RED STONE 増殖☆寄生日記

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March 12, 2007
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カテゴリ: 小説


 赤山の入り口にはたくさんの人が詰め掛けていた。

「卑怯だぞ!」

「出てこいや、こらぁ!」

 異常に興奮している人々が口々に叫んでいる。

「あの、すいません。ちょっと通してください。」

 人ごみをすり抜けて登山口を見ると、山道入り口の両側にある石像の間に半透明の魔力障壁が作られており、これが暴動を起こしている集団の侵入を阻んでいるらしかった。




バリア.jpg


「どうする?これ以上進めないみたいだけど。」

「うん・・・。スルタンさんに会って話を聞きたかったけど、ちょっと無理みたいだね。」

「あのバリアが解ける方法があったとしても、あいつらまで一気に雪崩込みそうだしな。」

 かといって、このままにしてはおけない。

「そうだ、パパやママ、村の人達なら何か知ってるかも!」

 しかしビスルに行くにもこの道を通らなければならない・・・。

「君!ちょっと、そこの君!」

 声の方を見ると、人垣をもそもそと掻き分けてかなり大柄な人物が出てきた。

「君、ロマ村ビスルの子だろ?」

「はい。」

「やっぱり!ちょっと見かけたことがあるんで、そうかなって。」

 そう言ってたくましい体躯の追放天使が笑みをうかべた。そういえばこのガラガラ声、どこかで聞いたことがある。

「俺、仕事でビスルによく行くんだ。宅配の・・・。」

 ロマ村ビスルは辺境の地にある。テレポーターで移動可能な一番近い街でも赤山や浜辺をはるか遠く越えたところにある港町ブリッジヘッド。当然さまざまな物資の輸送はタウンポータルを開くことのできる追放天使に頼ることになる。彼はそうした宅配天使の1人らしい。

「なんか大変なことになっちゃってるみたいだね。たまたまバリアートに仕事があって来ていて、騒ぎを聞きつけたんだけど。」

「はい・・・。」

「村の方とかも、心配だろ?よければ送っていくよ。」

 そうだ、その手があった! あ、でも、帰りはどうしよう・・・。

「ちょうど荷物頼まれてて、行くところだったから気にしないで。積み下ろしに時間がかかるだろうから、その間に様子を見ておいでよ。帰りもちゃんと送ってあげるから。」

 渡りに船とはこのことだ。ありがたく彼の申し出を受けることにした。

 運ぶ荷物のあるブリッジヘッドまで戻り、街のはずれにタウンポータルを開いてもらった。白い煙の渦のようなトンネルを抜けると一気にビスルへ到着だ。





 真昼で空はよく晴れているのに、何故か村は薄暗くそして肌寒く感じた。普段はのんびりと草を食んでいるヤギや羊たちもどこか落ちつかなげに身を寄せ合っている。

 村の中央に来て、その理由が分かった。

「聖なる炎が・・・!」

 ビスルのシンボルであるとともに、守り神でもある大きな炎の柱が、以前の半分くらいの高さになっていた。かなり高地にあるこの村が比較的温暖なのはこの炎のおかげ。通りで寒く感じたはずだ。

「ママ、パパ!」

 人影がまったく見えず、あたりは静寂に包まれていた。

「ねえ、誰か!誰かいないの?」

 どうしよう。この村にも異変が起こっていたなんて。

 パニックを起こしそうになるのをなんとか押さえ、村の端まで来たとき懐かしい顔に出会った。

「プッチニア!!」

「・・・ウォル!」

 一つ年上のウォルバキアは昔よく遊んだ幼馴染の1人だ。学校のクラスが男女別になっているため、大きくなるにつれ段々と疎遠になってしまっていたけれど・・・。

 ウォルは丘の上から駆け下りてきて、大きな手のひらでいきなり私の両頬をつかんだ。

「ちょ・・・なに・・・。」

「よかった。無事で・・・。ほんとによかった。」

 そのまますっぽりと腕の中に納められ、何がなんだか分からなくなった。さっきつかまれた頬が、体が触れ合っている部分が熱い。頭の芯がぼうっとして、心臓だけが勢いよく脈打っているのを感じていた。

 5分くらいだろうか、そうしていた後、ふいにウォルは体を離した。

「あ・・・えと・・・ごめん。だって急にいなくなったりするから。・・・心配してた。」

 目を合わせずすっと下を向いてしまった。

 こんな人だったろうか。昔はやんちゃで、よく泣かされたものだけど。顔はいつも泥だらけ、髪はぐしゃぐしゃに。いつも転げまわって遊んでた。

 背、伸びたんだな。鹿みたいに骨ばってすんなりと伸びた手足。男の子ってあっという間に大きくなっちゃうんだ。

 なんだか別の人と話しているみたい。だから緊張してるんだな、私。

「皆いなかったろ。大人は皆、村長の家に集まってるよ。子供は家に待機。絶対に外に出るなってさ。」

「ウォルは?」

「ああ、俺はそう言われるとかえって外に出たくなるんだ。」

 やっとこちらを見てにやっと笑った顔はイタズラ好きだった頃のままだった。

「村長の家、行ってくる。なんか大変なことが起こってるんでしょ?」

「そうだけど・・・子供は家にいろって・・・。」

「私もう、子供じゃないわ。マスタークエストだって終わった立派な冒険者なんだから!」

 言うか言わないかのうちに走り出した。いたたまれずこの場から逃げるように。






⇒ つづき






















 『あのバリアの画像・・・左から行けるんじゃない?』

 そんな至極ごもっともなツッコミはナシの方向でヽ(゜▽、゜)ノヨロチク






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Last updated  August 22, 2009 03:45:56 PM
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