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2024年09月30日
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テーマ: 新興国市場(2)
カテゴリ: 経済
 中国経済は不動産バブル崩壊した、あるいは国策によりバブルを崩壊させた。その経済的影響は幅広く中国経済を襲い、バブル崩壊後低成長を続けた日本経済と異なり、今後の経済面での開発の可能性に満ちていながらも、中国経済は「詰んだ」とみる向きもある。
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 2024年4~6月期のインドの実質国内総生産(GDP、速報値)は、前年同期比6.7%増だったと発表した。1~3月期の7.8%増から減速したものの中々の伸び。
 業種別に見ると、建設業が10.5%増、製造業が7.0%増となり、成長をけん引。農林水産業は2.0%増と伸びが鈍化した。
 人口増と中間層の拡大に伴い、GDPの過半を占める個人消費が伸びた。高齢化し今後の大きな経済成長の伸びが期待できない中国と異なり、若年層が多いインドの個人消費は今後も拡大の基盤が大きい。
 世界一人口の多いインドのGDPは、名目ベースで旧宗主国の英国を上回り世界5位となった。外国為替相場の動向次第だが、今後数年で日本とドイツを抜き、世界3位になることが確実とみられている。
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 為替安もあり、日本のGDP順位の低下は確実視されている。「安いニッポン」作りに邁進したアベノミクスは、庶民にとってどこらへんが成功だったのだろうか?
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日本企業のビジネスチャンスはどこにあるか
  …  引用終わり  …
 デリーの空港に降り立つと、すぐに感じるのは大気汚染の深刻さだ。到着後の数日はのどに違和感が残り、20年前の北京でも同様だったのを思い出す。
 20年のタイムラグは、経済面のデータとも整合する。中国にも駐在経験がある野村総合研究所インド法人の郷裕氏は「デリー、ムンバイ、ベンガルールの1人当たりGDPはすでに5000ドルを超え、これは2005〜07年の北京や上海に相当する」と指摘する。
 08年の北京五輪、10年の上海万博を控え、中国の中間層増加や都市化がスポットライトを浴びていた時期だ。中国経済は01年のWTO(世界貿易機関)加盟を起爆剤として、2桁ペースの高成長を続けていた。その原動力となったのは農村から供給される安価な労働力を武器とした製造業だ。
 グローバル企業の輸出拠点として「世界の工場」といわれる強力な生産基盤が形成され、その稼ぎで国民が豊かになるにつれて中国は「世界の市場」へと転換していった。インドも同じ道をたどるのか。
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内需狙いが多数派
 まず押さえておくべきは、インドへの直接投資の中で製造業が占める比率は半分もないということだ。世界的にはITやサービス業の有望投資先であり、ものづくりを主な関心事とする日本はむしろ例外的な存在だ。製造業はまだインド経済の主役ではない。
 今インド進出を考える日本企業の中では、インドの内需開拓を狙う向きが多数派だ。最初は輸出拠点にするために進出した中国とは、そこが大きく違う。
 03年から合計15年もの中国駐在経験を持ち、現在はデリーを拠点とする中村伸吾・みずほ銀行執行役員インド営業部長は「20年前の中国には、日本企業のライバルになるような現地企業はそこまで多くなかった」と指摘する。
 一方で現在のインドには、タタやマヒンドラ&マヒンドラなど、古くから自動車を製造しているメーカーが複数存在する。ほかの分野もしかりで、「日本ブランド」が圧倒的に強いとはいえない。
 裾野産業も同じだ。今やスズキのインドでの現地調達率は9割を超えている。20年前の中国ではここまで地元企業は育ってはいなかった。だからこそ日系企業のチャンスは大きかったともいえる。
 中国企業の新規投資は事実上締め出されているが、自動車でも家電でも、インドでは韓国やドイツなどのライバル企業との競争が厳しい。「3年で単年度黒字、5年で累損解消」といった、2000年代の中国では普通にありえた成功は期待しにくい。中小企業は慎重にならざるをえないだろう。
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長期戦で臨む姿勢が必要
 「03年当時の上海では、みずほ銀行でも新規口座を年数百件規模で開いていた。対照的に今のインドで勢いがあるのは、すでに進出している企業の再投資だ」(みずほの中村氏)。
 インドの厳しい競争環境に耐え抜いた企業はそれなりに報われているようだ。ジェトロの調査ではインドに進出した日本企業の7割が23年度の営業利益を黒字と見込んでおり、この比率は中国の6割を上回る。
 野村総研の郷氏は「デリーなど大都市圏の市場はインド市場の一部だが、それでも十分大きい。中国勢の参入障壁が高まっている今のうちに進出するのが得策だ」と話す。
  ―  引用終わり  ―
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 乗用車の主要メーカー別の2023年販売台数シェアはマルチ・スズキがトップで41.7%(前年度差+9.5万台)、韓国の現代自動車が14.6%(+8.3万台)、インド資本のタタ・モーターズが13.8%(+7.1万台)。日系合弁のマルチ・スズキは圧倒的シェアでトップを続けている。
 トヨタ・キルロスカ は5位でシェア5.8%ながら前期比bの増は41.8万台。
 インド自動車市場はタタ・モータース販売した激安車ワンラックカーを受け入れなかった。安ければ売れる中国市場より、ライフサイクルコストの観点に長けた大人な自動車市場と思われる。
 日系自動車メーカーのマルチ・スズキ、トヨタ・キルロスカは増産計画を発表しており、さらなるシェアの拡大が見込まれる。
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 二輪車の主要メーカー別シェアは、首位がヒーローでシェア30.2%(542万台、+5.1万台)、2位はホンダで25.2%(453万台、+12.5万台)、3位はTVSモーターで17.6%(315万台、+21.5万台)、4位はバジャジ・オートで12.4%(223万台、+24.2万台)。 5位はロイヤルエンフィールドを抜いて浮上したスズキでシェア4.5%(92万台、+26.0万台)、前年度比は26.0%増。
 ヒーローはかつてインド二輪市場のトップメーカー、ヒーローホンダとしてホンダの合弁パートナーだった。輸出志向の相違から2010年に合弁を解消しヒーロー・モトコープとなった。インドからの輸出を志向するヒーロー・モトコープは、元提携先のホンダに技術使用料を支払って使用している技術を搭載した4車種の販売を、2017年3月までに段階的に中止した。
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 インド自動車工業会(SIAM)によると、2023年の自動車国内販売台数(二輪、三輪を含む)は2,385万3,463台で、前年度比12.5%増加。
 部門別にみると、乗用車が421万8,746台で8.4%増、商用車が96万7,878台で0.6%増、二輪車が1,797万4,365台で13.3%増、三輪車が69万1,749台で41.5%増。
 インドには四輪、二輪ですでにスズキ、トヨタ、ホンダが量産車組立工場を展開している。
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 経済発展により電気不足も相変わらずだが、大気汚染が深刻な大都市の多いインドは、鉄道事業の再整備とともに、EV(四輪車、二輪車)の有望な市場でもある。
 2024年5月、ホンダはインドで2輪車やパワープロダクツの研究開発を手掛けるHonda R&D(India)Private Limited(HRID)が、カルナタカ州ベンガルールに新しい研究開発拠点「Solution R&D Center」を開設したと発表した。
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 モディ政権の製造業振興策により電源と水のインフラが整えば、急速な工業発展の可能性とEV市場の大きな拡大の可能性を秘めている。中国の国営企業による高速鉄道のような経済面で負の遺産への巨額・過剰投資の継続は、インドでは考えにくい。





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最終更新日  2024年09月30日 06時00分14秒
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