Laub🍃

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2012.09.21
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カテゴリ: .1次題
こんなことをするのは「悪い子」だって分かっていた。

「ふー、ふー、ふー、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふっ、ふっ、ふっ、ふ、ふ、ふ」

 それでもその「悪い子」になっている罪悪感がたまらないんだ。

 なんていうんだろう、こんな気持ち。

「ぐひっ」

 最後の最期でそいつは声を漏らした。白い布に大方吸い込まれたけれど、それは最後の命の輝き―――


 それを潰した事への罪悪感が何故こんなにも気持ちいいのか。ああつらい、私は酷い女だ、それでもとても気持ち良い。

「……次の獲物を探そう」


 次第に手が震えてくる、でも罪悪感を誤魔化す為に想像した次の獲物はとても甘美で――――

















「おい、聞いているのか!!死刑囚3183!!!」

 綺麗な者には毒がある。そんなことこれまでの人生で分かっていたつもりだったけれど、まさかこんなことになるとは。

「……聞いています」

 でも捕まる瞬間も、今までしたことへの後悔やこれからの将来への不安と同時にとてつもない性的衝動に似た何かが襲ってきたのだから本当に自分、どうしようもない。

「だったら答えろ!!!」


 あーやだやだ、こんな権力オヤジ。私の一番嫌いなタイプ。うちの親そっくり。

「はい」

 にっこりとほほ笑んで返してやる、こんな奴にわざわざ従うのも癪だが、本音を見せるのはもっと嫌。
 ああ嘘を吐くことは気持ちいい、いつか気付かないうちに後ろから突き落としてやるよ司令官とひっそり思いながら笑顔を作ることがとても気持ちいい。

「ちっ…分かってるんだか分かってないんだか…お前らも分かってるんだろうな、これから向かう所がどこか!!!気合入れろよ!!!」

 ふ、と隣の子を見る。優しくて頼りなそうな、ここには相応しくない人。


 けれど、その子は――2227だっただろうか、少し震えて、それでも自分のこれから始まる人生に対して覚悟を宿した瞳をしていた。

 美しかった。

 腹に抱える黒も、その子のものなら覗いてみたいと―――


「着いた。静かに降りろよ」


 ……少しずつ、少しずつ信用し合って、そうして最後に仲間としての縁を切りながら私の欲求をぶちまける。



 それはなんて「気持ち良さそう」なことだろう。
最終更新日 2015.12.27 17:09:49





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最終更新日  2017.03.20 17:12:12
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