りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年12月02日
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今日の日記




「ある女の話:カリナ30(優柔不断)」



自分がどんなにズルくて、いいかげんな人間なのか思い知った。

自信を持って好きだって言えないくせに、
あんなことしちゃうなんて…

好きだからオノダさんのことを拒まなかったのか、
自分を正当化したくて、
拒まなかったかったから好きなんだ…
と思ってしまうのか…。

青山くんとの気持ちとは全く違う気持ちを味わって、
心の中がモヤモヤしていた。

だけど、バイトでオノダさんの顔を見るとドキドキして、
妙に意識してしまう。

レジでいつものようにオーダーを取る。
隣にオノダさんが立つと心がソワソワして、落ち着かない。

「ラウンド行って来ます。」

落ち着きたくて、離れたくなって、
そう声をかけて2階へ。

汚れてるテーブルを拭いて、
ゴミをチェックして、
トイレのチェックをして気を紛らわせる。

戻ると、オノダさんと目が合って、
ちょっと照れたような表情をしたのがわかった。

「何もなかったか?」

「はい。」

素っ気無く返事をすると、
オノダさんが戸惑った顔を浮かべた。
私とすれ違う。

うっすらとタバコの香りがした。

抱きしめられた時の記憶が蘇って胸を締め付ける。

もう、私ってどうなっちゃってるの?

自分の軽薄さに呆れてしまう。
頭の中がオノダさんに支配されてる。

でも明日から試験のためにバイトをしばらく入れてない。
ちょっと頭を冷やせると思った。

「ミゾグチ、明日から休みなんだな。」

オノダさんが客がいない時に聞いてきた。

「はい。試験なんで。」

私はドキドキしながら返事をする。

「ふうん、真面目なんだな…。」

オノダさんが近付いてきて、背後に立った。
体が触れるか触れないかの距離。
心拍数が一気に上がったのがわかった。

オーダー票のストックを確認しながら、
後ろから耳元に小声で囁く。

「試験終わったら会える?
電話していい?」

胸がキュンとした。
そんなことしないで!って、
しゃがみこんでしまいたくなる。

調理場にケンちゃんがいるので、
会話が聞こえてないかハラハラした。

「大丈夫ですよ。」

何が大丈夫なんだ?

私は自分の言葉の冷たさに呆れつつ、
平静を装って言った。
装った声とは逆に自分の鼓動がうるさい。

オノダさんは通じたのか、
小さくため息をつくと、
私の肩をポンと軽く叩いて、
「りょーかい。」
と言って離れた。

無理して作ったような笑顔だった。

なんて大胆な人なの…。
寿命が縮まるって、こういうことかと思った。

まだ心臓がドキドキしてる。
刺激が強すぎる…。

オノダさんの方をチラッと見たら、
私のことなんて無かったかのように袋のストックを補充していた。

も~、あんまりドキドキさせないでよ!
って思った。

なのに、
何だか少し嬉しい。
参ったなぁ…

バイトが休みの間、
レポートをまとめたり、
試験勉強のノートを作ったりした。

その合間、
何となくオノダさんのことが頭に浮かんだ。
電話するようなこと言ったくせに、かけてこない。
私も番号を知ってるのに、何となく電話をかけられなかった。

多分電話をしたら、
今すぐ二人で会って、
自分の気持ちを確認したくなる気がした。
それが妙に怖い。

そんなふうにモヤモヤしながら、
夜部屋でレポートをまとめてると、携帯に電話がかかってきた。

オノダさんかと思って、
ドキドキしながら表示を見たら、
青山くんからだったのでギクリとした。

オノダさんとのこともあって、後ろめたい気持ちが心に広がる。
同時に、
もうかけて欲しくなかったな…
って思った。

私からかけなければ、
そのうち自然と終わるかもしれないし、
友達として時々連絡くるかも…とは思ってたけど、
まさかこんな時に来ると思ってなかった。

気持ちを揺らさないで欲しいって、思いながら電話に出た。

「もしもし?アオヤン?」

「うん。元気?もうすぐ試験?」

いつもと同じ優しい穏やかな声がして、
胸がキュンとする。

もう、何だって今更…って思う。

「うん。そっちは?」

「うん。こっちも…」

青山くんが屈託無く、自分の学校の試験の状況や、
私の試験の状況を聞いてくる。

赤木くんがお礼を言ってたことを伝えられると、
あの時のライブの話や、
女の子といたことでビックリしたね…
なんて話が移ってドキンとした。

私もあんなキスをされてしまったんだ…

そう思ったら、
青山くんにますます後ろめたい気持ちになった。
同時にオノダさんのことが頭の中に浮かんで、
ソワソワしてしまう。

でも青山くんだって、
他の女の人と…。

そう思ったら、胸がチクリと痛んだ。
もう聞くこともできないな…って思った。

だって、私も、他の男の人と…。

そう思うと、妙にこの電話が空しいことのように思えてきた。

じゃあ、お互いガンバろうね。

って、アオヤンが電話を切ろうとして、
私はあることを決めた。


「あのさ、アオヤン。
試験終わったら会える?」

約束したのはバレンタインデーの前日だった。

私がバレンタインデーをいっしょに過ごすのは、
この人じゃない。

もう青山くんに心を揺さぶられたく無い。
このままでいないで、
ちゃんとケジメつけよう。

そう思った。

電話を切って、ぼんやりしつつも、
続きのレポートに没頭する努力をした。

また電話が鳴った。

まさかまた青山くんかな?
って表示を見たらオノダさんだった。

もう電話してこないんじゃ?と思ってたから、
何で今日に限ってこんな…と思う。
心臓がドキドキしてた。

「よお。ごめん。勉強中?」

「あ、大丈夫…ですよ。」

ちょうど妹がさっき帰ってきて、お風呂に入ってた。

「はかどってる?
って、俺、大学の試験とかよくわかんないけど…。
高卒だし。」

あ…そうだったんだ?
って思った。

「うーん、高校の時より勉強しにくい…かな。
範囲広くて、何が出るかわかんないんで。
辞書やノート持ち込めるのもあるけど、
レポートの方が楽です。」

「ふーん、そっか…。」

オノダさんは興味無さそうに返事した。
なのでまた会話は続かない。

青山くんは会話を作る人なので、
こういうとこ、困るんだよなぁ…って、
私は悪いなぁって思いつつも、
ついさっきの電話と比較してしまっていた。

オノダさんの声を聞く前は、
声を聞いたら会いたくなるんじゃないか?
って思ってたけど、
現実的には、そんな甘い空気が流れないことに、
私はちょっとホッとしていた。

「俺さ…辞令出て、
来週から言われてた店舗に行くことになったから。
だから、オマエ次来たら、もう店にいないから…。」

唐突に言われたことに、
胸がズキンと痛んだ。

もう会えないから、
もう気にしないでいいよ、って言われたような気がして。

自分でも、そんなふうに胸が痛んだことに驚いた。

「それだけなんだけど…
勉強邪魔してゴメンな。」

急な話だったので、
何て言っていいのかわからない。

てっきり、試験が終わったら会おうとか、
そういう誘いや約束の話かと思ってたのに。

オノダさんは、このままもう私と会わないつもりなんだろうか?
私から何のリアクションもしないから、
もう終わらせるつもりなんだろうか?

もう会えないんですか?

もう私のこと好きじゃないの?

そう聞けばいいんだ。
だけど、私の気持ちも、私達の関係も微妙な気がして、
素直に聞くことができない。

「じゃあ…」

オノダさんが電話を切ろうとするので、
慌てて言った。

「あ!あの…」

「…何?」

「試験終わったら電話していいですか?」

電話の向こうから、
何かサイレンの音が聞こえた。
車の音。
どこか道からかけてるのかな…

「うん。
…いつ終わるの?」

試験は2月の頭まで。
私はそのことを伝えた。

「うん…。
じゃあ、待ってるよ。」

私はホッとする。

まだ繋がってられることに。

そうして電話を切ると、
甘ったるい気持ちになって、
妙に自分の気持ちに区切りがついたことに気付いた。

よく考えてみたら、
またご飯食べに行きましょうよ~とか、
もっと軽いノリで言えば良かったのに。

どうしてオノダさんだとこうなっちゃうんだろう…

つい真剣になっちゃうって言うか、
本気になってしまう。

あ~、もう!
って思った。
結局振り回されてる。

でも、
オノダさんの気持ちに応えたいと思った。
オノダさんだけを見るようにしたい。

だから決めたんだ。

青山くんに告白しようって。




前の話を読む

続きはまた明日

目次





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最終更新日  2009年12月02日 18時20分56秒
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