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2015.07.21
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毎年、梅雨が明けると、106歳で逝った長野県の禅宗のお寺のお坊さんを思いだします。

 むろん、現役の住職さんで100歳を超えても、法事のときは、やはり、お坊さんの息子さん、

 お孫さんと3代で並び、朗々と読経をしていたそうです。

 檀家回りも大変熱心にやっていました。

 その頃、僕は、100歳以上で生活の質を落としていない全国の健康長寿者を取材していました。

 その流れでこの方を訪れました。

 そのとき104歳でしたが、大変フットワークの軽い方で、

 足早にご自分の居間に僕を案内してくれました。その居間に入って、すぐに右手の壁に掲げられていた

 20号ぐらいの富士の赤絵に目がいきました。



 多分、名のある方の若いときの作品だと思い、

 「これはどなたがお描きになったのですか?」

 と、訊いたのです。

 「私が描きました。100歳のときの作品です」

 驚きましたね。

 しかし、3時間に及ぶ取材は驚きの連続でした。

 ここではその驚きを書くつもりはありません。

 ただこの方の志の潔さを知ってもらいたいのです。

 この方は80歳になったときに、一応、住職の座は息子さんに譲られました。

 そうして、水墨画を始めたのです。

 青年期に画家を志していました。



 その道は断念したのですが、時間に余裕ができたので

 絵への挑戦を再開したのでした。

 数年後、交通事故に遭い入院しました。

 主治医は家族に寝たきりになると告げたそうです。

 しかし、その方は2ヶ月のリハビリで元通りに回復しました。



 と喜んでくれる人達を裏切りたくないという思いと、

 せっかく再開できた絵の道を閉ざしたくないという思い。

 その執念というより純粋な2つの志が、その方に奇跡を起こさせたのでした。


 その方は水墨画から油彩に領域を広げて、

 100歳からは富士の赤絵に挑戦を始めました。

 取材を終えて1週間も経たないうちに、その方から手紙を頂きました。

 大事なことを言い忘れたので、そのことをわざわざ書き送ってくれたのでした。

 その大事なこととは…

 「私としては、腹立てず、心は丸く、気は長く、己小さく、人は大きく~

  という古人の言葉を守ってきたことが長命の秘訣と思っています」

 達磨大師の言葉ですね。

 その方を訪れたのは寒い時期だったのですが、

 いつも梅雨明けにその方の居間で見た富士の赤絵が浮かび上がるのです。

 梅雨を一気に払いのけるような生命力に満ちた絵だからでしょう。













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最終更新日  2015.07.22 09:42:24
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