読書の部屋からこんにちは!

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2011.08.10
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カテゴリ: 小説
京極夏彦といえば、いちばんに思い出すのがあのとんでもない厚みの文庫本。

私は前に「姑獲鳥の夏」を読んで、へとへとになった経験があります。

でもご安心ください。
この本は、どんな怖がりの人でも中高生でも安心して読んでいただける、簡単だけど奥深いあるおじいさんの物語です。


本を読むヒトなら誰でも、「あーこの主人公の考えてること、わかるわかる!!わたしとおんなじだわ。そうそう、そうなんだよねー」という経験をしたことがあるでしょう。
わたしはこの本の主人公徳一さんの考えてることに、同感はあまりしなかった。だけど、70歳、80歳の人が読んだら、きっとそう思うんだろうなという気がします。
そして、今の私は、30歳の人よりはずっと徳一さんに近い感情を持っているという気もしました。

「おじいさん」じゃなくて「オジいサン」と呼ばれた。それは誰が何と言おうと「オジいサン」なのだ。真ん中の「い」は、断じて「い」なのだ。そう呼ばれたのはいつだったか。昨日か、3日前か、5日前か。場所はどこだったか?


またある日は、スーパーで試食販売のソーセージを試食したところから始まり、料理して食べるまでに、やっぱり全体の3分の一くらいかかってる。

徳一さんがぐずぐずしているわけじゃないし、無駄な描写があるわけでもない。
徳一さんはひたすらまじめに、誠実に、そしてけなげに生きているだけなのです。
それはどこかおかしい。そして、せつない。
人間は、こうやって年をとり、こうやって社会の片すみに追いやられ、それでもまじめに生きていくのだと、私に教えてくれます。徳一さんはそんなことは何も考えちゃいないだろうけど、電器屋の2代目さんもちゃんと徳一さんから学んでいます。

お年寄りの方が読んでも楽しめる本だし、私のようなあまり遠くない将来、高齢者と呼ばれるようになる世代の人も、ゆっくり手にとってほしい本です。
ちぎっては投げみたいに、次から次に手当たり次第に読んでる人は、ちょっと立ち止まって深呼吸してから読んでね。


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Last updated  2011.08.10 23:27:07
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