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2015年05月23日
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 子どものころ「技術の日産」という言葉をよく聞いた。

 日産レーシングスクールを継続するなど、日産は自動車文化の育成に熱心だったと思う。

 日本の自動車とモータースポーツの歴史の大きな部分を担ってきた日産自動車にも、トヨタやホンダのように不特定多数に車両ミュージアムを公開して欲しい。





日産エンジンミュージアム
​ 連絡先
 日産自動車(株)横浜工場ゲストホール
 〒220-8623 神奈川県横浜市神奈川区室町2
 Tel.045-461-7090​





​  自動車用エンジンの保存と技術の伝承
​​​​​​​​​​​​​​ 現物と証言、資料で機能や性能を後世に伝える日産自動車
 2015/05/13 日経テクノロジーonline
 前田博正=日産自動車横浜工場ゲストホール・日産エンジンミュージアム学芸員

[1]はじめに
 わが国の大量生産による自動車生産は1930年代に始まり、わずか80年ほどの間に世界の知に学び、幾多の試練に耐えて世界トップレベルの製品を生み出すまでになった。その経緯には、現在と将来の技術者に伝えるべきものも多い。特にエンジンは性能の根幹をなすユニットとして、高速化、高出力化、燃費向上、地球環境問題などさまざまな課題を克服してきた。

 そこで日産自動車エンジン開発部門は、若手技術者育成の材料とすることを目的に、自社開発した自動車用エンジンを収集し、開発のいきさつなどとともに展示・解説している。その一部は「エンジンミュージアム」として一般公開している。
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[2]エンジン収集の開始
 1990年頃、日本が世界一の自動車生産国となることが見えてきた。自動車の性能も、排気規制への対応も高度な電子制御技術とさまざまな部品の精度向上、そして触媒の製造技術向上によるコスト低下などにより一通りのメドがつき、世界との競争に勝てる実感が出てきた。開発技術者に「これらの財産をきちんと後輩に残し、次世紀にさらに発展してもらわねば」という雰囲気が生まれた。

 自動車性能の多くを左右するエンジン開発では、とりわけこの思いは強かった。従来のエンジン開発技術の伝承は口伝に近く、「一人前になるには10年以上かかる」と思われていた。そこでエンジン開発部門では、学習の基本となる歴代エンジンを若者たちに見せ、経験をくみ取ってもらおうと考え、実験部所有のエンジンや個人保存品を収集。1930年代の創業当初のものから1990年代のものまで、また小型車用から大型車用、さらにモータースポーツ向けのレース用エンジンや展示用のカットエンジンまで幅広く集め、現在その数は約200台に上る。         ​​
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[3]エンジンの保存
 収集したエンジンは、機能や性能を後世に伝えるためにも極力動態保存が望ましいが、単体で動かすことはなかなか難しい。また自動車に組み込まれたエンジンシステムとしてどの部品まで収集対象とすべきか検討を要するところである。

 保存や修復の仕方も考え方はさまざまで、目的を見据えて決めねばならない。当館では出荷状態の維持を目指していたが、使用過程を経た状態も貴重な学習材料と考え、使われた結果の劣化、破損などを新品の部品や複製部品で補うのは最小限に留めている。それでも、補修・保存ができているのはごく一部であり、今後の大きな課題となっている。
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​[4]二次資料の収集​
 いくら現物が重要でも、実物だけでは後世への技術伝承はできない。開発のいきさつ、開発者の考え方、不具合の発生とその要因、対策法、その判断根拠などを伝える資料も収集している。社史、開発史などさまざまだが、図面や開発時の設計、実験報告書などの開発資料も結果を淡々と述べたものが多く、担当者の生の声を伝えるものとしては不足がある。そこで当時の技術者に直接話を聞き、文書化して残す試みを始めている。

 幸い自動車産業が急発展した1960年代の第一線技術者の協力により、貴重な証言が得られている。無論、それらも裏付けが重要で、開発記録や図面、実物の調査により検証し、不完全なところを修正しなければならない。これら二次資料と実物のエンジンとを合わせ、歴史を完成させていくことになる。
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​[5]技術の伝承​
 通常、技術の伝承は設計基準や設計手法として伝えられるが、それだけでは「精神(基準や手順ができたいきさつ、考え方)」はなかなか伝わらない。基準の改定などによって、本来伝えるべきことが変形する可能性も否めず、実物と二次資料を結び付けて技術的な解釈を行い、後進がその意味を理解できるよう加工・展示していく必要がある。

 技術の伝承について、技術者が行う設計基準・手順などの改定に加え、歴史として残す役割をもつ学芸員の存在意義がここにある。博物館学芸員は、史料の収集、管理、保存、研究・調査、そして展示、学習を確実に補助していく。この学芸員を活用することも、技術の伝承に不可欠なのである。​​​​​​​​​​​​




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最終更新日  2021年11月14日 08時55分51秒
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