SAC.COM

バックナンバー

2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月
2025年07月

2025年06月
2025年05月
2025年04月
2025年03月
2025年02月

カレンダー

フリーページ

2012年01月31日

『金正日と高英姫』　1月の読書 (11)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(100367)

カテゴリ：読書

　『金正日と高英姫』
　―平壌と大阪を結ぶ「隠された血脈」
　鈴木琢磨（著）
　イースト・プレス 2005/04/28

　北朝鮮の独裁者金正日の妻となった金正恩の母である高英姫（コヨンヒ）。

　国家の新たな首領である金正恩の母が在日であることを葬り去ろうとする動きも伝えられる。

　高英姫の父、高太文は柔道家から「大同山」を名乗る在日朝鮮人レスラーとなった人物。

　一家で北朝鮮に渡った彼は、金正日によって力道山に匹敵する英雄に仕立て上げられた。

　その長女、高英姫は、北朝鮮舞台芸術の最高峰、万寿台芸術団のトップスターとなった。

　そして金正日に見初められ妻の座に就いた。

　やがて彼女は、三代目の王にわが息子を就かせるべく、候補者を次々と蹴落としていく。

　巻末に高英姫関連年表付き。

目　次
　第１章　大阪・猪飼野の迷路
　第２章　力道山の真実
　第３章　金正日が愛した二人の女
　第４章　父は「英雄」に、娘は「皇太子妃」に
　第５章　高英姫の「偶像化」を急ぐ理由
　第６章　「オモニム」キャンペーンの真相
　第７章　「三代目後継者」へのシナリオ
　第８章　消された「女帝」高英姫

　高英姫もディズニーランドが好きだったとは本書を読むまで知らなかった。

　金正日、金正男、在日だった高英姫ともけっこう日本文化（食、音楽など）が好きなのか。

　長男（＊正哲）はすでに卒業しましたが、将軍よりも奥さま似で、将軍は『あいつは女の子みたいだ』といっていました。次男は顔や体型はもちろん、やることなすこと将軍と瓜二つ。すごみもありました。にらみつけられたりしました。私は後継者になるなら次男（＊正恩）じゃないかと思いました。

　金正日の料理人、藤本健二氏の慧眼と客観的見解に恐れ入る。

　藤本氏は2003年6月に発行した『金正日の料理人間近で見た権力者の素顔』の中で、「正哲はバスケットボールが終わればそのままお疲れさまと別れる一方、ジョンウンは同僚の選手たちを集めて敗因を分析するなど徹底的な姿だった」と述べている。

　新聞人、鈴木琢磨氏は藤本氏の発言を記した後も次男、正哲の3代目継承説を唱えている。

　曇りなき目で情報を総合すること難しさを教えてくれる。

　『情報力―情報戦を勝ち抜く“知の技法”』