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| 著者・編者 | アダム・ファウアー=著 |
|---|---|
| 出版情報 | 文藝春秋 |
| 出版年月 | 2011年09月発行 |
1990 年、イライジャ・コーエンとウィンター・ベケットの二人は政府の秘密機関が運営する「学校」に収容された。間もなく三人目の子ども、チャーリー・ハモンドも収容される。三人は、人の心を読み取り操る特殊能力の持ち主「エンパス」だった。
教え子たちを救出すべく、ラズロ・クエールはダリアン・ワシントンの協力を得て動き出す。だが、同じエンパスの少女ジル・ウィロビーが感情を爆発させ、「学校」を爆破してしまう。
間一髪でラズロ、ダリアン、イライジャ、ウィンターの四人は脱出に成功。だが、チャーリーは死亡し、ラズロは両目を失ってしまう。
第3部では時を 2007 年に戻し、ラズロ、ダリアン、イライジャ、ウィンターの四人が再び一同に会する。ラズロはライジャとウィンターの記憶を呼び覚まし、死んでゆく。ダリアンもまた、ヴァレンティヌスの手に掛かって死ぬ。イライジャとダリアンは、新年を迎えるときにヴァレンティヌスが恐ろしい罠を仕掛けていることを知る。これを阻止するためにイライジャの従兄弟でハッカーのスティーヴィー・グライムズと再び合流し、物語は破局へとむかってなだれ込んでいく。
次から次へと迫る危機を、読者に映像として訴えかける手法は前作『 数学的にありえない
』に引き続いて健在だ。
『数学的にありえない』の主人公ケインが、重要な場面で顔を出すのもにくい演出である。
さらに今回は、2007 年と 1990 年を行ったりきたりするので、その間で話題になっているテレビ番組やゲーム機器などの違いにニヤリとさせられる。
本書で登場するエンパシー能力は、テレパシー能力のようにオカルトじみた強力さはない。ただ 65 ページでディードリッヒが説明を試みようとしているように、科学的なテイストがたっぷりで、歴史の必然として人間に備わってきた能力であることを伺わせる。日本でいうなら、さしずめニュータイプといったところか。
下巻の冒頭でミステリーの結末は見切ったつもりだったが、「エピローグ」(最後のわずか 4 ページ!)にしてやられた。上巻の最初から伏線が張られていたというのに、この結末には気づかなかった。読者としてはうれしい裏切りである。というわけで、最後まで「エピローグ」を読まないで物語を楽しんでいただきたい。
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