Laub🍃

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2012.06.24
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カテゴリ: .1次題
あなたは可愛いからモデルになるの。
あなたは可愛いから傷付けない為に気を付けないといけないの。

そう言われ続けた少女は、いつにか「私はモデルになるから」が口癖になった。

そんな彼女に、初めて「怪我したら痛くなるから駄目だよ」と言ってくれた近所の青年が居た。

少女は彼がお気に入りになった。

だが、彼はただ単に優しいだけで、人が傷付くのを見ていられないだけだった。

彼は他の子の兄で、よくその付き添いとして公園にやってきては他の子の面倒も見ていた。
怪我をした子の所に行って手当をしたり、危なっかしい子の所で事故を止めたりしている為、彼は他の保護者にも信用されていた。

少女は、彼に自分だけを見てほしかった。



両親には怒られたけれど、青年が心配して介抱してくれたからそれで充分だった。

モデルにはなれなくても、青年が泣いてるのを心配してくれたらそれで十分だった。

青年の弟にはよく泣き虫とからかわれたけど、少女はそんな弟に舌を出して、青年に甘えた。






青年はある日子どもを庇って交通事故に遭った。

即死だった。

その子どもは助かった。

助かってなお泣く子供を少女は心底憎んだ。

そこは自分の居る場所の筈だった。

それ以前に、自分だったら、青年が飛び込んできてくれた時離さなかったのに。









数年後、公園にはとても面倒見のいい綺麗な女性が居た。

彼女は近くの交差点を眺め、今日も事故が起きることはないか見守っている。





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最終更新日  2018.02.20 22:27:49
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