りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年07月22日
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カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記 (「救命医・小島楓」「恋して悪魔」感想と初めてのお留守番)



<ユナ17>



でも、パチンコ屋や居酒屋に入ったせいで体がタバコ臭かった。
私はすぐにお風呂に入った。

何だか現実感が無かった。
あの時間は何だったのだろう?

サトシは帰ってくると、すぐに眠ってしまった。
起きて会ってる時間の長さは、
あの男と変わらないのかもしれない。

私はサトシの寝顔を見ながら、
ぼんやりと考える。

サトシは私を必要としてるのだろうか?
私がサトシを必要としてるんだろう。

でもね、最近思うの。
もしも一人で生きていけるとしたら、
それはそれでいいかもしれないって。

うん。でも、
もうパチンコ屋に一人で行くのはやめよう。
今日はちょっと冒険をした。
ここが私の居場所。

男の顔はもう思い出せない。


その日は友達にメールをパソコンから出そうと思った。
いろいろ書きたいことがあって。
うちのパソコンはサトシと共有。
立ち上げると、サトシのところに未読メールが3通って出ていた。
入ることってできるのかな?
ちょっとクリックしてみたら、パスワードが必要らしい。

この前午前中の奥様番組で、
夫の浮気特集って言うのがやっていた。
何となくイタズラ心が働いて、
適当にパスワードを打ってみたら開いた!

コレってすっごいいけないことだよね?
なのに、開いたら見たくなった。
未読のは読めないだろうけど、どこから来たのか位は大丈夫?

でも、やっぱりやめておこうかな。
でも、変なことなんて無いよね?

そう思って、ちょっと受信のアドレスとタイトルだけ見ていたら、
iida
ってアドレスが目についた。
途端に心臓が鳴った。

ドキドキしながら開いてみる。

  こんばんは。
  昨日はどうもありがとう。
  まさか会えるとは思ってもみなかったよ。
  またこっちに戻ってくることはあるのかな?
  戻ったらまた飲みに行こうね!
  キューも誘ってみるからね~!
  では!

日付を見ると、こっちに来る直前の月だった。
お別れ会でもあったのかもしれない。
でも…

私には言わないで会ってたんだ。

そのことが私の心を暗くする。
多分だけど、言えば私がまたヤキモチを焼くと思ったからだろう。
私って、もうそういう女だってサトシは認識してるんだろうな…。

見たって問い詰めることはできない。
私はまたこんなことをしてしまった。
つくづく自分って人間が嫌になった。
そして、私をこんな女にするサトシを、
また一つ嫌いになる。

ふと思う。
私がもしもいなければ、
この二人は上手くいってたのかもしれない。

私は二人の仲を邪魔しただけなのかもしれない。

見なかったことにする。
そう思うと、心がまた冷えたような気がした。
多分何も無いのだろう。
きっと何も無いよね?

それでも、悲しくてしょうがない。
見なければ良かったのに。
私はバカだ。

私はパソコンの電源を切った。
ぼんやりと録画したドラマを見る。
私の好きな俳優くんが出ている。

ねえ、私のことも抱き締めてくれない?


最後のハローワークの日。
私はあの男の店に行くことにした。
あれから一ヶ月。
男は私のことなんて忘れているかもしれない。

でも別にいい。
私は求人情報を見て、
駅に近い予備校に面接の申し込みをした。
すぐにでも面接すると言うので、
そのまま面接をしてもらうことになった。

人手がすぐに欲しいと言うので、
私はその場でそこに採用された。
仕事は来週の月曜から。
ラッキー!

その足で、
駅の反対側にあるだろうと思われる男の店に向かった。

店は本当に小さなビルの一階にあって、
クラッシックアメリカンみたいな感じでネオンが点いていた。
ドアにはOPENと出ていたので、
私は店に入る。

カウンターに男がいた。

「いらっしゃ…」

男がビックリした顔で私を見る。

「来ないかと思ったよ。」

「うん。
でも、今日がハローワーク最後の日だったから、
その帰りだったし。
パチンコに行くよりいいと思って。」

男は少し笑った。

「じゃあ、せっかく来てくれたから奢ってあげるよ。
ああ、コレもある意味、援交になるのかな?」

「援助って歳でもお互い無いんじゃない?」

「そう?10年若ければ犯罪なんだけどね。」

あははって笑った。
人と話して自然に笑うのは久しぶりかもしれない。

まだ時間が早いせいか誰もいない。

「お店の始まりは6時なの?」

「そう。始まったばっかだよ。何にする?」

「何が飲みやすい?」

「う~ん、ディタかな。グレープフルーツどう?」

「じゃあそれにします。」

「何か食べてく?」

男が気安い感じで声をかけてくる。

「う~ん、そうだな。」

メニューを見ると、つまみから軽食系まで多彩だった。

「じゃあ、このエビドリアにする。
もうそれを夕飯にしちゃおう。」

「はいよ。」

男はカウンターの中で料理を作り始める。
Tシャツにジーンズのバーテンダー兼コック。
薄暗い店内にジャズが流れてる。
この人の趣味とこだわりの店って感じがした。

「美味しい~。」

夢中で食べてると男が私の方を嬉しそうに見てた。

「何?」

「いや、美味しそうに食べるな~と思って。」

「美味しいよ~。
自分で作らないものって、倍美味しく感じる~。」

「そうなんだ?
まあ、そうかもな。」

「すごいね、こんな美味しいもの作れちゃうなんて。
このカクテルも美味しいし~。」

「そんなに喜んでもらえると作る甲斐があるね~。
じゃあ、おかわり飲む?」

「ううん。酔っ払うとマズイから。」

「じゃあ、ノンアルコールの作ってあげるよ。」

男は赤いカクテルを作った。

「コレは何?」

「サマーディライト。」

「ふーん、キレイだね。
うっふっふ~。今日はいいことばっかりかも。
仕事も決まったし~。」

「仕事?何?」

「予備校のパート。
パソコンの入力と採点と受付だって。」

「へぇ~。何だか面白そうだな。」

「どうかなぁ~?」

「若者に刺激受けそうじゃない?」

「そんなもの?受験なんて暗いかもよ?」

「いや、あの若いオーラを浴びてるだけで違うんだよ~。
この近く?」

「うん。」

「じゃあ、稼いだらうちの売り上げに貢献してよ。」

「そうだね~。いいよ!」

私は笑った。

「何?何で笑ってんの?」

「ううん、オーラとかって信じるの?
そんなふうに見えなかったから。」

「あれ?感じない?あると思うよ、何となくだけどね。
実はさ…
あ、いらっしゃいませ、どうぞ!」

若いカップルが入ってきた。
すると途端に忙しくなってくる。
食べるのも飲むのも終わった私は、男の働く姿をじっとみていた。
何となく、もう話せるような空気が無くなってしまったので、
いよいよ帰ることにする。

残念な気がした。
もっと話したかったのに。

席を立つ。

「あ、もう帰る?」

「うん。」

「また来てよ。待ってるし。」

お釣りを渡しながら男が言う。
目がジッと私を見ていた。

「うん。」

ご馳走様と言って店を出る。
多分また来ちゃうだろうと思った。

待ってるって言葉が妙に嬉しかった。





続きはまた明日

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最終更新日  2010年03月27日 18時03分58秒
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Re:ある女の話:ユナ17(再)(07/22)  
ゆりてっこ さん
新たな恋の予感だわ・・・・ (2009年07月23日 13時04分39秒)

ゆりてっこちゃんへ  
>新たな恋の予感だわ・・・・

この「…」が、しちゃいけない恋だって物語ってるねww
(2009年07月23日 18時33分22秒)

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