秀行先生のクローズアップ現代、数多くの名言が紹介された中で一番強烈に印象に残った言葉は「お前の碁は当分見たくない。」妻に「お前の料理は当分食べたくない。」と言ったら一発で離婚の危機に陥ると思われるが、凄まじい破壊力のある言葉である。
その言葉を浴びた高尾プロの手は以下の黒1。左下のコスミ付けられた所を立って挟まれるを嫌い先手を取って左上隅に先着しようとした手であるが、「逃げた手」だとカミナリが落ちたそうだ。逃げては行けないという教えは、その後の高尾先生の飛躍に大きな影響を与えたに違いない。

弱気になる必要がない場面で苦労を避けて楽な手を選んでしまうことは、私もどうしても止められないので強く心に響いた。武宮九段は「真剣が目の前に来ても平常心で」「未知の世界を切り開く」「美しい手を選ぶ」というような言葉で表現していたけれど、憧れる悟りの境地である。
振り返ると碁を覚えた当初は逃げているばかりだったと思うが、それもまた面白かった。たくさん石を置いているけれど、何が飛び出すか心配で心配でひたすら逃げる。ビクビクしながら暗闇の山中を進むようだ。よく考えてみると、これはネバーエンディングストーリーみたいな冒険の世界なのかも知れない。命からがら逃げ切れた喜びを繰り返し体験しつつ、だんだんと勇気が生まれてくる。
いい年しながらいつか真の勇気を手に入れるのを夢見て、冒険は続く。
シチョウで取ってしまい困った話 Aug 22, 2018
知って損はない!プロ常用?ハメ手の話。 Jan 13, 2018 コメント(2)
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