●○なつ。の本棚○●

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2004年11月08日
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カテゴリ: ★★★な本
愛する人と出会える日まで、何年も何年も放浪の旅を続ける母「葉子」と、その愛する人との間に出来た子供「草子」。

葉子と草子の視点から、交互に物語が展開します。

江國さんのお話には、毎回素敵な表現がたくさんあります。


-過ぎたことはみんな箱の中に入ってしまうから、絶対になくす心配がないの。素敵でしょう?(本文より)

どんないいことも、たのしいことも、過ぎてしまえば箱の中。


そう言いつつも、葉子自身は「愛する人」が自分を見つけ出してくれるまで、放浪し続けることをやめません。

幼い草子は、葉子について「旅がらす」な生活を続けます。

何度も転校を繰り返し、仲良しだった友達とも別れ、それでも葉子について行きます。

そして成長した草子は現実に目覚め、ある決断をして・・・・




なんでそんなに何度も引っ越さなきゃいけないの?

草子自身も聞いたことですが、それに対する返事は「神様のボートに乗ってしまったから」

それで納得でき・・・・ません。(私は)


江國さん自身があとがきで「小さな、静かな物語ですがこれは狂気の物語です」と語っているのですが、ラストに近づくにつれ狂気が見えてきます。

恋は盲目と言うけれど、「骨ごと溶けるような恋」をした葉子はもうその狂気から抜け出せなくなっています。

娘が母を思う気持ちも、母が娘を思う気持ちも、そして母が愛する人を信じ続ける気持ちも、とても伝わってきます。

女性ならではの細やかな感情表現が、本当に見事な作品です。





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最終更新日  2004年11月08日 17時17分37秒
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