Laub🍃

Laub🍃

2011.11.07
XML
カテゴリ: .1次題
好きな人の好きな人になりたい。

そうおもうことは思春期の子なら当たり前だと思うのに、さえちゃんはそれを鼻で笑う。


「人は姿性格雰囲気能力が好きだから好かれるんでしょう?どれか一つでもあんたなら、きっとその人はあんたの好きな人に好かれたりはしないわ」
「…」
「そもそもあんたの好きな人は、好きな相手に振り向いてもらえないこと含めて相手を好きじゃない」


あんたはその感情を捨てなきゃ視界に入れてさえもらえないよ。


そういうさえちゃんにはきっと乙女心がないんだろう。

「ほんとにあんたの能天気さがうらやましいよ」
「さえちゃんはそう思ったことないの?」

「かわいそうね、さえちゃん」
「頭がかわいそうなあんたに言われるほどむかつくことはないね」
「恋してみたいとか思わないの」

そういうとさえちゃんは寂しそうな顔で鼻を鳴らす。
さえちゃんは、恋に恋してる。
だから特定のだれかじゃなくて、恋をしてる誰かを応援して、うらやましそうに見て、だけどそうはなれないから諦めてる。
恋されるどちらかじゃない。恋をするどちらにも、その想いの強さに惚れてるんだ。

じゃあ恋に暴走する私は恋に恋されてるんだろうなあ。

「もし私がさえちゃんのこと好きって言ったら、どうする?」
「本当に好きでいるなら、その感情が強ければ、見直すかもね。でもあんたには無理でしょ。
 あんたに惚れられても数週間後には気移りされてるんだから」

「それを気移りっていうの」


理想がないと生きられない。
理想は長くはしゃぶれない。
しゃぶりつくせば次に行かないと。

もし想いを返してもらえたらもっともっと長く味わえると思うのに、たいていの相手は、こっちがもう何にも気にしてない時に、今更?ってタイミングで、こっちに意識を向ける。


さえちゃん相手なら、大丈夫だと思うのになぁ。

さえちゃんは今日もつれない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2019.06.03 13:44:14
コメントを書く
[.1次題] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: