わたしのブログ
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クララシューマン・ヨハネスブラームス友情の書簡 B・リッツマン編 原田光子訳みすず書房原田光子(1909~1946) 訳者は昭和16年に「真実なる女性クララ・シュウマン」を上梓。70年以上読み継がれてきたこの評伝に続いて、「クララシューマン・ヨハネスブラームス友情の書簡」の翻訳原稿を完成させてまもなく世を去った。一度は本になったものの、長らく手に入らなくなっていた、待望の復刊。冒頭の、訳者による前書き・・すべて天才の住む世界は、われわれ凡人の感知しうるかぎりではない。しかし文学上の天才の場合は、天才自身の語る言葉を通じてある程度まで天才の意図する境地に触れうると思うたとえば、われわれにとって、ゲーテがいかにして「ファウスト」の第2部に到達したかということは、ベートーヴェンがいかにして「第九交響曲」に至ったかということより理解しやすい。この意味において、楽聖の遺した日記や書簡は、彼らの生活、作品を生んだ拝啓および心境を、彼ら自身の言葉でわれわれに暗示する点、非常に興味をそそるものがある。(中略)1896年5月クララ・シューマンの死(76歳)は、ブラームスにとって再び癒えることなき魂の痛手であった。クララの葬式でひいた、かりそめの風邪はついに癒えることなく、1897年4月、ヨハネス・ブラームスもこの世を去ったのである。原田光子
2013.05.17
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