りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年12月03日
XML
今日の日記




「ある女の話:カリナ31(別れのデート)」



こんな気持ちで青山くんへのプレゼントを買うとは思わなかった。

クリスマスの時期も、お正月も、
私の隣にはいつも青山くんがいて、
このバレンタインデーには、
青山くんと友達以上、恋人未満な状況から、
抜け出せるようになってるんじゃないか?って、
心のどこかで期待してた。

それがたったのこの一ヶ月で、
状況がこんなに変わってしまうなんて…

あの年末の私の想いは何だったんだろう?って思う。

でも、確実にオノダさんのことばかり考えてる自分がいる。

なのに、青山くんから連絡が来ると、
グラグラと気持ちが揺れる自分がいる。
見えない青山くんの好きな人に、
ヤキモチを焼いたりする自分も確かにいる。

自分のこのワケのわからない心の動きを、
誰にも話せずにお店で青山くんへのプレゼントを買った。

いっしょにウィンドゥショッピングをした時に知ったお店。
そこで青山くんに似合いそうなTシャツを買った。
店のお兄さんに青山くんの背丈や体型を説明すると、
親身になって、いっしょにオススメな感じを選んでくれた。

私はその中の一枚を選んでラッピングしてもらった。

「彼女からこんなふうに選んでもらえたら嬉しいよなぁ~。
気に入ってくれるといいね!
また来てね!」

お兄さんの笑顔に、私は苦笑いをしつつお店を後にする。

やっぱり買わなきゃ良かったかもしれない。

だって、多分もう買いに来ないもの…。

ふと、セレクトショップのウィンドゥを眺めると、
私がオノダさんからもらったストラップと同じ物が飾ってあった。

嘘…
これ、結構高いんだ?

私は金額を見て、ちょっとビックリした。
思ってた金額の倍以上していたから。

だったらいいかな…って思って、
私は目をつけてたジッポーを買った。

知ったことで、金額じゃないけど、
選んだオノダさんの私への気持ちがわかったような気がして、
胸が痛んだ。

私はまだそのストラップを引き出しにしまったままだった。

それからチョコを買った。
甘い物があまり好きじゃない青山くんには、
4粒くらいのチョコ。

オノダさんは甘い物が好きって言ってたから、
私が美味しいって思うお酒入りのチョコの詰め合わせを買った。

何だかフタマタかけてるみたいだな~
なんて思いながら、
会計を済ませる。

実際そうなのかもしれないけど。

でも踏ん切りをつけたかった。

私の中のけじめだ。


私はオノダさんの仕事が終わる時間を見計らって電話をかけた。

「もしもし、ミゾグチです。」

「うん…。
試験終わったの?」

「終わったら連絡するって言ったじゃないですか?」

「はは…
そうだけどね。
何となく来ないような気がして。」

あ、やっぱり会わないで終わりにしようかと思ってたんだな…。
そんなことが頭をよぎった。

「だから電話が来て焦った。
結構…かなり嬉しいんだけど…」

私の中に、じんわりと甘い気持ちが広がった。
どうしてこの人って、
こう人を喜ばせるような本音をさりげなく出すかな…。

「今度の休みっていつですか?
いつなら会えますか?」

私が単刀直入に言うと、
オノダさんがえーっとって、日付を言った。
オノダさんは土日以外の平日が休みのはずだった。
バレンタインデーは月曜だったけど、
火曜が休みだって言った。

だから私は、仕事が終わったら月曜に会えますか?
って聞いた。

もしかしたらバレンタインデーだって知ってるかな?
ってドキドキしながら。

「いいよ。」

オノダさんがそう言ったので、
私はホッとした。

青山くんと前日に会って、
翌日はオノダさんと会う…。

自分でもどうかしてるって思った。

でも、

こんな気持ちをズルズル持っていたくなかった。
もう全部終わらせちゃおうと、
そう思ってた…。


13日。
青山くんといつもの駅で待ち合わせをして、
前に観たように映画を観た。

今回はアクションもので、
いかにも映画館で観て楽しめる作品だった。
大画面、大迫力、大音響。

観終わった後も青山くんと興奮と感動で話がつきない。

あ~、コレも最後だな…って思うと、
笑いながらも、しみじみした気持ちになった。

最後のデート。

友達としてじゃなくて、
ちょっと恋人っぽくてもいいじゃない?

私は飲み屋だと変な酔い方をしてしまいそうだったから、
今日はレストランにしない?って言った。
スパゲティが食べたいとか何とか、苦し紛れの言い訳をして、
レストランを青山くんと二人で探した。

ちょっと雰囲気の良さそうな所をみつけて入った。
高級っぽく無くて、
でもカップルが並んでて、
美味しそうな店。

中はイタリアのレストランの雰囲気を出すためなのか、
イタリア語で挨拶してきた。
どうやら雑誌に載ったことがある店らしかった。

ちょっとラッキーな店をみつけたな…って思った。
美味しいし、話しやすいし、
ちょっと暗くて雰囲気もいい。

でも、ここも多分もう来ることは無いだろう…。

私はデザートが来る前に、
思い切って持ってきたプレゼントを青山くんに出した。

「はい、コレ。アオヤンに!」

「え?!何コレ?開けていい?」

「うん。」

青山くんは私があげた物を見て、
本当に嬉しそうな顔をした。

あ…。
良かった、やっぱり渡してみて…。

そう思った。

「何にしようか迷ったんだけど、ここの店の服、気に入ってるって聞いたから。
Tシャツなら無難かな~って。
お店のお兄さんと相談して選んだの!どう?」

「うん。…うん!嬉しいよ!ありがとう!」


青山くんは、すごく嬉しそうな表情をした。
バレンタインデーだってことをすっかり忘れていたらしい。
すごく意外だったみたいだ。

でも、そんな鈍いところも好きだったんだけどね…。

私の中で踏ん切りがついた。

「あのね…。
実は…私、付き合ってる人ができたの。」

自分でも変な言い方だな…って思った。
でももう引き返せない。

青山くんは、私の顔をマジマジと見た。

「バイトの店長なんだけど、
年明けに私が仕事を失敗したのをかばってくれたのがキッカケで…。
告白されて、すごく迷ったんだけど…。」

店の人がデザートを運んできたので、
話を中断した。

「わぁ~!すごく美味しそう!」

盛り付けに目を奪われたフリをした。
青山くんが何も言ってくれないから。

「そうなんだ?良かったね。」

青山くんが、気を使ったような笑顔で言う。

その笑顔から、
少しは私のこと、好きだったりしたのかな?って、
青山くんの私への気持ちを少し探るけど、
やっぱりよくわからない。

もう別にいいじゃん…
これで良かったんだよ。

自分に言い聞かせながら、
デザートを食べた。

美味しいことが、
これから私が言うことへの励ましのように感じた。

じゃあどうしてこんなプレゼントをくれるの?
って、
青山くんは不思議に思ってるみたいだった。

コーヒーをゆっくり飲む青山くんをじっと眺める。

青山くんの持っている、こののんびりした空気が好きだった。
青山くんとしゃべる、何気無い笑いが好きだった。

青山くんが私の視線に気付いたので、
思い切って言った。

「私ね、アオヤンのこと、ずっと好きだったの。」

青山くんが、
固まってるのがわかる。

返事に困ってるのかもしれない。

そりゃそうか…
今までずっと友達だと思ってた女が、
いきなり告白してきたんだもんね。

でも、バレンタインデー前の日曜なんだから、
ちょっとは察したっていいのにね…
義理チョコもらえる程度にしか考えてなかったのかな。

私はその様子を見て言葉を続ける。

「だから…、もう付き合ってる人に悪いから、
そんな気持ち持ってたアオヤンに、会うことできないと思うんだ。
だから、今日は、自分の中にケジメをつけたくて、デートしてもらったの。
私達、付き合ってた訳じゃないけど、
私、すっごく今まで楽しかったよ。」

ようやく言えたな…

でも、ちょっと泣きそうになった。

青山くんは何も言ってくれない。
かなり困ってるんだと思った。
何かフォローの言葉を言わなくちゃ…

私は落ち着くためにコーヒーを飲む。

「その人、すごいヤキモチ焼きみたいなの。
でも、束縛されたこと今までなかったから、それが何か、
嬉しいって言うか…。」

だから私の言ったこと、あまり気にしないでいいからね。

半分ホントだけど、
半分そう思ってるよね?って自分に確認してるみたいだった。

私は不自然にならないように、笑顔を作った。

「そっか!そうなんだ?!何だ~!
そうだよね。
うん。ありがとう。
コレ、大事にするよ!
ボクも楽しかった!すごく楽しかったよ!
うん、その人に悪いよ。
もう、会わない方がいいかもね!」


青山くんは、ようやくホッとしたのか、
笑顔を作って、慌てたようにそう言った。

青山くんの言ったことに、
すごくガッカリしてる自分がいた。
あっさり会わない方がいいって同意されたことに、
やっぱり何とも思われてなかったんだな…って。

うん…。
だからそんなに困らないでいいのに…

私は心の中でそう呟いた。

私はいつものように会計をワリカンにしようとしたら、
青山くんがそれを断った。

「もう、次は無いでしょ?コレのお礼させてよ。」

青山くんが包みを指したので、
ああ、そっか。
それでもう私達の間に貸し借り無しで最後だよね…って思った。

優しくてキチンとした青山くんらしい。

でも胸がズキンって痛んだ。

次が無いことに。

それでも青山くんは、最後だからって、
私の家の駅まで送ってくれた。

私も何もしゃべれなくて、
青山くんも無言だった。

私の家の近くまで来たので、
私は手を差し出した。

ずっと握っていて欲しかった青山くんの手のぬくもりを、
もう一度確認したかった。

「さよなら。アオヤン。」

青山くんは、ちょっと戸惑った感じで、
手を差し出してきて握手をした。

「うん。さよなら…。」

手のぬくもりと、その言葉に胸がまたズキンと痛む。

この手を離したくない…。

でも、

私だけじゃなくて、

青山くんにも私を好きになって欲しかった。

ずっとこの手が青山くんから差し出されるのを待っていた。

でも、青山くんには他に手を握る相手がいるんだ…


終わったんだな…

そう思った。

私は何度も振り返って、
青山くんが私を見送ってくれるのを確認した。

青山くんはずっと道に立っていて、
私が角を曲がるまで、何度振り返っても、
そこから動かなかった。

その意味を、

私は自分の気持ちでいっぱいで、

考えることができなかった。




前の話を読む

続きはまた明日

目次





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年03月27日 21時23分40秒
コメント(2) | コメントを書く
[ある女の話:カリナ] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

りらっくままハッシー!^o^

りらっくままハッシー!^o^

カレンダー

コメント新着

りらっくままハッシー!^o^ @ Re[2]:アカデミー賞授賞式(03/11) ゆうけんのままさんへ 一年ぶりになってし…

バックナンバー

2026年09月

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: