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2008.02.10

いろんな雑誌でのお二方の対話は、1976年『キネマ旬報』から始まり、1984年『現代小説』の‘84年度洋画ベストテンでおわります。
全部あわせたら300～400近い映画タイトルが登場しているのではないでしょうか。
前半話題に上る映画は古く、知らない作品ばかりですが、ただ読んでいるだけでも楽しいからよし！（大半は現在観られない映画の話だった）

淀川さんは、来年生誕100年を迎えられる1909年の生まれ。
池波さんは1920年の生まれ。御二方ともすでに永眠されています。
対話のなかで淀川さんは「もう死ぬ」と何べんも仰っていて、池波さんが「私も死ぬ」というと「あんたはまだ来たらダメよ」なんて（笑）冗談ばかりですが・・・
結局は池波さん、淀川さんより8年も早く逝かれたんですね。

詳しいのみならず、思い入れの深さも背景もわかった上で、映画を達観できることが素晴らしい。
どんな映画にも、なにか答えることができたら、誰とでも話ができる。話したい作品について、必ず相手が応えてくれる二人の関係は羨ましいほど。
年月が経てば映画の数はうなぎ上り。たとえば100年後に生まれる子どもたちは、淘汰されて残った名画を拾うようにして観ていくんだろうな。
いま私が観ているのより、もっと淘汰されて。

そう考えたら、生まれたばかりの映画と一緒に生きてこられた淀川さんや池波さんが、ほんとうに羨ましく思えます。
こんなラッキーな御仁は、もう生まれない。

驚くほどいっぱいの映画をごらんになってきた二人は、会話も粋でした。
淀川さんの独特な口調がそのまま文字になっていて、ある意味すごい（笑）
脈絡のなさというか、助詞・助動詞間違ってませんか？　と思うんだけどそれがないと淀川さんじゃなくなっちゃう。
漫才でもされてるのかという会話は、一読の価値ありな一冊でした。
とくに笑った箇所をおひとつ。

　池波　「ほとんど見ますね。見ない日はないくらい」　
　淀川　「あ、そうですか。あんたのような健康な人が」
　池波　「いや、よく夢は不健康のもととか言うでしょ、ウソなんですよ。健康にはさしさわりないんです」
　淀川　「まあ、そうですか。あなたピンク色だね、顔がきれいだねえ、まアほんとうに（笑）」
　池波　「淀川さんもピンク色ですよ」　

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Last updated 2008.02.11 09:33:17
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■コメント

Re:■映画行脚■　池波正太郎＋淀川長治(02/10)

ヤスカイさん

おはようございます。

お客様のお迎え、お疲れ様でした。

これいいですねえ・・。
池波さんの小説は私のテリトリーではないんですが、時代劇ドラマの『鬼平犯科帳』は大好きで、ずっと欠かさず観ています。まあ、中村吉右衛門さんに特別な思い入れがあるからというのもあるんですが・・・・お父上の先代松本幸四郎さんも素敵な「鬼平」でしたよ。あ、これを語りだしたら長くなる・・・・失礼。

池波さん、グルメですから銀座界隈にはおすすめのお店とかも多くてね・・・でも映画にもお詳しいとは知りませんでした。
淀川さん・・・大好きです。淀川さんのモットーに「どんな映画でもけっして貶すことはしたくない」というのがあって、意識していたのかいないのかわかりませんが（つまりご自身が仰っていたわけではないので、あ、そういうのモットーって言わないか・・・）、とても影響されました。いい加減な気持ちで作っているとは思えないと言うのでしょうかね。映画制作の現場っていろいろ複雑な絡みがあって、予算とかスタッフの人間関係とか、俳優の質とか・・・とにかく個人ではどうしようもない現実ってあるでしょ。それでも「映画を撮りたい」っていう気持ちがあって、みんな頑張って作り出してくる。淀川さんはそういうところを大事にしたかったのかと思うのです。映画に限らず、人の想いを尊重するってことはとても大切なことですよね。私にとっては生きる上で、もの凄く影響された事実です。だからブログでもあまりひどくは言いたくないと思っているんですが・・・まだまだ未熟ですね。
この本、是非読んでみたいと思います。
(2008.02.11 09:47:21)

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ヤスカイさん

はる*37 さん

こんにちは。
間に法要などあり、早起きして少し遠出。
疲れましたよ～
本家の長男の長男・・・親族集まると色々あるのだな～と思いながら。

この本はかなりおすすめできると思います。
池波さんも淀川さんも、お人柄が出ていて。
私もなるべく貶した感想は書きたくないです。
貶すなら、ここに書かないでスルーして。
でも、作り手に愛情を感じないとか、不本意だとか、やる気のない映画もたしかにあると思うのです。。
悲しいことですが、絶対あります。 (2008.02.11 10:06:16)

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Re:■映画行脚■　池波正太郎＋淀川長治(02/10)

chappie the gogo! さん

池波先生は下町案内やグルメの人と思ってましたが、映画の本もあったんですね。初めて知りました。
でも藤沢周平さんも大のミステリ好きと言うことだし、時代小説の作家もいろんな顔を見せてくれるんですね。
いい情報を得ました。
(2008.02.11 21:07:23)

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chappie the gogo!さん

はる*37 さん

＞池波先生

著作はどれも未読、時代劇ドラマさえみたことのない私ですが、著名な方でしたね。
淀川さんが驚くくらい、唸るくらいに、映画にお詳しく沢山ご覧になられていたようです。
人には色んな顔があるものですね。 (2008.02.12 00:04:27)

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Re:■映画行脚■　池波正太郎＋淀川長治(02/10)

Lake Moraine さん

日記読んでいるだけでワクワクしてくる本ですね。

池波氏の”映画を見ると得をする”というエッセイをずいぶんと昔に読んだことがありますが、味わい深く少し大人になった気分で映画をみることを教えてくれました。　それに淀長さんがタッグを組むなんて想像するだけでドキドキしてきました。
はるさんが引用された対談読むと淀長節が聞こえてきます。 (2008.02.12 00:07:07)

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Re:■映画行脚■　池波正太郎＋淀川長治(02/10)

アネモネ＊さん

はるさんが抜粋してくださった箇所、いいですね～。
淀川さんのお顔が懐かしく思い出されます。
池波正太郎さんは詳しくは存じ上げませんが、映画がお好きだったんですね。
大半はいま観られない映画だというのが残念です。
いまの映画についても語っていただきたいですね。
(2008.02.12 02:18:43)

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Lake Moraineさん

はる*37 さん

＞”映画を見ると得をする”というエッセイをずいぶんと昔に読んだことがあります

わ～。この本も面白そう！
映画に関したエッセイを、色々書かれていたんですね～。
古書店で探してみよう。

＞はるさんが引用された対談読むと淀長節が聞こえてきます。

活字になっても淀川さんでした（笑） (2008.02.12 16:32:15)

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アネモネ＊さん

はる*37 さん

淀川さんは長いこと馴染んできたので、いまだに亡くなられた感じがしません。
歳さえとらなかったようなイメージで。＾＾

＞池波正太郎さんは詳しくは存じ上げませんが、映画がお好きだったんですね。
＞大半はいま観られない映画だというのが残念です

観られない映画は前半にいっぱいでてきますが、それ以上に沢山の作品について触れてありますので、大満足でしたよ♪
(2008.02.12 16:35:52)

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