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2008.08.25
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カテゴリ: ポーランド映画



 登場人物わずか3人の、変化し続ける心理を丁寧に捉えた、スリリングなドラマ。
夫アンジェイは優越感を得るために、貧しいヒッチハイカーの青年をヨットに乗せる。奴隷のように仕事を言いつけ、無知を嘲けり笑う。
下劣だけど、そこには若さへの羨望が隠れている。人間らしい、弱さと卑怯だった。
アンジェイに対して飄々と振舞っているた青年さえ、お金持ちへの羨望がある。美しい妻を持つ男を妬んでいる。
青年の自由で、不器用で、人生をまだナイフに頼って旅している姿は、アンジェイとは対称的だ。二人は違い、そして同じように無意識にないものねだりをしてるだけ。

下劣な夫と、キケンな香りの旅人に挟まれてなお、一貫した態度を続ける若い妻クリスチナが、いい存在感だった。一日経つうちに、次第に青年を庇う立場となるけれど、彼女は現在のゆるい生活を壊す気などさらさらなくて、これからもお金持ちの生活に甘んじて生きていくのだろう。
貧しい青年だってそう。うだつが上がらなかろうが、のし上がろうが、日常に波は起きても 変化 は起きない。人生とは大概がそういうものなのかもしれない。

そこになにかが起こっても、またなにもなかったように、日常へと帰っていく様がシビアで良い。

Knife-2.jpgNoz.jpg

ついに言い争いとなった終盤の危うさがたまらない。
泳げない青年を湖へ故意に突き落としてしまうアンジェイと、彼を必死に探そうとするクリスチナ、ブイに身を潜めている青年、この三者の緊張感あるシーンは見物。じっくりとじらすように、ひとつひとつの場面が展開していくのはポランスキー監督の上手さで、どうなろうとも観る側は大人しく沿うだけ。
青年を溺死させたと早とちりした夫婦は激しい言い争いとなり、夫はヨットから飛び降り、泳いで岸へ戻ってしまう。その様子を見ていた青年は、ひとり残されたクリスチナと、まんまと結ばれることになるけれど、それが果たしてハッピーエンドであるとは限らないのだ。

カメラワークの妙も楽しい。モノクロでありながら、鮮やかな水面や風に色を感じる。独特の縄の結びやヨットでの生活は、魅力ある描写だった。
週末に危険なヨットクルーズを楽しんだような感覚で観終える爽やかな後味。とにかくヨットが魅力的だった。
アンジェイ役のレオン・ニェムチックは、素晴らしかった『 夜行列車 』での好演も記憶に新しい。




脚本  ロマン・ポランスキー、 イエジー・スコリモフスキー、 ヤクブ・ゴールドベルク
音楽  クリシトフ・コメダ
出演  レオン・ニェムチック、 ヨランタ・ウメッカ、 ジグムント・マラノウッツ

(モノクロ/94分)







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Last updated  2008.08.27 13:35:19
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