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2008.10.23
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カテゴリ: 多国合作映画



 (あらすじ) 1915年、ハリウッド。撮影中の事故で重傷を負い、主演俳優に恋人を盗られ、自暴自棄となっているスタントマンのロイは、自殺願望にとらわれていた。ある日、腕を骨折して一時入院している5歳の女の子アレクサンドリアと出会い、ロイは思いつきの冒険譚を語って聞かせる。めくるめく物語にすっかり引き込まれていくアレクサンドリアだったが、物語を聞かせるのにはある秘密のワケがあった―――。


 おもしろい。古き良き時代、1900年代初頭のハリウッドへ、冒頭からぐいぐいと引き込まれていった。
ロイの絶望など露知らず、アレクサンドリアは愛嬌ある無邪気さで彼と親しくなり、お話の続きを催促する。ロイが語って聞かせる物語は、 世界24ヵ国以上 でロケをしたという映像で綴られる、壮大な 御伽噺
病院にいる人間やロイやアレクサンドリアが一人二役で演じた物語の世界は、ダーウィンや山賊の登場する復讐劇のファンタジー。始めは取り留めないものだけど、ロイの自殺願望がピークを向えるにつれ、内容は現実の痛みを帯びたストーリーへと変化していく・・・。

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生きる希望を見出していくまでも、イランから来たアレクサンドリアの悲しい過去も、じつにさりげない語り口だ。時には感情を爆発させても、作りものである高純度のファンタジーは、現実の辛ささえ空想の力を借りて乗り越えていく。


とにかく とりとめのない 映画だというのはたしか。ビジュアルに頼る面は大きいし、繋がりの悪さを感じた箇所もあった。でもこれをハリウッドを舞台にした 古き良き映画時代 へのオマージュだと考えたらどうだろう。
昔の神業スタントシーンがふんだんに使われているのは、CGばかりの今のハリウッド映画に疑問を投げかけているよう。ビジュアル映画でも、素晴らしい絵面の数々は、じつに立派なものなのだ! 完璧な美を自然や遺跡に求め、4年の歳月をかけて映像化したという執念の賜物。斬新であっても手作り感があり、映画への愛を感じる。
すべてにおいて最高の珠玉の映画もあるけれど、音楽がいい傑作や、脚本がいい傑作や、役者がいい傑作があるように、映像がいい傑作、そんな映画があってもいい。

ロイが語るのは、アレクサンドリアを操って、毒薬を取ってこさせるため―――。
この本題から多少脇へ逸れたりして、一度では楽しみきれなかった感もあるので、DVDが出たらぜひ再見してみよう。それでも良いと感じたら、いつまでも人におすすめしたい映画になるような気がする。
ロイを演じた主演のリー・ペイスが素晴らしい!




脚本  ダン・ギルロイ  ニコ・ソウルタナキス  ターセム
衣装デザイン  石岡瑛子
音楽  クリシュナ・レヴィ
出演  リー・ペイス  カティンカ・ウンタルー  ジャスティン・ワデル
ダニエル・カルタジローン  レオ・ビル

(カラー/118分/インド=イギリス=アメリカ合作)






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Last updated  2008.10.25 19:58:39
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