旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

≪雨の朝巴里に死す≫≪愛情の花咲く樹≫


   エリザベス.テーラー作品
1.≪雨の朝巴里に死す≫
2.≪愛情の花咲く樹≫

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1. ≪雨の朝巴里に死す≫

『熱いトタン屋根の猫』でメガホンを撮ったリチャード.ブルックス監督の
『雨の朝巴里に死す』...

第2次大戦が終わった日、
シャンゼリゼ通りは勝利の喜びに湧きかえっていた.
”星条旗紙”の記者として軍務についていた
チャールズ(ヴアン.ジョンソン)も、行き交う人と抱き合って
喜びを分かち合っていた。

人ごみの中で行きずりの美しい女性から喜びのキスを受けた。
言葉も交わす暇も無く、人の流れに押され、二人とも人ごみに
呑まれて行った。

チャールズは昔、いつも行っていたカフエである女性に出会う。
エルスワース家の娘でマリオン(ドナ.リード)という.

マリオンの招待で、その夜エルスワース家のパーテイーに
出向いたチャールズはそこで、昼間逢った美しい女性に再会した。

ヘレン(エリザベス.テーラー)といってマリオンの妹であった。
ヘレンは華やかでありながら飾り気が無く、
チャールズの心を揺さぶった。

堅実派のマリオンはチャールズの好意を感じていたが、
積極的で天真爛漫な妹が、彼の心を捉えはしないかと
不安になった.

安に相して、ヘレンとチャールズはこの戦後の苦しみの中で
愛し合うようになっていった。

除隊になった彼はヘレンの希望で巴里にとどまり、結婚した。
彼は昼間は通信社に勤め、夜は前々から念願だった小説を書き始めた。
忙しくてヘレンのことを構わなくなったチャールズ、
ヘレンという女性........情熱的で、一日一日を大事に思う存分
生きたいと願っている。
本来、やさしくて、心の温かい女性である。二人の間に女の子が
生まれ、ビッキーと名づける。
チャールズの書く小説は一向に認められない。
ヘレンの気遣いもうっとおしく感じ、焦りだけが彼の目の前にある。
ヘレンは淋しさで遊び歩くようになるが、本当は家庭的な女性なのである。

しかしいつしかヘレンはこういった生活にも飽き始め、家庭のことを
真剣に思うようになる。
が、お互いに強く愛し合いながらも二人の気持ちは
かみ合わなくなる。

ある夜カフエで若い男と仲良く話しているのを見た、チャールズは喧嘩を
売ってしまい、酔って帰って入り口の鍵をかけたまま寝入ってしまう・
遅く帰ってきたヘレンは締め出されてしまい雨の中をさまよい、
姉夫婦の所にたどり着いた時はひどい高熱であった。

もともとあまり丈夫でないヘレンは翌日かけつけたチャールズに
娘ビッキーの将来を頼み、また永遠の愛を誓って、息を引き取った。

後悔とヘレンの強い愛に身を切られる思いで、
横たわる妻の傍を離れることが出来なかった.

怒ったマリオンはビッキーを自分のもとに引き取ってしまう。
悲しみのあまり巴里にとどまることが出来ずに
故国アメリカへ帰る.

作家として世に出た彼は、ヘレンそのものであるビッキーが忘れられず、
巴里に出てくるが、マリオンは冷たく突っぱねるだけであった。

マリオンの夫は、マリオンが自分の愛に目も呉れなかったチャールズを
許せないのだということを知っていた。
夫に諭されたマリオンは自分たち夫婦の冷えた気持ちに比べ、
ヘレンが死んだ今でも二人は愛し合っているのだということを
悟り、チャールズを許すのであった。

ヘレンそのものであるビッキーをしっかりと
抱きしめるチャールズであった.

献身的に尽くすとはどういうことか.
家庭的とはどういうことか
お料理、洗濯、お掃除をしっかりとやること?
それも必要だが、これはその夫婦の考え方で重きを置くとは限らない。
なぜなら、これは基本的なことで当たり前のことだと思うからだ.

相手の嫌なことを決してしない。
しかし気に入られようとすることは必要無い.
なぜなら、こういうことは長続きしない。
いやがることをしないことが一番自然体で長続きもする。
気に入られようとすることは、本来の自分を嘘で固める危険がある。

あとは、一組、一組の夫婦でその夫婦にあった形が出きればよいと思う。
マリオンは一見賢く、良妻賢母型かもしれない。

だが、人のいやがることを平気でするように思えてならない。

ヘレンは温かい。積極的で突っ走るかもしれないが
人間の基本的な人のいやがることをしないし、自分に正直である。
そして、チャールズを庇い、気を配る.
ただ、メイド的な妻にはなれない.
そういう彼女に惚れたチャールズだから
それ以上の女性はいないのだろう。
真の意味の家庭的ということは何なのか?


もう一度考えてみましょうね。
わたしも人様に嫌なことをしてないか
反省してみます。

アメリカ映画というのは”雨”のシーンを実にうまく使う。
殆どが喜びのシーンだ.
『傷だらけの栄光』では、雨の中を恋人を探して
80軒もの映画館を歩き回り、
やっと見つけた時の喜びのあのシーン.

そして、この『雨の朝......』では
初めて二人がデイとをした時、雨に合い、
カフエの前で別れるのだが
傘が無い為濡れてヘレンは風邪を引く.
彼女を見舞った時に二人は結婚を誓い合う..。雨が結んだ恋ですね。
最初の雨で肺炎を起こしたのは、
ラストの雨での彼女の死を暗示する
伏線・・アンダーブロットなんですね。
最初の雨が喜びの雨でしたが、
ラストの雨は悲しみの雨となってしまいました。

わたしたちもどんな愛を見つけ育むのか
もう一度考えて見てくださいまし。

わたしゃ相棒がいないから、
皆様のお話をにこにことお聞きするだけでござりまするが...。

制作  米  1955年度
監督   リチャード.ブルックス
出演   E.テーラー/ヴアン.ジョンソン/ドナ.リード/
      ウオルター.ビジョン
リズ、23歳...最高に美しい時、ため息ものです。

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2.≪愛情の花咲く樹≫≪愛情の花咲く樹≫


時代は、1859年、インデイアナ州のある町.

ピーデイ高校の卒業式が控えている。
ジョン(モンゴメリー.クリフト)と
ネル(エヴア.マリー.セント)は
幼馴染であり、周囲の誰もが
この先結婚するだろうと思っていた。

この町には美しい森と沼がある。

卒業式を控えて、担任の先生がある話しをする.
この先生は一種独特な雰囲気で、
一見インチキ詐欺師のような雰囲気!

”昔、リンゴ園を開拓した伝道師がいて、
その人がリンゴの種でなく、レインツリーという黄金の木を
探していた。
この州のどこかにあるらしい.
その木は富みや金、といったものではなく、
平和と愛をもたらしてくれる木だ。
みんなもその木を見つけることだ!”

みんなは半信半疑でそんな話しのことは忘れた。

ある日、町の写真館ではっとする美人と出会う。
ジョンはたちまちとりこになる.

スザンナという.(エリザベス.テイーラー)

それからすぐに親しくなり、
彼女はジョンに積極的に近づく。

ネルの心は穏やかではない.

スザンナはレインツリーという木の話を知っていて、
きっとあると信じている.
彼女は明日、ニューオルリンズに帰る.

ここに来たのは昔住んでいた叔母ののうちを売るためらしい.
今度いつ合えるか分からない.
彼らは結ばれた。何か神秘的な彼女に魅かれていったジョン。

ネルはジョンを避けるようになった。
ジョージアへ行っていたスザンナが帰ってきて
ジョンを駅で待ち受けていた.
妊娠していると告げるスザンナ。

責任をとって結婚するとネルニ告げるジョン。
ネルは、一度は愛し合ったものとして二人の幸せを祈るが、
今まで持っていた大事な手紙と彼の詩を返す.

ジョンはネルが嫌いではない。ネルも今でも
ジョンを愛している.

詩の好きな二人はバイロンの詩を思い出しお互いに
健やかでと...。
ジョンはスザンナとジョージアへ向かう。

船の中で彼女が整理するスーツケースのなかには
人形だらけである。いつも持ち歩いたのだ.

驚くジョン。
尋常の数ではない。わたしを守ってねという。

なにかに怯えているスザンナ.
新生活が始まってパーテイーの席上。

すずめたちがスザンナのことをとやかく噂している。
なぜ彼女がジョージアの男と結婚しなかったか?

そして今は廃墟となっているスザンナの家を訪ねる二人。
火事で焼けたという..わたしは助かったけどヘンリエッタは
死んだという.
両親の墓もある.
3歳か4歳の時のことらしい。
ヘンリエッタは乳母だったらしい.
黒人だったけど素晴らしい人だったと.

彼女のお墓の前で変なことを言うスザンナ。
ヘンリエッタは本当にこの中にいるのかしら?
まちの噂ではママとヘンリエッタが入れ替わったというの。

急に今度は、今の話しは全部うそだという。
ジョンは何かを感じながらも彼女を優しく抱きしめる。

ジョンはスザンナの過去に何があったのかを調べ出す。
スザンナの母親は精神病で夫は上院議員の仕事も辞めたらしい.
キューバで療養をしたらしい..が結局治らず戻ってきた.。
キューバはヘンリエッタの故郷でもある.

父親に黒人の女が出来た。ヘンリエッタらしい.

火事は??ジョンは聞く。

ベッドに死体が二つあった。
火事の前に殺された可能性があった。
騒ぎで起きないのは変だ。
死体は妻でなかったかも知れない。
とにかく二人は一緒の墓に埋葬された。

>>火事の後で何があった?
スザンナが」2,3日見つからず、
ヘンリエッタの小屋で見つかった。
その後彼女は叔母に引き取られたと.
詳しいことはスザンナだけが知っている。
火事の時スザンナは3歳ではなく、
9歳であった筈だとすずめが教えてくれた.
これがジョンが知った全てである。

ジョンはスザンナを連れてレインツリーに帰ることにしたが、
スザンナが妊娠していたというのは嘘だった。
しかしジョンはそんなことより、怯えているスザンナを守りたいだけだった。

帰ってきたスザンナは教師となったジョンが退屈なだけだ。

ネルは相変わらず遠くからジョンを見守っている。
スザンナはジョンを理解してはいない。
自分を守って欲しいだけだ。

ネルはジョンのことを真から理解している。
彼を愛するから彼に幸せになって欲しいと願う愛だ。
ジョンのことを真に理解していないスザンナ。

精神的な面でいつもネルに相談すると心が安らぐジョン。

そのネルも姉の所へ越すという.

ある夜スザンナが持っていた人形を二人で処分するが、
彼女はそのことを思い出せなくて、
人形が無い無いと言い出す.

精神不安定になる彼女.
そして今度は本当に子供が生まれ、ジムと名づける。
ネルは新聞記者となって町へ帰ってくる。
もっと大きな愛でジョンを見つめているようだ。

スザンナは勝手に子供を置いて出かけるようにもなり、
被害妄想が激しくなる。
ジムはスザンナを嫌い、父親ばかりを求める。
自分を責めるスザンナ.

ジョンははっきり言って厄介な妻の為に仕事に打ち込めないが
口にはしない。
ついにスザンナは火事のことをジョンに話した。
母親に放ったらかされていた彼女は
父と黒人の愛人の方が好きであったために
母親を愚弄した.
その為、母親は二人を射ち殺し家に火をつけたらしい。

その後ずっと彼女は母親を許せないし、自分が母を愚弄したことが
許せずにずーっと苦しんできたのだと。
そして、
スザンナはジムを連れて家を出て行く.
ジョージアへ行ってしまった。
そしてジョンは南北戦争へ借り出される日が来た。
...。長くなりました。
飛ばして...

彼女を哀れんでいるのか、彼は彼女を愛しているという。
スザンナを探すジョン。
そして本当の乳母に合うことが出来、そこに置いてきぼりにされた
ジムがいた.スザンナはまた行く方をくらました.
そして真実がわかる。
スザンナは火事の煙で精神を病み、母親をヘンリエッタと
思い込んでいた。嫌っていたのはヘンリエッタであって
(黒人ということもあって嫌っていたのだ。)
ヘンリエッタと思っていた母を愛していたのだ。

ジムを背負って戦陣の中進む.
南軍は降伏.スザンナは精神病院にいた。

ジョンは彼女を故郷のレモンツリー郡に連れて帰る。
自分がジョンをダメにすると彼女は拒むが....

ネルは今だ独身である。
ジョンは政治家に推される.

ジョンは断るが、ネルは南部を立ちなおせるのは
ジョンだと熱っぽく語る。

それを見ていたスザンナはジョンにとってのレインツリーは
ネルだったと思い込む.

そして、ジムに別れを告げ、森へと入っていく。
その後をジムが駆けて..ママ、ママ、

翌日、スザンナの死体は沼で見つかった。
ジムは大きな  木の下で  寝ていた。
ママ、と呟きながら..。。

しっかりとジムを抱きしめるジョン。
傍には黙ってネルが寄り添っていた。

さて、ドラマテイックな.。でも長い紹介でごめんなさい!

やはりジョンにとってのレインツリーは
スザンナだったと思います。

どういう形であれ生涯の伴侶というものは、
他人が決め付けたり、また、アレだけ愛されているのに、自分自身でふさわしくないと勝手に決め付けることではないと思うのです。

ただ、精神を病んでいるから致し方ないとして.

夫婦の形なぞ、100万カップルあれば、
100万カップル違って当然なのだから
どうあるべきってことも無いし、二人が良ければそれで良し
だと思うのである。

そして、幾ら価値観が合っても、分かり合えても
縁が無ければレインツリーにはなれないってことかな?

でもレインツリーに逢おうとする思いは大切だと思うよ。
3時間近くの大作でした。

映画の良し悪しは別としてやはり絵がきれい。
景色がキレイ。
リズがめちゃくちゃキレイ!
そして青春の甘酸っぱさと、自分の思いを貫くネルに共感し、
母のような愛のネルにほっとし、
情熱的なリズに憧れるし、
モンゴメリーは好きではないが、
ストーリーとしては面白い。

女性には受ける映画でしょうね。

制作  米   1957年
監督  エドワード.ドミトリク
出演  モンゴメリー.クリフト/エリザベス.テイーラー/
    エヴア.マリー.セイント/リー.マービン 



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