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2012.08.11

星命ブラックホール　（NLｓｓ）（寡黙ダンク×寡黙エース）

テーマ：オリジナルイラスト・小説・漫画・夢日記etc……。(1232)

カテゴリ： .1次ﾒﾓ

俺には殴りたい奴が居る。

＊＊星命ブラックホール＊＊

　周囲の評価を気にしてしまう自分。テストの点とか賞とかで全てが決まるように思ってしまっている自分。どうだったと聞きあうような煩わしい人間関係。それと同様に人間関係でもそういった得点が頭に浮かぶ自分。たまにうまくいくようなことがあっても、必ずそのあと突き落とされる絶望感。たまに貰う女子からの好意に対し、かすかな嬉しさに浸っているのを隠しつつ「俺はこれで十分」とか思ってるとそれ以上の女子との仲の良さをひけらかし「今年も俺は本当の愛を貰えなかった…女心の方程式、こんな問題が解けておっても無意味無意味、お前がその問題が解けておらんでもまったく問題は無いと思うぜ」とか言ってくる幼馴染。
　そしてかすかな嬉しさに浸ってしまった自分の情けなさ。
　殴りたい、でも殴れない、こんな思いをどこにダストシュートしろってんだよ。
　いつもいつも部活のダンクシュートで発散してるわ。
　身長２M近くあるせいでフツ面なのにやたらいかつく見えてしまって、しかも視力が最近悪化したから細身の眼鏡かけたら更に人相悪く見えてしまって。
　人の顔面偏差値をやたら判定しようとしてくるクラスメイトさえ俺の話題を避けて通るレベルだ。めんどくさい。
　しかもそれとやたら迫力あると言われるダンクのせいで、あいつに仕事頼めねえってなった時が辛い。

　ちくちくちくちく。
　この前習った歴史のお坊さんのごとく精進せよ、我を捨て去り新たな境地に行くのだ、と思いながらひたすらちくちくちくちく。
　目の前の女子はかしましく隣の女子と話している。余計に石のような自分が底に沈んでいく感覚になる。ブラックホールだ。根気と眠気のブラックホール。
　それをどうにか止めているのは、俺の隣の明らかに、俺よりも不器用なちっちゃい女子が居るから。
「……っ！」
「……」
「あ、ありがとう」

　無言ですっと差し出した絆創膏を受け取られるのはもう１０度目。
　クラウチングスタート以外では自由に空を切る手が今はずたぼろだ。
　その眼鏡はなんのためにあるのかと思うくらいにからぶる指先、間違えた処をやり直す指先、そのたびに針がうっかり刺さる指先。…そんな彼女に小さな親切を渡すことで、俺は何とか居場所を確保できていた。
　陸上部のエースである彼女もまた、ここでは異端だった。

「えっ！あ、でも、悪い、……」
「だいじょーぶだいじょーぶ！」
「こいつ丈夫だからどんどん頼っちゃって～。使い潰すくらいの勢いで」
「そうそう、使い潰すくらいで！」
「…ふふ」

「あんたのアホさが役に立ったね」
「なんだと！？」

　けれど、彼女は口下手で消極的なだけで、こうして普通に話すことはできているように思う。
　こうして和やかな話が続いていると、自分が入っていないとわかっていても、なんとなくこちらまで和むものだ。

「……ふ」
「お、嗣宮も笑った！！やった！今日はラッキーデイだよ！！」
「うるさい。ほら千佐美ちゃんびっくりしちゃうでしょうが」
「あ、だ、大丈夫…」
「……なんか、すごいね、麻機さんは」
「でっしょー！？」
「嗣宮駄目だよ、ヒヨリ調子に乗っちゃうから」
「いいよ！どんどん乗せてー！」
「ぶふっ」

　千佐美さんがまた吹いた。つられて俺も笑う。なんだなんだと、周囲の目がこちらを向いている気がした。自意識過剰かもしれないけど、俺や千佐美さんは、あんまり笑わないタイプだと思われてるみたいだから珍しいのかもしれない。
　文化祭準備の間の仲だけど、まだお互いの表面しか知らないけど、……何故だか、これからがちょっと楽しみになった。

＜＜続く？＞＞

＊＊＊＊＊たぶんつまみぐい部活もの＊＊＊＊＊

陸上部エース：千佐美橋子（ちさびきょうこ）
　走るのが得意で、単語で話すタイプ。仲のいい人にはわんこみたくなるけど、そうでもないと借りてきた猫みたいになる。実は由緒正しいお茶の家の次女。ショートカットめがね。
　目と髪が真っ黒でブラックホールのように澄んでいる。

バスケ部のでかい奴：嗣宮翼宿（つぐみやたすき）
　でかいけどエースではない。しかし下手にエースだとトップ争いで胃がキリキリ舞いをはじめそうなので、これでいいと思ってる。
　心の中では突っ込みや分析をよくするが、それを表に出すことはない。ゆえに無言で迫力ある奴と思われてる。５分刈りめがね。普通の人相手だと会話のノリがブラックホールに吸い込まれるようにまたたくまに消えていくので申し訳なく思ってる。

バスケ部のちゃらい奴：霜樹氷路（しもむらひろ）
　もてるけどエースではない。なりたくないかと言われたらそりゃなりたいけど、エースを狙え闘争やってたら他のこと全部費やさなきゃいけないじゃん？だるいじゃん？って思ってるのでやらない。その代りチームメイトのフォロー役に。ノートをよく翼宿から借り、変な突っ込みとちっちゃい落書きをして返す。翼宿が敢えてノートに書かなかった教師のバカ話だけ覚えててそのネタを書いてくる。妙に適格。バカお前バカとよく言われる。もはや交換日記状態。ホワイトホールタイプと翼宿には認定される。

家庭科部のうるさい子：麻機日撚（あさはたひより）
　元気であほっぽいけどいい子。隠し事ができないタイプ。ホワイトホールタイプ。

家庭科部の毒舌な子：灯辻月向（ひつじつむぎ）
　毒舌できついこと言うけどしっかり者。よく冗談で日撚の首に首輪を付けようとする。ブラックホールタイプと中性子タイプの中間くらい。

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