りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年11月05日
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今日の日記




「ある女の話:カリナ3(海での出会い)」




講義が終わった後でユウが私をこづいた。

「え、なにが~?」

私はシラを切る。

「ほら、海の!アオタくんだっけ?」

「青山くん。」

「そう、その人!連絡来た?」

私は苦笑いして答える。

「来ないよ~」

「何?そうなの?!
あの調子ならすぐに連絡してきそうに見えたのに!
自分から聞いてきたのにおかしくない?」

私は、ははは~と力無く笑う。
私もそう思っていた。
飲み会の後の、あの照れたように連絡先を聞いてきた顔。

嘘だったのかな?
すごく嬉しかったのに、
ただの女釣りだったとか?
帰ったら我に返っちゃったとか?

次の講義は1時間後。
私は大学内のカフェで紙コップの紅茶を買った。
もっとウマイこと組めば良かったけど、
空いた時間はこうして友達としゃべってるのが楽しかったりする。

ユウは彼氏と待ち合わせらしく帰ってった。
大学出たら結婚するとか言ってる。
親は大反対。
でも、今とんでもなくラブラブらしい。
薬指に指輪をはめてた。
彼氏がそこにはめろって言うから…と。
男避けのためのファッションリング。

最近そんな友達が増えてきた。
みーんな彼氏ができてて、
いないのは私だけ。

あ、ミキもか…。
でもミキは失恋したてとかいいつつ、
三角関係でドロドロ。
彼氏のフタマタが発覚し、しかも相手は友達だったらしい…。
取ろうとすること自体友達か怪しいけど。

「私を取ってくれなきゃ、もう別れる!って言ったの。
でもね、オマエのもとに絶対戻るから…って言うの。
オマエは特別だからって…」

騙されてるよ…それ。
とは言えなかった。
何となく。
ボロボロなミキを見たら。

恋愛ってめんどそう…。
それが今の私の感想だった。

「おおーい、カリナ!」

マッシーが遠くから笑顔で手を振る。
私も手を振る。

「あれ?ユウちゃんは?」

「ん。今日は彼氏とデートだってさぁ~。」

「ほっほう、ラブラブですなぁ~。」

「マッシーは?先生元気?」

「先生とか言わないで下さいよお~。
危険な関係みたいじゃないの?」

あはは!と私は笑った。

マッシーが付き合ってるのは、私達が高校の時の国語の先生だ。

正直マッシーは見た目男の子っぽくて、
ガタイが良くて、職人さん気質って言うか、
ちょっと変わってる感じがするってみんなから言われてる。

でも、私はこの友達が大好きだ。
彼女が先生と上手くいった時は、涙が出る位嬉しかったものだ。

先生と彼女が付き合ってることは、
実は私だけしか知らない。
でも、彼らがどんなに好き合ってるかはわかる。
ドロドロしてない純粋な恋愛。
けど、関係はセンセーショナル。
見た目と違って、マッシーは誰よりも女の子だ。

「カリナはどう?
海でナンパしてきた彼とはどうなりましたか?」

あ~、またこの話か…。

パーカーにジーンズのマッシーがドカッと私の前に座り、
コーヒーを飲みながら私の目をじっと見る。
このマッシーのまっすぐな目には嘘はつけない気がする。

「連絡来ません~。
どおしようかなあ~」

海で会った男の子3人のグループ。
その中の一人、青山くんって男の子が私に電話番号を聞いてきた。
正直ビックリした。

その3人の中で声をかけそうな、
いかにも女の子ウケしそうな人でも無く、
ガタイがイイ人でも無く、
一番奥手そうな感じの彼が、私にそう言ってきたので。
しかもミキやユウじゃなくて、私に。

私はこの青山くんのこと、
初めて会った時から気になっていた。


彼らは海の中で子供のように大ハシャギしてたので目立っていた。
最初は同じ歳だなんて思わなかった位だ。
年下…高校生位かな~って。

その時ミキは、彼が浮気をしていた。別れた。とボロボロ…。
私とユウは彼女を元気づけようと、
海でも行ってみるか~!と。

でも逆効果だった。
海は彼女の心をせつなくさせてばかりなようだし、
彼氏とラブラブのユウは重い空気にウンザリしだしていた。
ホントはこうしてる間も彼と会いたいのかもしれない。

周りのシートの女の子たちは軽そうな男たちにナンパされていたけど、
私たちの暗い重い雰囲気が伝わるのか、
なぜか私達のシートに声がかかることは無い。

ミキ…泣かないで下さい。
白けた空気の中、
せっかく海まで来たから写真でも撮ろうか~って言い出した私に、
ミキはかなり不服そうだった。

「ばーちゃんになった時に眺めるのも良くな~い?
こんなにピチピチしてた時代があったってさ~!」

「まー、ばーちゃんになった時には…
って、ちょっと遠すぎない?
でもまーいーね。記念!記念!」

ユウが雰囲気を察してちょっと明るく笑ってツッコミをいれた。
私はクククと笑ってカメラの用意をした。
みんなでも撮りたいと思って、ふと彼に目をやった。

歳下だろうし、
どうせ私達の水着姿になんて興味無いだろう。
女より男同士で遊んでることが楽しくてたまらない!
って空気を彼らが出していたから。

友達二人に砂浜に一人置いて行かれた彼は、
ビーチボールを膨らませていた。

あ、今がチャンス!

そう思って声をかけようとした時、
彼の顔が一瞬すごく大人びたように曇って、溜息をついた。
その表情が妙に私の中に入ってきた。
こんな表情をよくマッシーがしていた。

年下じゃないかも…?

声をかけることに躊躇して、
私はつい彼のことを眺めてしまっていたらしい。
彼が私に気付いて、
「何か?」って顔をした。

その途端何だか恥ずかしくなってきた。
二人が言うように人に撮ってもらうなんてやめておけば良かった。
でも、今更何でも無いですとは言えない。

「あ…
あの、すみません、写真撮ってもらっていいですか~?」

私は慌てて何も無かったように笑顔を作ってお願いした。

「あ、はい。」

彼もニコリと笑ってカメラを受け取り、
そのまま私達を2枚ほど撮ってカメラを返してきた。

「ありがとうございました~。」

私は笑顔を作る。

「いえ、何かあったらまた言って下さい。」

彼がニコリと笑った。

胸がキュンと鳴った。


「爽やかじゃ~ん?」

「和み系…」

「癒し系?」

海の家へ向かって歩き出したユウが言い出した。

「でも、誰でも最初は、ああなのよ。
男って知らない女に優しいのよね。」

ふ~っとミキが溜息をつく。

あああ、残念!
写真を撮っている時の一瞬だけで、
また空気はもとのドンヨリとしたものに戻ってしまった…。

海の家に砂を落として座ると、彼らが後から食事をしに来た。
私と目が合うと、
彼は笑顔で軽くお辞儀を返してくれた。

「ねえ、カリナ、あの人のことタイプでしょ?」

目ざといユウが彼らが去ってから私に言う。

「え?なんで~?」

「だって、目線がチラチラ追ってる気がする~。」

「そうなの?カリナ?」

私は照れてしまって手を目の前で扇ぐように振った。

「う~ん。」

本当は、カッコいい感じの人の方が好みだったけど、
でも私って現金なのかもしれない。
全く自分に興味無さそうな人より、
笑顔で私と目を合わせてくれた彼の方が気になる。
それに、あの笑顔に胸キュンしてしまった。

あまり目立たない感じに、優しそうな穏やかなしゃべり方。
普段ならきっとカッコイイ系の人の方にきゃーきゃー言っちゃうと思うけど、
あの何だか淋しそうにした一瞬の表情が、
無性に私の中に入っていた。

「どの人?右側にいた人?
あの人カッコ良かった~!」

ミキは自分でイッパイだからか誰だかわかってないらしい。

「そっちじゃなくて和み系の笑顔の、
ほら、さっき写真を撮ってくれた!」

ユウが即ツッコミを入れる。

「あ!優しそうだよね?カワイイって言うか…
カリナあの感じが好きなの?」

「あはは~、でも、あの人たちイイよね?
何だか楽しそうじゃない?」

「うん。さっきから楽しそうにしてて、イイよね。」

「ふふ…、ちょっと楽しくなってきちゃったね。」

ミキがようやく笑顔を取り戻した。
それで私もユウもホッとした。

彼らは海の中でビーチバレーでもやってるのか、
これまた大騒ぎだった。

海に浸かった私の目の前に、そのビーチボールが落ちてきた。
「はい」って、彼に渡すと、
ミキがカッコいい感じって言ってた男の子が寄ってきて、
ボールを指して気軽な感じで言った。

「良かったらいっしょにやりませんか~?」

彼がそう言わなければ、
私たちはその後会うことはなかったかもしれない。

これが私の夫になる青山ノボルと、その親友の赤木シンヤとの出会いだった。




前の話を読む

続きはまた明日

目次






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最終更新日  2009年11月11日 18時09分42秒
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