※大和杯アマチュア選手権
大和杯アマ選手権は今年が3回目で、過去2回は棋士になったホン・マルグンゼムさんが優勝している。当然ネット棋戦だが、決勝だけは東京で開催。各級・段の部もあって、何と全部で18クラスの決勝とプロの大和杯決勝がセットになった企画である。バルブの時代のキリン杯を思い出すような、派手な大会だ。初めて決勝大会に参加して、ファンタジーに溢れた演出に驚かされた。
※SFチック
会場は東京駅に隣接した大和証券本社ビル。昼の集合の前に、楽しみにしていた新丸ビルのレストラン大宮で昼食を取る。ポークソテーあたりでワインを一杯という誘惑を抑え、限定10食(だったような)タンとテールのカレーラースを注文。美味しかったが足りないので、ナポリタンも追加。本格トマトスパと食堂のナポリタンの良さを合わせたような、さすがの味だった。
17階の会場受付に到着し、「出場選手」と書かれた名札と対局室での席番号を書いた紙を渡される。名前が書いてないのがミソだ。25階に案内される。すでに選手控室にほとんどの選手が集まっていたが、相手が誰かまだ分からない。ネット棋戦なので若い人が多いかと思っていたが、年配の人が大半で意外だった。対局番号が1番だったので当然2番の人と打つのだと思っていた。
対局室に案内されてびっくり!建設中の東京ツリーも見える展望台のような広い部屋に並べられた机の上に36台のパソコンが置かれている。「ネットなのか!」席順もバラバラで誰と打つのかも分からない。係の説明でも「夜の表彰式までには、相手がわかると思いますのでお楽しみに」とのこと。ホントにその通りで、ゲームの世界に入ったような感覚だ。
ネット対局って本来遠方の人と打てるのがメリットなのだが、全国から東京に集まってネット対局とはSFチック。
挨拶、説明に続いていよいよ対局開始。黒番、序盤に辺で固く構えるくらいが相場の場面で、気合が高まり欲張って大きく構えた。入って来たら乱戦に持ち込むつもりだったが、相手が自重して全部地にさせてくれたので、思いがけずかなり有利な展開となった。終盤見損じでひやっとする場面もあったが、2.5目勝ち(相手の手入れの所をそのまま確定してしまったので、ホントは3.5目)
※プロ決勝大盤解説会
その後、17階の大会場に移動。次は、プロの大和杯決勝(井山・河野戦)の大盤解説会。大竹理事長・大和証券のあいさつから開幕。解説は、趙治勲先生、聞き手は大沢4段。プロ対局が始まる前に、少し私の碁も解説された。
趙先生の生解説は初めて聞いたが噂以上の面白さだった。「(操作係が)解説する前に並べたら、私の立場がないでしょ。」「相手があたりに突っ込んで来たら、待ったされる前にすぐ抜きましょうね。」「誰でも言われれば分かるんですよね、あのタイガー・ウッズでもそうなんだから」で大爆笑の連発。
横に長い会場で、正面に幽玄の間の映像を流す大きなスクリーン画面が3つ、両サイドに大型モニターが2台。たいへん見やすい。面白いのは、趙先生の解説と同時にネット中継の三村先生の解説も見えること。二人の形勢判断が違う局面がかなりあった。井山名人有利の碁だったが、逆転で河野9段の勝ち。
二人が入場して検討、表彰式まで、2時間半のショーで入場者は大いに楽しめたと思う。最後にアマ大会の表彰と記念撮影も行われた。ここでの表彰は代表して私が受けたのだが、かつてのパンナムのトロフィーを思い出すような、持ったことがない巨大なトロフィーで驚いた。「これ持ち帰りできるかな」と心配したが宅急便で送ってくれると聞いて一安心。
※懇親パーティー
続いて、会場を移動して関係者の懇親会。華やかな立食パーティーで、若手のプロの先生や参加者と談笑。ようやくここで対局相手とも積もる話をする。年配の強豪で、かつてよく名前を見た事があった。
ここで、アマ全員の表彰も行われた。趙先生には恐れ多くて近寄れなかったのだが、表彰の挨拶で「昨年優勝のホンさんはプロになったんで、趙先生の内弟子にしてください。」と公開直訴。かつてNHK杯の解説中に研究会参加を直訴した青葉プロのように駄目出しされるかと思いきや、先生から「張うに勝ったら内弟子にする。」宣言が飛び出した。その心配は100%ないとの判断と思われるが、ネットだけにクリックミスによる大事件がないとも言い切れない。その場合妻と一緒で良いのか聞くのを忘れてしまった。
楽しい懇親会が終わりホテルに荷物をおいてから、満を持してNIBK有識者会議に向かった。
(続く)
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