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2004年10月23日に発生した、
中越地震のことは、
よく覚えている、
この日、新潟の三条市で講演すませ、
ついで柏崎市の保育園で、
読み聞かせを行った、
新幹線の長岡駅まで送ってもらい、
ときに乗って帰途についた、
そのときが大宮の手前で徐行し、
そのまま停止した、
中越地震が発生したためだった、
その数か月後、
長岡市内の某高校の体育館に、
設置された避難所を、
慰問で訪れた、
旧山古志村の人々が、
避難していた、
訪れたとき、子供たちが、
乗れるだけ乗り、
それをボランティアのお兄さんが
押していた、
子どもたちはわあわあキャアキャア、
大騒ぎしていた、
読み聞かせを始める前、
男の子の一人が、
「ぼく、これからどうなるのかなあ」
と半ば質問のようにつぶやいた。
「大丈夫だよ」
ぼくはすぐに答えた、
今まで通り家族と暮らせるのか、
今まで通り学校に行けるのか、
友達と学び遊べるのか、
そういう不安だったからである、
その不安のいずれも遅かれ早かれ、
解決すると予測できたから、
自信をもって断言した。
今年の4月、栃木県内の避難所のうち、
3か所を慰問して回った、
いずれも原発被災の人々の、
避難所だった、
小山市内の避難所で読み聞かせを終え、
プレゼントの絵本にサインをした、
小学4,5年生と思われる男の子が、
サインに添えた、
「いまが出発点」という、
言葉に目をやりながら、
「ぼく、これからどうなるのかなあ」
と、つぶやいた、
ぼくはそのつぶやきの、
重い意味に気づき、
つかの間、言葉を発せなかった、
このつぶやきについては、
前にも書いた、
でも、1人でも多くの方に、
知ってもらいたいので、
また書く、
男の子は(これから5年後10年後、
ぼくの体はどうなるのか?)という、
強い不安をつぶやいたのである。
ネット時代の今の子どもは、
放射能についてよく知っている、
現時点では、とか、直ちに、とかいった、
前置きつきで、いくら、
健康には問題ない、と言っても、
納得できないだろう、
明確なデータにもとづいて充分に、
信憑性のある根拠を示し、
説明しなければ今の子どもは、
納得しない、
絵本の読み聞かせは、
こういう不安を抱えた子どもたちの、
心のケアには寄与できるだろう、
しかし、その不安を解消するだけの、
力はない、
その力を出せるのは国しか、
ないだろう、
しかし、国はこのことに関しては、
うやむやで、
時の経過に期待しているふしもある。
わたしたちは喉元過ぎても、
この熱さをけして忘れてはならない、
と、思う、
つかの間、経って、「大丈夫だよ」と、
答えたが、弱い響きがあった、
かもしれない。
男の子はうなずいて、
離れていった、
きっと、ぼくに気を遣って、
うなずいてくれたのだと思う。
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