PR
カレンダー
キーワードサーチ
先日のことですが、「飼い犬が急に前足を出してきて、 爪が左目に入った。ごろごろして痛い」という訴えで患者様が来院されました。早速目を拝見すると、

白目(結膜)が切れて、犬の爪の跡もくっきりとついています。症状としては軽く大したことはなかったのですが、患者様は「グラちゃん(仮名)は普段はとってもいい子なのに、どうして急にこんなことをしたのかしら?」と大変ショックを受けておられます。
私は「でもまあ、怪我したのが黒目(角膜)じゃなくて不幸中の幸いでしたよ。」と慰めて、「せっかく来て頂いたので目の奥(視神経や網膜)もついでに診せて頂きましょう」と拝見すると、


パッと見ただけで両目とも目の神経が減っており、緑内障が非常に疑わしい状態です。
精密検査で視神経の周りの神経繊維層を分析してみると、


やはり両目とも神経の量が減っています。(上記の写真の赤色で示された部分)
視野検査上でも、

やはり両目ともすでに視野が欠けています。でもラッキーなことにまだ緑内障としては初期でした。今から治療を開始すれば失明まで至ることはまずありません。
ただこのくらい初期の緑内障だと、自分自身で気づくことはまずありません。今回は愛犬のグラちゃんのおかげで偶然眼科に来てそれで緑内障を初期で発見することが出来たのでした。
私が患者様に「グラちゃんは、もしかしたら不思議なパワーで飼い主の目のピンチを知らせてくれたのかもしれないですよ。忠犬グラちゃんですね。」と説明すると、 患者様も「はい、うちの犬は本当に最高の子なので絶対そうだと思います。」と大喜びで帰宅されました。きっとグラちゃんは御馳走を貰えただろうと思っています。
画像鮮明化ソフトウェア、ミエル フォー… 2025.06.13
前眼部OCT、カシア2アドバンスを新規導入… 2025.03.02
患者様は目薬のために生きているわけでは… 2025.02.07