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2016.03.30

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十七段　～自分のために泣いた～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

カテゴリ： ◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ

↓前回です♪
『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二十六段

★☆★☆
第二十七段

彼は今死ぬはずだった。

菩薩は言った。

彼の苦役は今終わるはずだった、と。

だが、悟空が間に合ってしまった。

当然予測はしていた。

菩薩が時間を稼ごうとしたが、無駄だったのだ。

今、更に増えたことで、

余分の苦しみを自分に課すことになった。

誓願があるのだった。

彼は本来なら死んでいるはずの身体で

しばらく生きなければならなくなった。

紅孩児が驚くべき勤勉さでもくもくと術を駆使して、

兵隊たちを一つ穴に葬った。

悟空は、白竜の頭を抱いたまま、なす術がなくたちつくしていた。

観音の言った言葉を正しく理解しようとしていた。

『死んでいるはずの身体で生きる？』

ひとつ仕事を終えた紅孩児は次の仕事にかかろうとしていた。

そして彼自身も直接には触れず、片手をひらひらさせるだけで

三蔵を縛っている縄をスルスルほどいた。

その行動は、三蔵の意志を尊重して、ではなさそうだった。

彼の目はけがらわしい物を見る目つきだった。

そして三蔵を空中に浮かせておいてから

木の根元に置いた。

その上に情け容赦なくドサリと三蔵をうつ伏せに寝かせた。

身動きひとつしない。

先程、言葉を発したのが嘘のような様子だった。

背中は酷い状態だった。

悟空はそれを見て泣きそうになった。

だが白竜の首をきつく抱きしめて涙をこらえた。

菩薩が言ったのだ。

三蔵の誓願は誰にも同情されず、孤独に苦しみ死ぬことだった。

悟空が悲しむことは許されなかった。

彼はそれらと引き換えに死後に最も必要なことがらを得ようとしていた。

紅孩児が言った。

お前に出来ることは何もない。

彼の夢を壊すな。

彼をもう一度最高の位で、天竺に旅立たせるため辛抱するのだ。

もし、お前が彼に触れるなら

彼の地獄は、女衒に買われて売られる境遇だ。

その地獄の来世を選んだのも、三蔵自身だった。

西梁女人国の王との縁のない世界を選んだのだった。

そして彼女に対する償いのために愛を得られない

不幸な女として生きる。

それは彼の母親に対する償いでもあった。

そして、お前の地獄は、何もできず、この男が苦しんで死んで行くのを

ただ見ていること、それに耐えることだ。

だからお前はここから動くことは許されない。

観音は紅孩児の話しに付け加えて言った。

お前が、ここから逃げるか、三蔵を早く死なせようとするか、

あるいはなんとかしようと術に頼ったり、彼に触ったりするなら

即座に三蔵は死に、地獄に己を連れていく。

それは三蔵が選んだ悟空ための地獄だった。

もし、俺が白装束の兵士たちを殺さなければ

三蔵はめでたくプランＡに添って死に、

俺は彼の骸を抱くことができたのだ。

心が捻れて憎しみが満ちて来た。

だが、俺は誰の忠告にも耳を貸さず大勢殺した。いつも通り。

それもこれも、お前を救いたかったからじゃないか。

それなのに、なんでこんなむごい罰を俺に。

悟空は自分のために泣いた。

それは許されることのはずだった。

自分のために泣くことは。

つづく

ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン　以上全部同じ人（笑）

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Last updated 2017.07.21 17:59:03

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すみれゆきの

いつのまにか母娘でやることになったブログです。娘は主に音楽関係を2017.04あたりから担当。 '17.07.22現在『アジアの音楽』『アジア以外の音楽』の両カテ以外の音楽の記事は娘です。私は映画やドラマなどを中心に気功や太極拳などの情報ファッションや猫や人間の健康に関することなどを発信してます。混乱します？そうでもない？娘は几帳面。私はイイカゲン。そんな感じの見分け方で(笑)

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