コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

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2025.04.30
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カテゴリ: コミック感想


いかにも溺愛シンデレラストーリーといったタイトルのこちら、西洋風恋愛もの、という人気ジャンルの一つですね。
日本版ハーレクインみたいな?
意地悪な姉に虐げられ、父母にも愛されずに育ったヒロインが、姉の身代わりとして嫁いだ先で思いがけず真実の愛を得られる、といったまさに王道なシンデレラストーリーです。

絵も丁寧ですし、しっかりとした設定が土台にあるので読んでいてストレスのないコミックでした。

こまかなイラストでの伏線があるのもよいですね。あとで、ああなるほどと思います。

本作のヒロイン・クラリスは地味目な容姿から姉に蔑まれつづけていました。社交界にもほとんどゆかず、しかしそんな中でもメイドらとは仲良くしているので、そこまで窮屈な生活を強いられているわけではない、というのがまず安心点といえます。

「身代わり」として嫁ぐ際にちゃんとメイドを一人伴うのですが、そのメイドにもなにかしらの曰くがありそうな点をにおわせています。
メイドの名は「メアリー」というのもくせものなんじゃないかな、と勝手に考えておりました。

というのもメイドとしてポピュラーな名前でもあるからです。


その「メアリー」の何らかの事情に関しては今後明かされていくようで、こちらも楽しみです。

クラリスと相手役の辺境伯ジーンと、あっという間に相思相愛になったので今後どういう展開があるのかな、と思っていましたが、脇のキャラの話とリンクさせながら二人の今後を描いていくんだろうな、というのがわかり、その点も安心材料です。




かなり早い段階で、クラリスの実家のあらゆる事情が語られるのですが、これに関しても全員が頭の悪いなんも考えてないキャラではなく、「ありそうな」事情なのがよかったです。
クラリスの父も、いまでいう「毒親」ってやつなんですが、救いようのない下種とはいえ、なんというか、まあ、この人も気の毒ではあるよねっていう。子爵家の男としての価値観はまあこんなものだろうと。いやとても気の毒には思えない下種ではあるんですが。

そしてクラリスの母に関しても、この人がもっとクラリスたちをかばってあげていたら、とはやはりさすがに思えませんでした。やはり気の毒ではあります。政略結婚で無理やり結婚させられた男から暴力を振るわれ続けていたら、心も折れてしまうでしょう。子供を救うどころではなかったのも情状酌量できるというか。

さらにクラリスを虐げていた姉のマチルダも、気の毒といえば気の毒です。
こうなってしまうのも已む無し、といったところですが。はたして「あの後」どうなってしまったんだろう?
あの程度では死に至らしめることはできないと思うのですが、社会的にはどのみち死んでしまいますよね。
クラリスはいかに実家をでたからとはいえ、あの家の娘なわけですから、「事件」として発覚されたら、知らんふりはできないと思うんですよ。醜聞になりかねない。

このあたりのことも、今後お話として出てきたらいいなと思います。


絵に関しても設定に関しても申し分ないのですが、ひとつ、ヒロインの前髪だけはちょっと気になるなっていう。いやこれはまあべつにほんのちょっとかわいくないなってくらいで。


設定に関しても、「辺境伯」がいかに重要なポストなのかもわかるのもいいですね。

クラリスがとても親切な令嬢として描かれているのですが、それは小さな一コマでさらっと描かれているのもよいですね。

メイドらがソファーに座ってるシーンがあるんですが、それをクラリスがちゃんと座るよう声をかけ、遠慮しつつも…というシーンが小さなコマに描かれています。

こういった、細かい点に考慮されている漫画ってのはいいなぁ、と。


今お流行の「姉、ないしは妹」に虐げられていたものの、イケメンに愛されて幸せです、といった内容はあふれかえるほどあるんですが、その中でもこちらの作品は好きな部類に入ります。


とはいえ、長い間虐げられていたトラウマ的なものも抱えていて、それを克服していく姿にも共感できます。
姉のマチルダがコンプレックスの具現化のようにして現れるので、そこが苦手な方もいるかもしれませんが、いかにマチルダの嫌がらせがクラリスの心に根付いて拭えきれない劣等感になっていたか、ということの表れでもあります。

虐げられてきたから令嬢としてのスキルは低い。それもコンプレックスになっているのですが、周りから存在を認められることによって少しずつ自信を取り戻していく、というのは少女漫画の王道でもあるでしょう。

キャラの周りの事情をそれとなく描いてくれているおかげで、クラリスやメアリーの心情もとてもすんなり受け入れられます。

ときにはこういう、べったべたな溺愛ものを読むのもいいなぁと思って買い始めたコミックでしたが、やはり設定がしっかりしてたりキャラに好感が持てないと、読み進むのはストレスなだけになってしまう。

しかし本作にはそうした、みょうにひっかかる部分というのもないし、イラストも全体的に綺麗で読みやすいので、溺愛ものを読みたいなってときには、おすすめしたい作品です。





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最終更新日  2025.04.30 21:00:08
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