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まずは、多くの人が持っているであろう「地震はプレートの衝突と沈み込みによって起こる」という先入観を、いったん脇に置いてみてほしいのです。
2011 年 3 月 11 日、東北関東大震災が発生し、東北沿岸が 5 メートルほど海に突き出し、地盤は数十センチ沈下したという。
太平洋プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むプレート境界で起きた地震なので、反動で陸が海側にせり出すのはいいとして、なぜ陸側が沈下したのか。単純に考えるとユーラシアプレートに載っている陸塊は浮上するのではないか。
そんな疑問を抱きつつ本書を読んだ。
著者は埼玉大学名誉教授で、1967 年から約 40 年間、南部フォッサマグナの山々を踏査して回り、火山、マグマが変動の主役であることを実感したという。つまり、「地震の原因はプレートではなく、地下での『熱移送』である」(17 ページ)と考えている。
「地震の起こる原因がプレートだとした場合、地質学上、説明困難な場所が数多く存在します」(20 ページ)と指摘した上で、「2008 年 5 月に巨大地震が発生した中国中西部の四川省もそうした場所の 1 つです」と証拠を挙げる。
今日に至るまで、地震予知は、かならずしも成功したとは言えません。東北関東大震災では、私の携帯電話に緊急地震速報が届きませんでした(その後の余震は十数回届いている)。
著者の研究によると、「火山活動と地震活動を順に追ってプロットしていくと、そこにはある種の規則性があることがわかります。私はその規則性を『地震の起こり癖』と呼んでおり、最終的には地震予知に応用できると考えています。つまり、熱移送で生ずるマグマの動きを、火山情報を基に追跡していけば、その後に起こる地震をかなりの精度で予知できる」(35 ページ)というのです。
これが本当なら画期的なことです。
「地震の発生地点を線で結ぶと、1 つのブロックになります。これは「地塊」とも呼ばれます。日本列島にはこのようなブロックがいくつも存在し、お互いに接しています。そして、ブロックの境界面が地震発生層を切る大地の弱面になっている」(120 ページ)といいます。「ブヨブヨな岩石層の上に載っている『起震地塊』群は、高温化をきっかけに揺れ動き、徐々にその動きを大きくしていく」(126 ページ)と考えられるそうです。
だとすれば、今回の東北関東大震災では沿岸の地塊の縁が沈み込んだのかもしれません。
本書はあくまで仮説であり、このまま素直にプレートテクトニクス理論を否定するものではありません。
ただ、学校で習ったプレート境界地震と火山性地震の 2 つの関係について、いまひとつ納得できなかったのですが、本書を読んで、考え方を広げる必要性を感じました。
■メーカーサイト⇒ 角田史雄=著/講談社/2009年08月発行 地震の癖
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