旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

≪サンセット大通り≫


≪サンセット大通り≫映画界の内幕もの三作目.

先だって映画界の内幕ものとしてベテラン女優を踏み台にして
のし上がっていく新人イヴを描いた≪イヴ゙の総て≫を、
そして純粋に女優を志願する女性を描いた≪女優志願≫を
取り上げました。

もうひとつの形の内幕ものーービリーワイルダーの
傑作作品≪サンセット大通り≫を取り上げてみます。

これは往年のスターの悲劇を描いた作品です。

イヴ゙の総てで踏み台にされたマーゴは取り乱さなかったが
ひとつ間違えばこのノーマのような運命を辿ったかも
知れないのだ。

この作品にはセシル.B.デミル監督、バスター.キートン
アンナ.Q.ニルソン、ヘッダ.ホッパーなどの
有名人が本人自身として出演しているのも見逃せない。

ストーリー

映画の都ハリウッド、サンセット大通りの一角には
豪華なスター達の大邸宅がひしめいている。

その一つの、大きなプールに若い男の銃殺死体が
浮かんでいるところからこの物語はスタートする.

脚本家のギリス(ウイリアム.ホールデン)の変わり果てた
姿であることが判明。

そして、話は数ヶ月前にさかのぼる。

ギリスはあまり売れていない作家で仕事もなく、
生活に困っていた.
借金取りから逃れる為にたまたま逃げ込んだ大邸宅。

そこは往年のスターノーマの住む荒れ果てた屋敷であった。

嘗てのスターノーマ(グロリア.スワンソン)と
かって、名監督であり、ノーマの良人でもあったが
今は彼女の執事をしているマックスの
(エリッヒ.フオン.シュトロンハイム)
二人が住んでいた。

ノーマは子供のようにわがままで、彼女に人生を捧げた
マックスのような人物でないととても勤まるものではなかった。

そんな所へ飛び込んだギリス。
おりしも死んだペットのサルの葬儀屋と間違えられて
招き入れられた。
しかし彼がシナリオ作家だと分かると、
ノーマは俄然張り切って、いつの日かスクリーンに
返り咲きする時の為にと準備していた”サロメ”のシナリオを、
手直ししてくれと頼んだ。

帰るところのないギリスには願ってもない話である.
ノーマの屋敷に客として滞在、毎日
彼女の相手をして暮していく内にこの年増女優はギリスに
熱い恋心を抱くようになる。

これにはたまりかねて友人の助監督の家へ転がり込んだ。

撮影所のシナリオ係のベテイと毎晩遅くまで自分のシナリオの
ことなど語り合う。

しかしそれでも屋敷のことが気になってマックスに電話を入れると
ノーマが自殺を図ったらしい。

驚いて帰ってみるとノーマは喜びのあまり狂喜して、
ギリスに抱き付くのであった。

シナリオが出来あがると、彼女はそれをセシル.B.デミルの
もとへ持っていく.
旧式のロールスロイスに乗せられギリスも一緒に出向かされる。

だが、スタッフたちの関心はこのロールスロイスのみであった.

スタジオマンたちは車を大道具として使わせて欲しいと
お茶を濁してノーマを追い返してしまう.

ギリスはそんななか前に書いたシナリオの手直しをするために
毎夜、屋敷を抜け出しベテイーと手直しに励んだ。
いつしか二人は愛し合うようになる。

それがノーマの知るところとなり、激しい嫉妬に駆られ
二人を引き離そうとする.

怒ったギリスは今までノーマに調子を合わせていたが
真実をぶちまける。
デミル監督の好意は彼女に対してではなく、
旧い高級車だということ。
毎日届けられるフアンレターは、執事マックスが毎晩書いて
投函していたこと。

ノーマの銀幕復帰など誰も本気で考えちゃいない.....と.

言うだけのことを言って屋敷を去ろうとした彼の背中に
銃弾が....

スクリーン復帰への夢を打ち砕かれ、怒り狂うノーマの
拳銃が火をふいたのだった。

ギリスはプールへ落ちて即死だった。

事件を聞きつけたマスコミのフラッシュを
スタジオのライトと錯覚して、
自作の”サロメ”を演じ始めるのだった....。
鬼気迫るラストシーンである.

この映画のすごさ、成功はなんといってもスワンソンの
発散する恐ろしい持ち味である。

不気味ささへ感じる。
役になりきるとはこのことであろう。
その貫禄、すさまじさは≪イヴの総て≫を完全に抜いている。

マキーウイッツもすごいがこのスワンソンの迫力を
ここまで引き出したビリー.ワイルダーのすごさを
感ぜずにはいられない。

この三本.。
イヴと女優志願とサンセット
それぞれの内幕ものを比較して、観てみました!
イヴも傑作です。しかしサンセットはそれ以上の作品デス。

ビリー。ワイルダーの人を見る目の恐ろしさを感じます。
スワンソンやシュトロンハイムといった名優の
演技も見て下さいね。

シュトロンハイムは≪大いなる幻影≫のときに紹介しましたね・

この映画での枯れた演技。大いなる幻影の品格.。
すっかりフアンになってしまいました。
そして、スワンソンのチャップリンの真似、サロメの演技
妖気漂います。

蛇足ですが
日本人のキャストを思いつきました。

ノーマに三輪明宏、ギリスに...今の若手は力不足なので、
古谷一行、マックスに山谷初男なんてーのはどうかなあー。

制作  米  1950年度
監督  ビリー.ワイルダー
出演  グロリア.スワンソン/ウイリアム.ホールデン/
    エーリッヒ.フオン.シュトロンハイム





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