旧い映画を楽しむ。なでしこの棲家

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≪十二人の怒れる男≫シ



昨日、≪情婦≫を紹介したところ、kiromeruさんから
同じ法廷ものの素晴らしい作品≪十二人の怒れる男≫
が大好きだというメッセージを頂いたので
今日はこの作品をご紹介しましょう。

情婦と同じ1957年度に作られた作品。
前者がドラマチックで娯楽作品としての勇者なら
この十二人...はヒューマンドラマとしての最高作品の
部類に入るであろう。

アメリカでは陪審裁判が行われている。
十二人の陪審員が携わる.

その十二人の陪審員が、夏の暑い日、裁判所の一室に
缶詰にされ、父親殺しで起訴された少年被告の有罪、無罪を
審議する。

最初圧倒的に有罪論が大勢を占める中で、フオンダは
起訴状の欠落した部分をひとつひとつつぶしていき、
終には無罪論にまでこぎつけて、
夕立の去った裁判所の石の階段を一市民として散り散りに
帰ってゆくラストシーンまで、息もつかせぬ迫力であった.

フオンダの執拗なまでの真実追求。
デモクラシーの国アメリカが生んだ
本当のデモクラシーの映画である。

日本人にとってデモクラシーとは今でも 多数決 と
誤解されているふしがあるが、
それが本当は少数派の意見に耳を傾けるということだと
いうことを教えてくれた映画です。
フオンダ以外の出演者全員が好演していた。

一室での論議をたかだか一時間半にも満たないが
一分の隙もない構成で長編作品以上の満足感を与えてくれた.
しかもこのシンプルな題材を丹念に纏まりもよく仕上げ
フオンダの代表作とならしめた.

人間が人間を裁くことの怖さ、恐ろしさ--
そのことをフオンダ演じるひとりの正義感を通して、
観客に訴えかけた.
アメリカもこういう作品を作っていたことを
思い出して欲しい。

もうひとつ.
H.フオンダはJ.スチュアートと並んで、
アメリカの国宝級のスターであると思うのだ.

晩年の”黄昏”で初めてオスカーを手にしたとは
信じがたい。

私ガ感動した”荒野の決闘”や”怒りの葡萄”などの
映画撮影の合間にもブロードウエイという自身の出発点での
仕事にもずーっと情熱を燃やした俳優であるが、
私生活はあまり幸福であったとはいえず、彼の額の皺に
見られる様に苦悩の日々であったともいわれていた。

サスペンスではなく、ヒューマンドラマとしての法廷ものも
素晴らしい...この作品も是非是非ご覧あれ!

製作  米国1957年度
監督  シドニー.ルメット
出演  ヘンリー.フオンダ/E.Gマーシャル/
    リー.J.コップ他




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