旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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北原三枝とローレン.バコール!




その名前は知っていても、何時もセピア色のふるーーい雑誌で
見るだけだった、ローレン.バコール.
切りぬいて、切りぬいて宝物のようにしていた。
写真の切り抜き。

そうあのボギー(ハンフリー.ボガード)の奥様である。
その頃の写真に見る彼女は20代そこそこだったと思うのだが、
素敵な大人の女性で、豹のような目つきではあったが、
決してヴァンプのようなタイプではなく、
むしろ、知的で、クールで、..スタイル、着こなし共に
抜群の女優であった.

変に殿方が近づこうものなら.鼻であしらわれるのでは
ないかと思わせる雰囲気の人だった。

でも、本当にカッコイイと思って、
彼女のその洗練されたシンプルなファッションに憧れた。

だから、私は今でも、基本は良質のブラウス、セーター、
カーデイガン、に普通丈の良質のスカートかパンツと決めている。

そして、上質の、けばくないスカーフか真珠のネックレスという
パターンのおしゃれをずーっと通してきた。

スーツもオーソドックス。

このオーソドックスを格好良く着るか、野暮になるか、
紙一重で、...だから、なお挑戦し、また、好きなスタイル
である.

まさに、バコールのファッションの基本であった。

オートクチュールのファッショナブルな女優さんは
日本にも、海の向こうにもたくさんいたし、その後も出てきた。
(例えば、A.ヘップバーンに代表される)
が、彼女の独特の生来の洗練されたおしゃれ、デザイナーに
着せられたという感じではなく、
彼女の好みのおしゃれだから板についていて、素敵なのだ。

見た目は仕事がバリバリ出来て、男を寄せ付けず、頼らず、と
こちらが勝手にイメージを作ったわけだが...

北原三枝をはじめてスクリーンで見た時、
アッ バコールだ!と 思った。

彼女に比ぶれば、やや小ぶりではあるが、
日本の女優の中では小さい方ではない.

岸 恵子主演の”君の名は”など松竹に在籍していた頃の出演作品は
数本しか見たことないが、
それでも、もうそのころその雰囲気を漂わせていたから、

もともと、感覚の素敵な人だったのだと思う。

日活に入ってからの彼女はますますカッコよくなった.

美人と言うのはどちらかと言うと田舎臭いタイプが多いなか、

こういうタイプは全体の雰囲気で魅力があるもので、
醸し出すものや、手足や、仕草が途方もなく魅力的である
場合が多いと思う。

クール...、今の女優さんでは皆無だ.
隠れたフアンも多かったはずだ。
石原裕次郎は彼女の大フアンであったから.
彼女に会えるという理由で日活撮影所に遊びに来て
水の江滝子にスカウトされた.

だから、裕ちゃんがデビューしたての頃に彼女と共演した
作品では年上と言うこともあるが、断然彼女が格が上であるから
画面でもそれが感じられた。

”狂った果実”でも、”嵐を呼ぶ男”でも、まだまだ、
三枝さんが格が上であった.  が、

もう二人が恋愛中であった”陽のあたる坂道”では
完全に裕ちゃんを立てて、クールさは消え、控えめさえを
感じる押さえた演技であった.

裕ちゃんが病に倒れてから、度々テレビなどに映るようになった
三枝さんを見て、大半の人がいくら歳を重ねたとはいえ
” 同じ人? ”と疑った人は多かった。

同じ頃活躍した女優さんが今もずーっと現役で
映像に映る人たちに比べその変わりようは多分
ビックリしたと思う。  が...それ程彼女はあの当時
素敵であった。ということで、
裕ちゃんしかつりあわない。

これほど、貫禄としての相性はないと思うほど、お似合いの
カップルだった。

芦川いづみや、浅丘ルリ子では裕ちゃんと、共演しても
ただ、可愛いだけの女性であり、対に張り合える相手は
三枝さんしかいなかった。

そして、
あの結婚で三枝さんはいなくなり、まきこさんがずーっと
裕ちゃんに寄り添った..つまり、まきこさんが
普通の主婦をして、普通の女性と同じように歳を経た
だけのことだと思う.
女優北原三枝が歳を重ねて老けたのではない。
そこの所を勘違いしないで欲しいのだ。

万人の人に見られて女優さんは美しさを保つ。
バコールは現役でいるから、歳は経ても昔の洗練された雰囲気は
80を過ぎてもまだ残っていて、変わらない。

どんな映画に出ても圧倒的な存在感のあった二人。

日劇ダンシングチーム出身の抜群のスタイルと、ボーイッシュな
顔立ち。
浅丘ルリ子や吉永早百合が出る前に
大人の観客に圧倒的に支持を受け、
一時代を築いた女優.

太陽族スターと呼ぶにはあまりニカッコ良かった.
普通のひととしてのまきこさんも
全く違った魅力的な人であることには間違いない。



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