Laub🍃

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2012.09.25
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カテゴリ: .1次長
*酒場には色々な人達がやってくる。武器屋、道具屋、魔法屋の近くにある為より客入りは多い。
 お互いに会うと喧嘩に発展する人たちも居るので、そういう人達を鉢合わせないように、私たちは働いている。特に私の読心はなかなかに役に立つ。異世界にやってきてどうなるかと思ったけれど、天職にありつけてよかった、よかった。

 だからこの職を手放す気はないし、喩えどんな会話を聞いても聞かなかった振りをするのだ。

 そしてどんなことがあってもお客様は守り抜く。

 それが永遠の中立地帯『イスイ』の誇り。

 因みに警吏やお国の手が及んだ時、そうした場合には同僚の戸叶さんが一気に片付けてくれる。
 腕っぷしが強い彼は元々お偉いさんの護衛をやっていた経験を存分に活かしている上に、ダンディで憧れている子も多い。同僚にもお客様にも。
 ただ、そのお偉いさん…シホロ?くんとやらが、とても…なんというか…アレな子な上に、戸叶さんとしては放っておけないからということで連れてきているということが玉に致命傷だなあと思う。この間も私の秘蔵のプリンと、料理上手な田中さんのまかないご飯勝手に食べたし。まったくもう。



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 ああ、また心の声が聞こえる。失礼だけれど、チェックはさせて頂かないとな。
 この酒場を爆破するとか、会いたくない奴に会ったとか言う声が聞こえませんように。



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「なあ、ブソルよ。お前は全てにおいて傍観者であることはできると思うか?」
「そうですね。私達には無理でしょうが、何も欲さなければ可能でしょう」
「何も欲さない。何にも憎まれない。そんな存在居るか?そんなわけないだろう」
「どうしました、バト師」
「……例えば、ここで私が何かの例え話をしたとしよう」

「そこで、君の意見を求めたとする」
「…?そこまで含めて例え話ですか?」
「ああ。例え話の例え話だ。……そうして、君の意見を取り入れてから、事実関係について話す。
 そうしたらなんと、君は君自身の疑いもしなかった行いを責め、君の愛しく想う相手を憎み、
 憎む相手を擁護する言葉を発言していたということになったとする」

「そうか……それをもし『矛盾』と捉えたらどうする?……自分が居心地の良い嘘を真実より優先している愚か者だと気付いたら……」
「バト師はよく悩みますね。……そうですね。私ならば、真実を受け入れるかもしれませんね。
 私には今更守るべき背景などありませんから、国の為ならば全力を尽くしますよ。……それで、その喩えは……いえ、やめておきましょう。なんとなく、想像がつきました」
「機械の賢さと人の優しさを持っている君を見習いたいよ。私は機械の冷たさと人の醜さを持っている」
「はは、何より人らしい人ではありませんか」



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「闇はこの時代ご禁制だ。高くつくよ」
「それでも構わん」
「全く、なんて世の中だ……」



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「ねえ聞いて!ソレイユ、私も、補充要員だけど十二聖女に加われるようになったの!」
「えっ、マジか!今度お祝いだな!?お前もやっと来たか!!」
「うへへぇ。ソレイユ、演習助けてくれてありがとね」
「なーに、これからはたっくさん恩を返してもらうさ。あ、あとこの菓子貰うぞ」
「どうぞどうぞ!ソレイユ様のお気に召すままに!」




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「ごめんなさいと言っても僕は許されない」
「ごめんなさいと言っても彼は救われない」
「ごめんなさいと言うのは自己満足でずるいことだ」



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「新卒なのに「即戦力になります!」って言うのはよくないぞ。
 やる気あるのは分かるけど、彼我の能力の差を実際に体験するまで観測・予想する能力が足りてないってことを示すことにもなっちまうからな」

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 現実と言う文字がいつも僕をバカにする。
 真実に殺される。事実は遠い所で上から見下ろしている。

「昔の自分が今の自分を責め立てるんだ」

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              -------ザザ---ザ---------------
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 世界は恐ろしい。
 だから私は見栄のマントと常識の鎧を身に着ける。

 全てに平等に疑いの盾を用いる。





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最終更新日  2017.03.19 18:02:32
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