しぐれ茶屋おりくの部屋

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大坂の陣 その4♪



(マスター)「このお嬢さん、何とおっしゃるンですか?真田さん」
(真田)「田代さんって紹介したじゃーありませんか」
(マスター)「いえ、お名前の方です」
(田代)「珍しい名なンです。淀子って父がつけたンですよ」

(マスター)「淀? 淀って淀君の淀ですか?」
(田代)「ええ、変な名前でしょう、私困ってるの」
(マスター)「淀君さまに御座りまするか、お懐かしゅう御座います」
(田代)「えっ ?」
(マスター)「爺の六三郎に御座りまする」

(藤堂)「おい、マスター急に何を言ってるンだ」
(田代)「六三郎、そなたは大坂冬の陣の前に、わらわを残して死んでしまったではないか」

 ねぇー、ここから四百年前に逆戻りするンで御座います

(マスター)「はい、無念で御座いました。もっと長生きしたかったので御座いますが、運命には逆らえぬものでして」
(藤堂)「ウン?そちらは大坂方か?片桐は如何致した。最近とんと城内の様子を知らせて寄越さんが・・・」

(真田)「オイ、藤堂、お前何言ってるンだ。それに田代さんも、マスターもさっぱり訳の解らないことばかり言って・・・」
(藤堂)「ムムー!貴様は音に聞こえた真田幸村に似ているぞ。隠すな隠すな」
(真田)「俺は何も隠しちゃーいないよ、マスター助けてよ、皆変なンだよ」

 こうなってしまっては只一人、昔に戻らない真田君は大変です。捨てる神あれば拾う神ありで、運よく別のグループが入って来ましたンで、ちょっと中休みってぇ所です。しかし時は悪戯もんで、新しく入って来た客五人も、このけったいな大坂の陣に組み込まれてしまいます。

(石川)「片桐殿は、いよいよ間者の立場がばれて、江戸城まで逃げ込まれたそうではないか」
(藤堂)「ちょいと待て、お主らは東方の者か、ここで席替えを提案する。マスター、一体誰と誰が大坂方で、誰が東軍側か、はっきりさせてくれ」

(マスター)「分かりました。挙手願います。田代淀子さんを中心として、大坂方の方、手を挙げて下さい。・・・あぁ判りました。真田さんは文字通り、真田幸村で、れっきとした大坂方ですなぁ。さっき石田と言うて居られた石田さん、アンタは石田三成さんですか、ハハ~なるほど。で、そこで手を挙げてなさるアンタ、そうそう貴方ですが、どちらさんですか?」

(後藤)「後藤又兵衛で御座る」
(マスター)「なるほどそれで後藤さんて誰か最前言ってられたンですな。もう大坂方は居られませんか?・・・居られんようやな。では大坂方は淀君に、真田、石田、後藤さん、これだけですか?」

(福島)「オィ マスターあんた最前六三郎とか言っていたみたいだが・・・」
(マスター)「あぁそうか、私は淀君の爺やだから大坂方か」
(藤堂)「東京もん、おや、江戸もん、これもおかしいな。東軍は残り全部ということになる訳だよな」
(石川)「藤堂さんとやら、アンタが仕切ってどうするンや。こっちにはもっと偉い人が居て下さるから、あまり出しゃばらん方がいいよ」

(藤堂)「その偉い人ちゅうンはどなたですか?」
(加藤)「加藤清正じゃ」
(マスター)「へぇー、あの裏切り者の虎之助がアンタか、太閤殿下になり代わり、成敗してやる」
(石田)「まぁーまぁー六三郎はん、慌てなさんな。これから歴史の塗り替えじゃ。皆でどうしたら東軍に勝てるか協議しよやないか」

(後藤)「身共も賛成で御座る。のう幸村殿」
(真田)「いや、まったく持って同感で御座る。淀君様、それで宜しゅう御座いますな?」
(田代)「良きに計ってくりゃれ。今度はわらわも嘴入れる積もりは無い」
 えらいことになって来ました。ちょっと東軍のメンバーを整理して申し上げますと、加藤清正、藤堂高虎に、福島正則、それにもう一人、三河の英雄石川数正とその家来、これまた錚々たる人が、たまたま集まったことになります。そこへ先程の二人が戻って来ました。

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