読書の部屋からこんにちは!

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2011.04.22
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カテゴリ: 小説
ちょっとだけネタばれしているかもしれません。

気になる人は、ここを読まないでくださいね。




主人公は、元サラリーマンだったホームレス、山崎遼一。
所持金3円。拾った100円玉一個に狂喜する山崎が目をつけたのは、超イケメンで不思議な人徳のあるホームレス仲村とインチキ占い師龍斎だった。


とくれば誰だって、あ、新興宗教を立ち上げる話だなって思いますね。
新興宗教の話となれば、きっとインチキを積み上げて信者を爆発的に増やし、最後には破滅していくんだろう、くらいは誰だって思うはず。
篠田節子さんの「仮想儀礼」をご存知の方なら、きっとあの話を思い出します。
でも、あーまたか、どうせ転落していくんだろうという気はまったくしませんでした。それくらい、おもしろさが読み手をひっぱってくれましたし、荻原浩さん独特のちょっと突き放したようなユーモラスな文体が、ときどき深刻さから救ってくれるような気がして、とても魅力があるんです。



そのへんは、篠田節子さんの「仮想儀礼」と同じです。
「仮想儀礼」では主人公がその宗教から離れたいと思っても、からみとられ身動きができなくなって、流され続けていくラストでしたが、「砂の王国」では会員からスポイルされ、命まで狙われてミステリーじみた展開になっていきます。
また、その宗教がインチキだと見抜いて退会した若者が、ブログで「自分以外を信じてはいけない。目に見えないものを信じてはいけない。」と呼びかけます。まともなことを言っているから目が覚めたのかと思ったら、その後で、新しい教団をたちあげたと言って主人公に入会を勧めている。自分の考えたことを自分で消化するのではなく、何か組織立ったものに代弁させないと表現できないという、現代人の弱さみたいなものを象徴していると思いました。


結局、ホームレスに戻ってしまった主人公は、それがかえって人間らしい生き方に戻れたとでもいうように(まさにそのとおりなんでしょうね)、生き生きと落ちている小銭を探します。それは、読み手にとっても妙に安堵できるラストでした。



余談ですが、最近アスペルガー症候群という障害があることを知り、ちょっと本を読んだりしていたんです。この本にその名前が出てきて、びっくりしました。
坂本龍馬、アインシュタイン、ゴッホなどがそうだと言われているそうです。(本当かどうかはわかりませんよ。)

もう一つ余談ですが、新興宗教ものの小説では貫井徳郎さんの「夜想」というのがあるそうですね。ぜひ読んでみたいです。


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Last updated  2011.04.22 09:58:24
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