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| 著者・編者 | 古賀茂明=著 |
|---|---|
| 出版情報 | PHP研究所 |
| 出版年月 | 2011年07月発行 |
著者は、東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省し、大臣官房会計課法令審査委員、産業組織課長、OECD プリンシパル・アドミニストレーター、産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任した古賀茂明さん。2008 年国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議、「改革派の旗手」として有名になるも、2010 年秋に参議院予算委員会で仙谷白人官房長官から「桐喝」を受けた。
古賀さんは、官僚が国民に背を向けて私利私欲をむさぼることが悪だと断罪している――同感である。私利私欲をむさぼるために天下り先である利権団体をつくる――たしかに問題だ。利権団体を立ち上げるために法律を作る――ちょっと待てよ。法律を作るのは、立法府にいる国会議員の役割ではないか?
公務員改革と叫ぶ前に、まずは国会議員が法律を作るべきではないか。そのためにの歳費・経費を増やしてほしいというなら、国民も文句は言うまい。国会議員の数は限られているから、官僚の残業代よりコストパフォーマンスが高くなるに違いない。立法作業がなくなれば、官僚の数はだいぶ少なくなるだろう。加えて我が国では、法律ではなく政令や省令で何でも運んでしまうケースが多すぎる。これも何とかしないといけない。
この点について古賀さんは、「要するに、民主党に改革を行うだけの力がなかった――厳しい言い方になるかもしれないが、結局はそれが、公務員改革が後戻りしたいちばんの理由だと私は考えている」(93 ページ)と、政権与党を切って捨てる。
私は公務員という職業を経験したことはないが、一緒に仕事をさせてもらったことはある。そのとき、つくづく自分の性分には合わない職業だと感じた。上司/先輩の顔色を伺いすぎるのである。キャリア職で惚れ惚れするほど頭が切れるにもかかわらず、である。
この点について古賀さんは、「官僚の世界では先輩に不利益になることを言い出すこと自体がタブー」(115 ページ)と記している。ただ、古賀さんが思っているほど民間企業が、霞ヶ関とかけ離れた体質とは言い切れない。上司/先輩の顔色を伺うことは当たり前だし、退職と年金支給の間に 5 年間のギャップがあるため、OB や得意先に失礼なことができない。天下りではないが、再就職先を斡旋してもらう可能性が無きにしも非ず、だからだ。大企業では、入社時の事業部に一生縛られるケースもある。
先輩の顔色を伺うのは公務員特有のことではない。
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