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隣の机にはパソコンを置いてあるのでありますが、
こっちの机の光景のほうが落ち着くのであります。
雑然としていても安定しているからであります。
きちんと整った光景はいかにも作り物めいていて
危ういものを感じるのであります。
雑然と安定した光景は当り前で、それゆえ、安心できて
当り前に鉛筆を手にとり、当り前にメモをとるのでありますが、
もしかしたら、これは当り前ではないのでありますまいか。
われわれ命あるものは微生物に至るまで生死の狭間で
変化しており、気候、地殻も常に変動しているのであります。
当り前に見える日常は変化変動の穏やかな流れのときで
むしろ、万物の変化変動から見れば当り前でない流れなの
かもしれないのであります。
大きく変化変動する流れこそが当り前で、命あるものは
たまたま穏やかな流れに乗って生かされているに過ぎない
のではなかろうか。
若い頃からそんなことを考えることが、ときどき、ふっとあった
のでありますが、その考えは今回の大震災で大きくワガハイの頭の
なかで広がったのであります。
こう考えたからと悲観的になったわけではないのであります。
明日は我が身で、いつ今度は東京が被災地になるかも知れず、
その覚悟をし、その備えをし、当り前に穏やかな流れの上で
日常を送れることの幸運を天に謝し、悔いのない時間を過ごせれば
これに勝るものはないと思うのであります。
そうしてまた当り前に雑然とした机の上を見ると、なんとも貴い
光景に見えたのであります。
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