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千菊丸2151 @ お久しぶりです。 仙人草さま、お久しぶりです。 イケ君…
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mifess @ お元気でいらっしゃいますか? 生活環境が種々変化してくると、言葉に出…
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Nov 4, 2010
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ぼくは、そんなことを、考えているのが嫌になっていた。

そんなときだった。

牧野先生がぼくに、クラスに一人ぼっちの子がいなくなるように、イケと一緒に協力してほしいと言っ

たのは。

今までは、関わりたくないと思っていたぼくだったけれど、(考えることから)逃れるように、つい引

き受けてしまった。

 クラスにいじめは、ある。

みんな、一人ぼっちにされて、無視されてしまうことを恐れている。何時、自分がそうなってしまうか



だ。

臭くないのに臭いと言われることや、汚くないのに汚いと言われることにびくびくしている。そう言わ

れ始めたら、いじめの矛先が自分に向かってきているからだ。

みんな左右を見て他人と同じようにする。少しでも、はみ出さないようにする。仕方がないから。我慢

して。怯えながら。

自分がターゲットにならないようにする。

みんな、自信がないんだ。ぼくもそうだけど。

自信があるのはイケだけだ。

イケは他人の目を気にしないから、強い。へっちゃらだ。

臭いと言われたって、汚いと言われたって、それがどうしたッと、怒鳴り返す。

いじめられたら、やりかえす。誰にもできることじゃない。



 新聞には今日も、いじめで命を絶った子の記事が載っていた。

絶望してしまうんだ。

ぼくは、絶望すると言うその気持ち、少しは分かる。

なんにも見えなくなってしまうんだ。暗闇の中で、出口を必死に捜し回っても見当たらない。苦しいん

だ。疲れきって、もうどうなったっていいと諦めてしまう。そして、他人を信じられなくなるんだ。友



野島さんがそうだったように。

悩みを打ち明けられる、ほんとの友だち(ぼくとイケのような!)がいれば、負けたりはしないのに。

簡単に分断されたりしない、固い友情!ぼくには、それがある。 

 一人で(悩みを)抱え込んでしまったら、他人の悪意から容易くは、逃れられない。

みんな、その悪意が自分に回って来ないように、悪意で自分を武装するからだ。そうやって、いつの間

にか悪意は連帯していく。

悪意の連帯は容易いのに、善意の連帯は難しいのだ。

心の奥には、か弱いやさしさがあるのに、段々、出せないままになっていくのだ。そして、それは、習

慣になって固まっていく。

固い悪意の岩盤を、壊していかなくていけないんだ、誰かが。

一人立ちあがる人がいなければ、誰も続いてなんかいかない。

誰かが立ちあがらなければ、何も変わらない。暗い世界が続いていくだけだ。

ぼくは、勇気のあるその一人になれるだろうか。

イケとなら、組んで、やれるかもしれない。

ぼく一人では、とても無理だ。

ぼくには、イケがいる。ぼくは、花立に来て、本当に良かったと思っている。

ぼくは、イケがいたから生きているんだ。

 いじめる奴も、周りの人も社会病(ぼくの造語だけど)に罹っている。何か充たされないものを、八

つ当たり(いじめ)で晴らしている。

未来への不安で、心が沈む大人の社会(他人のことなんか考えられず、自分さえ良ければそれでオーケ

イの人が多すぎる)の中に子どももいるからだ。

子どもの鏡には、そんな大人がしっかりと写っている。

だから、他人の痛みなんか分かろうなんて思いもしない。そんな余裕はないんだ。

 ぼくは、命を絶った子を、本当に傷ましいと思った!

絶望してしまう子に、海に咲く花を見せてあげたい!

どんな子でも、きっと、心の奥にある勇気を揺さぶられるはずだから。

海に咲く花は、イケと二人だけの秘密だったし、誰にも見せたくなかった。でも、今は、違う。

そんな子に見せてあげたいと、本気で思った。

海に咲く花は、今頃何処を旅しているのだろう。

海に咲く花は、ぼくたち子どもの大いなる希望だから。



 いじめの岩盤を壊そうとするのは、容易くはなかった。

だいいち、イケでさえぼくに、一人でやれと言ったからだ。

「オレを当てにするな。お前が引き受けたんだろッ」

「なんだよッ、協力しないのかよ。イケ、がっかりさせんなよ。親友だと思ってるのにィ」

「それとこれは、別だよ」

「どう、別なんだよ!」

「正しいことをするんだから、協力するのはトーゼンってかッ。お前のソーユー態度、超むかつくんだ

よ」

「どんな態度か知らないけど、ぼくはぼくなんだッ。むかつかれたって、しょうがないんだ。

もうイケには頼まないからいいよッ。ぼくは一人でもやるから。

イケになんか、絶対頼まないからいいよ!」

「けッ、やってみろよッ」

「イケのその態度だって、超むかつくよッ」

 どうしてこうなってしまうんだろう。お互いに、言いたいことを言っているからだ。

イケには、頭にくることも多いけど、でも、ぼくの大親友だ。

 ぼくは一人でもやってみると、決心していた。

何からはじめたら良いのか、何も分からなかったけれど。

                               つづく








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Last updated  Nov 4, 2010 06:01:04 PM
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