベル.バーグやドイツのヌーベルバーグへと
影響を与えたのはご存知のとおりである.

私は個人的にはフイルム、ノワールの作品が断然好きです。

郷愁、古い巴里、情緒、義理人情の世界、
日本の時代劇にも繋がるノワールが大好きですね。

なんといってもその木目の細かさの魅力であろう。
アメリカの大地の広さからくるスケールはないが、
その分情緒たっぷりのフランス映画.

もっともっとこれから紹介していきますね。



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