Laub🍃

Laub🍃

2011.12.10
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カテゴリ: ◎1次擬人化
 阿呆の振りをいつもする。
 にこにこと笑い、聞いているよとだけ伝えれば相手は喜んでくれる。
 鏡の振りをいつもする。
 君の色に染まってあげるよこの時だけと都合のいい女になる。
 相手は喜んでくれる。

 翻弄されることに我慢して我を殺し続けさえすればよかった。

 だけど今回の相手はそうはいかなかった。
 相手は動かない。これは酷く拍子抜けで、相手の少しでも周囲の動きによって翻弄されたものを瞬くまに反射して、互いに同じ言葉で笑ってぐらいしかできない。そんな日常は初めてだった。

 鏡同士では何も出来ないのだ。



ーー私は割れることにした。

「ミラちゃん!?」

 ああ、カガミちゃんの声が聞こえる。こんなに澄んだ声だったのだな。


 気が付いたら私はいくつものかけらになって野原に転がっていた。
 そのかけらはそれぞれ違う方向を向いていて風が吹けば転がったり野に生えた草に持ち上げられたりなどして、自分自身が動くことが出来て、私はとても新鮮な気持ちになった。
 ふと視界に自分以外のきらりと光るものが目に入った。

「!…カガミちゃん」
「へへ、来ちゃった」

彼女の声は、今まで聞き続けていた既製品のそれとはずいぶんと異なっていた。
きっと私の声もそうなっていただろう。

どうやら私たちはどちらも社会から捨てられたらしい。





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最終更新日  2016.11.17 04:39:00
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